点と線

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1958年/東映/小林恒夫監督
出演/南廣、高峰三枝子、山形勲、加藤嘉、志村喬、河野秋武、堀雄二、三島雅夫、月丘千秋、ほか

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冬の博多郊外、香椎の海岸で男女の死体が発見される。男は産工省の課長補佐・佐山(成瀬昌彦)、女は東京赤坂の料亭小雪の女中・お時(小宮光江)と判った。
心中と見られたが鳥飼刑事(加藤嘉)だけは疑問を持つ。

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一か月後、東京の警視庁捜査二課から三原警部補(南廣)が福岡にやって来る。死んだ佐山は汚職事件の鍵を握っていた人物だった。三原は鳥飼の話を聞くうちに心中が偽装ではないかと思い始める。

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だが佐山とお時が東京駅で博多行の特急「あさかぜ」に乗るところをお時の同僚の八重子(月丘千秋)ととみ子(光岡早苗)、馴染み客の安田(山形勲)の3人に目撃されていた。

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調べてみると3人のいた13番線ホームから15番線の特急「あさかぜ」が見通せる時間は1日でたった4分間しかなかった。
東京駅の駅員は「仮面ライダー」の地獄大使こと潮健児。

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三原は安田に疑いを持つが、当時は北海道へ行っていたと言う完璧なアリバイがあった…。

推理ブームを呼んだ松本清張の同名小説の映画化。
清張映画と言えば松竹のイメージですがこれは東映の作品。中身は平凡です。
物語の中心はアリバイ崩しですが、解けてみればアリバイは全て他人名義と言う他愛のないものなので謎解きの妙味はない。 社会性も他の清張物に比べると薄いし、共犯の妻の心理描写も不足。
原作の筋にはほぼ忠実ですが、清張の小説ってドラマチックな要素が希薄なためそのまま映像化してもさほど面白くならないのです。
ちなみに香椎駅周辺は現地ではなく近場でロケしたらしいし、札幌ロケにも俳優陣は行っていないでしょう。なので北海道から九州まで舞台が広い割にスケール感には乏しく、トラベルミステリーとして楽しめる部分も少ないです。

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俳優としては新人だった南廣。演技は下手です。

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当時40歳の高峰三枝子が28歳の役はいささか苦しかった。

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かろうじてこの映画を支えたのは山形勲の悪人振りと、

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刑事役の加藤嘉、志村喬、河野秋武ら老練な脇役陣。
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関連タグ: 松本清張 東映

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

盲獣

1969年/大映/増村保造監督
出演/船越英二、緑魔子、千石規子

これは昔、平日の昼間か何にテレビで見た記憶があります。原作は盲獣と称される殺人淫楽者が次々と女を捕えて弄び、責め苛み、殺し、そしてバラバラにして展示すると言う乱歩の中でも最もエログロ度の強い小説。なので、まさかこれが映画化されていたとは知らなかったし、あの「いもむしごーろごろ」や「鎌倉ハム大安売り」のエピソードはどう言う風に取り上げられているのかと期待半分不安半分で見たら、全く違うお話。厳密に言えば原作のごく一部を切り取って拡大し、別のモチーフで描いたオリジナル作品ということですが、盲獣のアトリエを飾る巨大な手や足、乳房のトルソなどは、お決まりの安っぽい悪趣味で描かれています。
出演者は盲獣の船越英二、モデルの緑魔子、そして原作にはない母親役の千石規子の文字通り三人だけ。大部分は密閉されたアトリエ内部でこの三人による三角関係の愛憎劇がドロドロと延々繰り広げられ、このほうが乱歩の原作よりある意味よっぽど気持ちが悪いです。母親が死んだ後は、触覚のみによる快楽の世界と言う原作にもあるエピソードが描かれますが、このほうは半ば付け足り。最後も、そういう結末に持っていくために頭で考えたお話と言う気配がミエミエで創意工夫がなさ杉。
緑魔子はヌードの場面でも微妙に胸が見えないように映しているので、その一線はしっかり守っているのかと思ったら、最後の方になるともうどうでも良くなったのか、しっかり乳首までまで見えてましたね。

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関連タグ: 大映

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

1969年/東映/石井輝男監督
出演/吉田輝雄、大木実、土方巽、由美てる子、小畑通子、賀川雪絵、笈田敏夫、高英男、小池朝雄ほか
物語。医大生人見広介(吉田輝雄)は記憶を失い精神病院に監禁されていたが脱出。聞き覚えのある子守唄を手がかりに北陸へ向かう。そこで自分そっくりの資産家菰田源三郎(吉田二役)が死んだことを知った広介は源三郎が蘇生したように見せかけ菰田家に入り込む。源三郎の父丈五郎(土方巽)は手に水かきがある奇形で、沖合いの無人島の改造を行っているという。やがて源三郎の妻の千代子(小畑通子)が殺される。広介は執事の蛭川(小池朝雄)、遠縁の静子(賀川雪絵)、下男(大木実)を連れ島に渡る…。

ベースは「パノラマ島奇談」で、中に「孤島の鬼」が入っています。つまり無人島では美のユートピアの代わりに奇形人間のユートピアを製造しているわけで、ほかにも「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「蜘蛛男」などを無理矢理入れ込んでいます。
カルト映画として大げさな評判とは裏腹にプロット自体は割とオーソドックスで、特に源三郎になりすました人見広介目線で進む中盤の「パノラマ島」パートまでのミステリーはなかなか面白く出来ています。でも肝心の奇形人間のユートピアがいただません。土方巽率いる暗黒舞踏団のオンステージ自体はそれなりに見事ですが、大資産家が半生をつぎ込んだ結果がこの程度なのではショボ過ぎるし、大部分の事態がナレーション風モノローグで始末されてしまうのも退屈。そして失笑物のラストシーンは確かに原作通りなんだけど、やはりああいうものは乱歩の筆になる文学表現だからこそ受け取り手のイマジネーションが広がるのであって、映像化すると全て台無しです。まあ作る方ではそれを承知の確信犯としてやっているんだろうけど、乱歩=安っぽい悪趣味でいいんだと言う風潮にした罪は重いです。

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関連タグ: 江戸川乱歩 東映

配達されない三通の手紙

1979年/松竹/野村芳太郎監督
出演/栗原小巻、片岡孝夫、松坂慶子、小川真由美、渡瀬恒彦、竹下景子、神崎愛、蟇目良、佐分利信、乙羽信子ほか
物語。萩の名家で長門銀行会長唐沢光政(佐分利信)の次女紀子(栗原小巻)は婚約者の藤村(片岡孝夫)に蒸発されてから精神を病んでいたが、その藤村が3年振りに突然戻ってくる。父親の反対を押し切って結婚した2人は幸せな新婚生活を送っていたが、藤村の妹・智子(松坂慶子)がやって来て同居するようになってからは不穏な空気が流れ始める。ある日、紀子は藤村が妹に妻の殺害を予告する3通の手紙を発見する。だがパーティの夜、砒素入りのグラスを飲んで死んだのは、智子だった…

原作エラリー・クイーンの翻案物です。映画の封切り当時、松坂慶子のフルヌードが呼び物のひとつになっていたことを覚えています(実際は後姿だけ)。
内容的には、たぶん原作(未読)にも助けられて見ごたえある本格ミステリーになってはいます。ただ野村監督の作品としては2時間サスペンスドラマ程度のレベルなのが、ちょっと物足りなさも感じます。元が外国のミステリーですから、松本清張の映画のように人間ドラマを情感たっぷりに描くというわけにいきません。せめて雰囲気をだそうとしたのか舞台を都会ではなく古い地方都市(萩)においていますが、それが物語の上で役に立っているようにも見えません。何より、唐沢家の三女(神崎愛)と居候の外国青年(蟇目良)がコンビで探偵役になって物語を回して行くあたりがもう、完全に2時間サスペンスのノリと同じですね。
2時間サスペンスと違うのは、131分とやたら長いこと。そのため事件が起こるまでが異様に時間がかかる。まず居候の青年がやってきて、藤村が戻ってきて、結婚して、新婚旅行に行って帰ってきて、そこへ智子がやってきて…と言う流れを全て時系列通りに描くもんだから、前半がだらだらし過ぎです。ちなみに脚本は新藤兼人なんですけど、もうちょっと何とかならなかったんでしょうかね。渡瀬恒彦が検事で神崎愛の婚約者役なんですけど、前半は殆ど活躍しないのがもったいない。
出演者は非常に豪華で、ここだけはさすがに70年代の大作映画らしさを感じさせます。上記のほかにも、小沢栄太郎、北林谷栄、滝田裕介、米倉斉加年、稲葉義男、蟹江敬三らが出ています。
神崎愛は無名塾出身の女優であると同時にプロのフルート奏者で、劇中でフルートの演奏シーンがあるのはそのため。蟇目良は団次郎なんかと同じハーフのモデル出身で、NHK朝の連続テレビ小説にも出てましたね。

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黒の挑戦者

1964年/大映/村山三男監督
出演/田宮二郎、久保菜穂子、坪内ミキ子、藤原礼子、紺野ユカ、山茶花究、見明凡太郎、島田竜三、伊達三郎ほか
物語。新進気鋭の弁護士南郷次郎(田宮二郎)はある夜、息も絶え絶えの若い女(紺野ユカ)から助けを求める電話を受ける。指定された公衆電話にかけつけると女は既に虫の息で、病院に運ぶが死亡した。女の身辺を探った南郷は、怪しげな秘密パーティーと、その背後に隠された黒い組織の存在を知る…黒シリーズの8作目。

モノクロ映像で産業スパイやら法廷物やらの社会派サスペンスを撮っていた黒シリーズの中で、これは唯一のカラー作品。内容も、田宮さん扮するキザでスタイリッシュな若手弁護士が活躍する推理アクションなので黒シリーズらしくありません。いつもモテモテの南郷にやきもちを焼いている女性助手(坪内ミキ子)や古馴染みのベテラン刑事(山茶花究)なんかがレギュラーっぽく出て来るあたりは、むしろこれを1作目として南郷探偵シリーズを立ち上げても良かったんじゃないかと言う感じです。ちなみに原作は「事件記者」でブームを作った島田一男で、これ以前にも「南郷次郎探偵帳 影なき殺人者」(1961年)として天知茂主演により末期の新東宝で映画化されたことがあるようです。
お話は、女の怪死から端を発して、人身売買と麻薬密売を行っている組織の存在を知った南郷がその陰謀を打ち砕くもので、黒幕の女社長(久保菜穂子)が敵と知りながら南郷を愛してしまう悲恋を織り交ぜています。
秘密パーティーで繰り広げられる、パンツ一丁の男に下着姿の女がまたがっての「人間競馬」だとか、壁から突き出た女の足を見て、気にいった女性を選ぶ乱交パーティーだとかの趣向が何やら江戸川乱歩を連想させます。女性助手が拉致されたり、最期に悪のヒロインが主人公の腕の中で息絶えたりする設定も「美女シリーズ」チック。紺野ユカの裸体シルエット、藤原礼子の水着姿、ヌードダンサーのアップとか、サービスシーン?も多いです。田宮さんにはシリアスなお芝居のイメージがありますが、こういう探偵活劇物の主人公も結構はまっているので、案外明智小五郎役も行けたかもしれません。
山茶花究は東宝の人かと思ってましたが大映も結構多いですね。嫌味なインテリ役のイメージが強いですが、この映画のベテラン刑事とか「兵隊やくざ」での浪曲師役とか、人情味のある職人的な役柄でも味があります。坪内ミキ子は「座頭市」や雷蔵さんの時代劇のヒロインをやっている時は素人っぽくてあんまりしっくり来なかったのですが、この作品は地に近いせいか、なかなか可愛かったです。

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関連タグ: 田宮二郎 大映
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