刑事コロンボ 愛情の計算

1974年/米ユニヴァーサル/1974年8月31日NHK放送
物語。シンクタンク所長のケイヒル(ホセ・ファーラー/声・鈴木瑞穂)は息子ニール(ロバート・ウォーカー/声・原田大二郎)の盗作を暴こうとしたニコルソン教授(リュー・エヤーズ/真木恭介)を車で轢き殺し居間に運び入れて強盗の仕業に見せかける。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は現場の不自然な状況からケイヒルに疑いの目を向けるが、犯行時間には研究所のコンピュータ室で戦術シュミレーションを指揮していたアリバイがあった…シリーズ23作目。

これはシリーズ1、2を争う珍作。犯人がアリバイ工作に使ったのは、なんとロボット。すなわち犯行の間、ロボットにシュミレーションを指揮させていたのですが… 21世紀の現在でもそのような人間の代行をするロボットはいまだ完成していないし、しかもそのロボットと言うのがテレビシリーズ「宇宙家族ロビンソン」に出てくる「フライデー」そっくりな古典的タイプ。アリバイ崩しの本格ミステリーにSFを持ち込んじゃいけません。
百歩譲ってそこには目を瞑ったとしても、ストーリーそのものがかなり杜撰。
犯人は被害者をひき殺した後、死体を邸内に運び入れて強盗に殴り殺されたよう見せかけるわけですが、轢殺と撲殺の違いなんてすぐバレるに決まっているわけで、計画がお粗末。一方でコロンボの推理も微妙。犯人が死体を担ぎ込んだ時ドアに付いた被害者の靴跡の位置から、犯人は背の高い人間だと断言するのですが、よく考えると抱きかかえたかもしれないし背負ったかもしれないのに、靴跡の位置だけで決め付けるなんて根拠がなさ杉。
まあ、それにも目を瞑ったとしても、結末がひどい。コロンボは息子ニールをわざと無実の罪で逮捕して犯人の自白を引き出すと言う強引なもので、何のひねりもありません。本来ここは折角ロボットを出したんだから、コロンボもそのロボットを使った逆トリックで犯人をはめるのでなければ、つまらないでしょう。多分、コンピュータの冷徹な計算も肉親の愛情には勝てなかった、と言う皮肉でオチをつけたかったんでしょう(邦題もそこから来てるんでしょう)が、ストレート杉ます。
ケイヒル役のホセ・ファーラーは「アラビアのロレンス」でロレンスを拷問する男色のトルコ軍将校役ぐらいしか知らないのですが、実はアカデミー主演男優賞を受賞した名優。吹替えの鈴木瑞穂さんは大好きな俳優さんの一人で、その重厚な声と風貌で正義派の弁護士から軍人・政治家まで善悪問わず演じて70~80年代の大作映画では欠かせませんでした。
ファザコン息子ニール役のロバート・ウォーカーはヒッチコックの「見知らぬ乗客」で犯人を演じた同名俳優の息子で、顔が父親そっくり。その声を原田大二郎さんがあてているのは今からするとなんか不思議な感じもしますが、もともとデビュー当時は屈折した繊細な青年役とかが多かったみたいです。
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刑事コロンボ 黒のエチュード

1972年/米ユニヴァーサル/1973年9月30日NHK放送(1983年8月3日日本テレビ放送)
物語。指揮者のアレックス・ベネディクト(ジョン・カサヴェテス/声・阪脩)は結婚を迫っていた愛人のピアニストを殺害し自殺に見せかける。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は現場の不自然な状況から他殺と看破し、ベネディクトに疑いの目を向ける…シリーズ10作目。

これは”小池コロンボ”の最後の作品。簡単に言えば、NHKから日本テレビに放送が移った後で吹替えをし直したからで、それが小池さんの生前最後のコロンボの吹替えになったと言う次第。その後DVD等収録される吹替えも全て日テレ版の方なので、NHK版は幻になってしまいましたが、聞くところによると最新のブルーレイ版ではNHK版(アレックスの声・長谷川哲夫)の吹替えも復活したとのこと。
それはともかく、シリーズとしては第1シーズンの大ヒットを受けてスタートした第2シーズン最初の作品。と言うことで力を入れたでしょうが、出来はイマイチです。
犯人は犯行の際タキシードの胸に挿していたカーネーションを落とし、現場に戻った時に拾いますが、それをコロンボが目撃。従って話の要はコロンボがいつその意味に気づくかに集約されるのですが、なかなかそこまで至らない。と言うのは、犯行は自殺を偽装してあるのでまずそれを他殺と断定し、更に犯人と被害者の愛人関係を暴き動機を探り出し… と言う具合に、かなり迂回路をたどらないとカーネーションまで話が結びついて行かないわけです。しかも殴って自殺に見せかける、と言う犯行方法が妙竹林で、ガス自殺しようとしている人間が棚から落ちて気絶なんて状況は一目で不自然なのがバレバレなのに、コロンボがそれを証明するまで時間がかかりすぎ。コロンボは、と言うよりシナリオの意図ではストレートにカーネーションで犯人を追い詰める手法を良しとせず、そこに犯人の奥さんを絡めた心理劇を描くことに主眼を置いているため、途中でだれますね。コロンボがわざわざサインを貰いにベネディクト邸を訪れたシーンなんか、最初は何の意味があったのかさっぱりわかりませんでした。あれは要するに犯人がいかに豪奢に生活しているか、従って不倫がバレて楽団を追い出されるといかに困るか、と言う動機を確かめに行ったんでしょうが、視聴者にはわかり切ったことをそこまで描く必要があったんでしょうか。
しかしこの作品の中で一番ひどいのは何といっても犯人役を演じたジョン・カサヴェテスの迷指揮者振り。ド素人から見ても全く演奏と合っていない滅茶苦茶な指揮棒の振り方には笑ってしまいました。

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刑事コロンボ 別れのワイン

1973年/米ユニヴァーサル/1974年6月19日NHK放送
物語。ワイン工場の経営者エイドリアン・カッシーニ(ドナルド・プレゼンス/声・中村俊一)は、腹違いの弟でオーナーのリック(ゲーリー・コンウェイ/声・加茂嘉久)が会社を売り払うと宣言したことに激怒して衝動的に殴り倒す。気絶したリックをワイン貯蔵庫に閉じ込めて空調を切り、数日で窒息死するように工作してニューヨークに旅立ちアリバイを作る。一週間後に戻ったエイドリアンはリックの死体を海でスキューバ中に溺死したように見せかけるが、コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は疑惑を持つ…シリーズ19作目。

これはシリーズ最高傑作と言われているようです。ミステリーより、人間ドラマや芸術的な雰囲気の部分で評価されているのでしょう。私の好みではありませんけどね。
犯人はオタクなワイナリー経営者で、自分の生涯を捧げて来た工場をオーナーである弟が売り払おうとしたことに逆上しての犯行。その気持ちはわからないではありませんが、元はと言えば売れないワインばかり作って赤字を出しながら、会社の金を湯水のように注ぎ込んで高いワインを買い漁っていたせいなのだから自業自得。誰がオーナーでもこんな経営者はクビでしょう。一方でこの弟が殺されて当然と思えるほど憎たらしい奴かと言えば、そうでもないんですね。女にだらしない遊び人とはいえ、多くの仲間から愛されているナイスガイで、彼らから見たら兄貴の方がよっぽど異常。要するに性格が合わないだけだし、むしろ道楽に見境が無い点では似ているとも言えます。
最後は、その弟を殺してまで守ろうとしたワインが全部ダメになってしまったことが発覚して、犯人は破滅してしまいます。たまたま異常高温になったことが原因ですが、もともと季節は夏だったわけだし、また普段から驟雨などで気温の寒暖差が大きい地方でもあるようです。従って異常高温であろうがなかろうが、どっちみちワインはダメになっていたんじゃないでしょうか。しかも犯人はワインの味の微妙な変化にも神経質なこだわりを持った人物です。なのに一週間も空調を切ったままにしてどうして平気だったのか、どうもよくわかりません。所詮オタクとしても二流程度の人物だったってことなんでしょうか。
エイドリアン役のドナルド・プレゼンスは「007」などに出演した性格俳優だそうですけど、あまりよく知りません。吹き替えの中村俊一さんも残念ながらお名前しか知らず。カレン役ジュリー・ハリスは「エデンの東」でジェームス・ディーンと共演した時は可憐な少女役でしたが、この作品では中年の独身秘書役。でも外見はそう変わっていませんでした。吹き替えの大塚道子さんはテレビドラマの口うるさいお姑さん役でお馴染みでした。

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刑事コロンボ 死者の身代金

1971年/米ユニヴァーサル/1973年7月7日NHK放送
物語。女性弁護士のレスリー(リー・グラント/声・山東昭子)は夫を射殺し死体を崖から海へ落とした後、身代金目的で誘拐されたように見せかける。FBIが捜査に乗り出す中、レスリーは犯人の指示通り自家用小型飛行機から投げ落としたバッグの中身、身代金30万ドルを奪われたように偽装する。しかしコロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)はいくつかの不自然な点からレスリーに疑惑を持つ…シリーズ2作目。

1968年の1作目「殺人処方箋」から3年振りに製作された2作目。とは言えまだ正式にシリーズ化されたわけではないので、後のシリーズでお馴染みのフォーマットとはやや異なる部分もあります。しかし、コロンボの人物造形は既にほぼ完成されたものになっていますし、もともとが舞台劇だった1作目に比べると、セスナを使った大胆な身代金受け渡し場面など物語が非常に映画的になっているのも特徴です。
犯行計画は夫を殺害した上で、身代金目的の誘拐事件に見せかけるというもの。アメリカの警察制度をよく知りませんが、誘拐はFBIの管轄らしく、最初コロンボはオブザバーで邪魔者扱い。しかし夫からの電話の際、レスリーが安否を尋ねなかった対応に疑問を抱くなど、抜け目なく観察眼を働かせています。予め録音したテープを使ってタイマーで電話をかける装置なんてのが、当時からあったんですね。やがて死体が発見され殺人と決まってから漸く本格的にコロンボと犯人の対決が始まります。
今回は2作目にして早くも女性犯人です。のちの作品では女性が犯人の場合だと愛情がらみの情緒的な話が多くて、あまり好きじゃないのですが、この犯人は夫の財産目当ての冷酷非情な女性なので、コロンボとの対決もかなり盛り上がります。特にレスリーがコロンボを"空の散歩"に連れ出した上、ド素人のコロンボにいきなり操縦桿を渡す大胆な行為は、犯人の性格を表わす上で効果的なシーンです。そしてコロンボが最後に仕掛ける罠も、相手の性格を読んだ上での大芝居と言う点ではよく出来ていると思いますが… ただ肝心のその芝居そのものが他人任せなのは感心できないですね。未成年の娘にあんな演技をやらせるのも危険過ぎます。
レスリーの声を当てている山東昭子は子役出身のタレントで、このあと1974年に参議院全国区から出馬して当選、現在も参議院議員です。所謂タレント議員の1人で、参議院の同期には元女優でワイドショーの人気司会者だった山口淑子、NHKの人気アナウンサーだった宮田輝などがいました。最近の参議院は落ち目タレントの転職先ような感じになっていますが、昔は人気絶頂の人が立候補したようです。山東昭子のタレント時代を知りませんでしたが、この吹き替えを聞くと、少々カンに触るキンキンした喋り方は政治家になってからと同じですね^^;

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刑事コロンボ 攻撃命令

1977年/米ユニヴァーサル/1978年1月4日NHK放送
物語。心理学者のメイスン(ニコル・ウイリアムソン/声・平田昭彦)は亡き妻の愛人だったチャーリー(ジョエル・ファビアーニ/声・寺島幹夫)の殺害を計画、訓練した飼い犬に電話で命令を下しチャーリーを襲撃させる。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は惨劇を聞いたはずのチャーリーの電話の相手が警察に通報してこないことに疑惑を持つ…シリーズ44作目。

これは終盤シリーズの特徴である、事件そのものは大したことないのに話の雰囲気だけで押し通していく傾向が最も顕著な作品。犯人が映画マニアであることは事件の本質ではないし(襲撃のキーワードがどうしても「バラのつぼみ」である必要はない訳だし)、ゲストハウスに下宿する謎の女子学生は本筋と全然関係ない。謎解きシーンでビリヤードのポケットに仕込んでおいた証拠を取り出すコロンボの芝居がかった態度もキザったらしくて嫌だし、最後に犯人が刑事であるコロンボを殺そうとするのも意味が無さ杉ます。
殺人計画は遠隔地から電話で犬に攻撃命令を与えて襲撃させると言う一見巧妙なもので、何しろアリバイが完璧なんですからこれ以上のものはありません。その反面、自分自身が現場にいないのが致命的な欠陥になります。例えば犬が被害者を確実に殺害できるとも限らないんですから、もし生きていたらどうするつもりだったのか。あるいは事後の証拠の始末をきちんとできないのもマイナスですね。現に、受話器を元に戻しておかなかったためコロンボに疑いを持たれてしまいました。ほかにも心電図を取られながら計画を実行していたり、犬を訓練した痕跡を残しっ放しにしていたり、コロンボの言うように頭のいい犯人にしちゃ杜撰で無頓着過ぎました。
メイスンの声を当てている平田昭彦さんは言うまでもなく東宝特撮映画の代表的スター。平田さんの吹き替えってほかでは全然聞いたことがないので、非常に珍しいです。

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