激動の昭和史 軍閥

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1970年/東宝/堀川弘通監督
出演/小林桂樹、加山雄三、山村聰、三船敏郎、中村伸郎、神山繁、中谷一郎、三橋達也、黒沢年男 ほか
物語。二二六事件を契機に軍部は政治関与を強め近衛文麿(神山繁)内閣を擁立、東條英機(小林桂樹)が陸相に就任する。やがてアメリカとの開戦を巡って近衛内閣は倒壊、次期内閣首班は東條に大命降下した。そして開戦。山本五十六(三船敏郎)連合艦隊司令長官指揮のもと真珠湾攻撃が遂行され、緒戦の間は戦果をあげるが、ミッドウェーの大敗を機に戦局は逆転しガダルカナルで悲惨な敗北。毎日新聞記者の新井(加山雄三)は国民に真実を伝えるべく奔走するが…。

昭和11年の二二六事件から敗戦に至る9年間を約2時間余りで描いています。が、はっきり言ってちょっと駆け足で、「軍閥」と言いながら事実上東條1人しか描けていません。
開戦までは割りと丁寧で、陸相として開戦に賛成だった東条が、首相としては平和を願う天皇(中村又五郎)の意を受けて板挟みになり苦悩する姿が描かれ、必ずしも悪役として描かれていません。外見が東條とはおよそ似ても似つかない小林桂樹を起用したのもそのあたり考慮したからか…と思ったら、あにはからんや開戦後になるともう行け行けドンドン。早期の講和を勧める部下の諫言にも耳を貸さずただひたすら戦争完遂に邁進し、日本を敗戦に追い込みます。結局終ってみれば東条だけが悪かったと言う見解の域をあまり出るものではありませんでした。
一本調子になりがちな物語を幾分ドラマチックにしているのは新聞記者を演じる「裏主役」の加山雄三で、大本営発表が国民に真実を伝えないことに抵抗。東條の逆鱗に触れ弾圧されます。尤も、これだけなら東条悪玉の裏返しに過ぎず、ただ新聞記者を善玉にして描くだけかと思ったら、最後に特攻隊員(黒沢年男)を登場させ、もともと東條を持ち上げて戦争を散々煽り立てた責任を棚に上げて正義漢面するマスコミを痛烈に批判。ここだけは非常に見応えがあったんですけど、逆に言うとそれまでがただ歴史の流れを追うだけだっただけに、取って付けたような感もなきにしもあらずで、戦史映画で深みのある作品を描くのはなかなか難しいです。
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日本のいちばん長い日

1967年/東宝/岡本喜八監督
出演/三船敏郎、笠智衆、山村聰、中丸忠雄、黒沢年男、佐藤允、久保明、高橋悦史、島田正吾、藤田進、田崎潤、志村喬、加藤武、宮口精二、加東大介、小林桂樹、加山雄三、松本幸四郎、仲代達矢(ナレーター)ほか

日本が終戦に至る、昭和20年8月14日正午から15日正午までの24時間を描いたドキュメント映画で、2時間37分の大作。
これは子供の頃テレビで見ました。多分殆どノーカットだったと思いますが。今はこういうの、やりませんね。
前半はポツダム宣言をめぐり受諾やむなしとする鈴木貫太郎総理(笠智衆)、米内海軍大臣(山村聰)と陸軍の意を体し徹底抗戦を唱える阿南陸軍大臣(三船敏郎)ら閣僚の間で喧々諤々の激論が交わされ、最後は御前会議で昭和天皇(先代の松本幸四郎、後姿と声のみ)の「聖断」で終戦が決まるまで。後半は、それを不服とする椎崎中佐(中丸忠雄)、畑中少佐(黒沢年男)、古賀少佐(佐藤允)ら若手陸軍将校がクーデターに決起、そして鎮圧され玉音放送に至るまで。
台詞のある女優さんは鈴木首相邸の女中役の新珠三千代しかいません。男性オールスター総出演ですが、大半は軍人役ですから、丸刈りにすると他の映画に支障がありそうな俳優さん、例えば「若大将」の加山さんは放送局の職員役でほんのチョイ出演。尤も、どっちみち加山さんじゃ血気にはやる軍人役は似合いそうもありませんけどね。終始目ん玉をひん剥いたままで、完全にイッちゃってる叛乱軍の首謀者・黒沢年男さんの演技なんかは殆どホラーです。
胸が痛むのは、そうした政治動乱の局外で、終戦が決まったのを知らずに特攻出撃する無名の若いパイロットたちとそれを送り出す人々の姿。誰一人戻ってこない飛行場を見つめて基地司令(伊藤雄之助)が無言で流す涙が印象的です。

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八甲田山

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1977年/橋本プロ・東宝映画・シナノ企画製作/東宝配給/森谷司郎監督
出演/高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎、丹波哲郎、小林桂樹、森田健作、前田吟、緒形拳、栗原小巻、秋吉久美子ほか

物語。日露戦争直前、日本軍には厳寒での戦争経験の足りないことを懸念した第4旅団司令部の友田旅団長(島田正吾)と中林参謀長(大滝秀治)は、耐寒雪中行軍を実施。弘前第31連隊の徳島大尉(高倉健)と青森第5連隊の神田大尉(北大路欣也)を指揮官に、それぞれの雪中行軍隊が冬の八甲田山中ですれ違うと言う計画を立てる。
だが神田隊は、少数精鋭の行軍隊を望む神田大尉に意に反して大規模な編成となった上に、随行の大隊本部・山田少佐(三國連太郎)に指揮権を奪われて混乱、進路を失い猛吹雪の八甲田山中で遭難する。一方の徳島隊も、予想を上回る雪の猛威に難渋を強いられ…

1970年代の大作オールスター映画の流れを汲む、「砂の器」(松竹、1974年)に続く橋本忍脚本作品。
これは公開当時映画館で観た。館内の冷房が効き過ぎていて、映画の内容さながらに寒った上、座席が狭くて硬くてお尻が痛いのを我慢しながら観ていた覚えがある。
原作は新田次郎の小説。日露開戦を目前にした明治35年、陸軍は厳寒の地での戦闘を想定した雪中行軍を実施し、その結果、199名の凍死者を出す大惨事になってしまった・・・という実話を元にしている。映画も実際に真冬の八甲田山でオールロケ、それも現実の雪中行軍さながらにあわや凍死寸前という過酷な撮影もあったということで、作品を通じて観客も猛吹雪と雪崩の極寒地獄を追体験できる。「天は我々を見放した!」というフレーズは当時の流行語にもなった。

三十数年前の初見時には、神田隊遭難の原因は、専ら、三國連太郎演じる山田少佐が横車を押したせいだと思っていた(演じる三國連太郎が軍人の傲慢不遜を絵に描いたような憎たらしさなので、尚更そう思えた)。
しかし今改めて見ると、どうもそれだけではない。

まず、いけないのは、そもそも旅団司令部がきちんとした命令を出さずに、半ば神田・徳島個人に責任を押し付けるような曖昧な形で雪中行軍をやらせたこと。次に、連隊長(小林桂樹)が、大隊本部が随行する変則的な行軍隊計画に一抹松の危惧を抱きながらも、許可を出してしまったこと。この二つが一番の元凶だろう。トップが責任を回避し判断を誤ると、その皺寄せが全て現場に降りかかって来るというのは、どんな組織にも共通する弊害なのだ。
それから一見犠牲者に思える神田大尉もあくまで現場の責任者である以上、やはり彼自身が判断を誤った責めは負わざるを得ないだろう。
こうした全体図は大人になってみないとわからない。これも年を経て昔の映画を再見する場合の楽しみのひとつ。

見えない、といえば、横殴りの吹雪の中で行軍する俳優たちの顔は、大きなスクリーンで観ても誰が誰だかさっぱりわからない。おまけに、徳島隊と神田隊の様子が交互に描かれるため、らどっちがどっちの話だかよくわからなくなってくる。行けども行けども雪、雪、雪、氷、氷、氷、の単調なシーンばかりが3時間も延々続くと、さすがに途中から少し飽きてくる。
そういう意味じゃ、大作映画にありがちな、あれもこれもで詰め込みすぎになってしまう悪しき欠点を露呈した面も無きにしも非ず。
しかし、この後も「聖職の碑」とか「アラスカ物語」と続き、遭難物、厳寒物映画の走りとなった作品である。
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連合艦隊

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太平洋戦争で日本海軍の連合艦隊が終焉するまでを描いたオールスター戦争映画(1981年・東宝・松林宗恵監督)

物語。昭和15年(1940年)、海軍は山本五十六(小林桂樹)連合艦隊司令長官らの反対を押し切り日独伊三国軍事同盟締結に同意。翌昭和16年、日米開戦。昭和17年、ミッドウェー会戦で大敗した日本軍はジリ貧に追い込まれ、やがて山本は戦死。そして昭和20年4月、戦艦大和の伊藤整一(鶴田浩二)司令長官に最後の出撃命令が下る…

前年(1980年)に東映が製作した戦争映画の大作「二百三高地」の大ヒットにあやかったのか対抗したのか知りませんが、戦争映画では本家とも言える東宝が久々に放ったオールスター大作戦争映画です。
過去の戦争映画とやや違う点としては、「二百三高地」同様、戦記一辺倒ではなく庶民の視点を導入している点ですね。ただし、この映画の主役は連合艦隊そのもの、或いは船とか飛行機なので、人間の側に特定の主演者はいません。
一応、配役のトップに来るのは山本五十六を演じた小林桂樹ですが、山本が戦死した中盤以降は機動部隊の小沢長官(丹波哲郎)や参謀長の宇垣(高橋幸治)、草鹿(三橋達也)、或いは民間人の森繁久弥と、その息子である二人の海軍士官(永島敏行、金田賢一)、財津一郎と中井貴一(これがデビュー作)の父子などによる群像劇で進み、最後は二人の息子を亡くした森繁が主題歌をBGMに、ひとり海辺に佇んでいるシーンで終わります。
ん?森繁のこういう姿って他にもどこかで観たぞ…と思ったら、2年後(1983年)の「小説吉田学校」で、森繁演じる吉田茂だけが一人長生きして海に向かって佇んでいる終わり方と全く同じなんです。現在の森繁本人を思うと、まるで現実を先取りしたようなシーンを二度も(もっとあるかもしれない)演じていることに感慨を覚えます。尤も、森繁は軍人という柄じゃないので、戦争映画に出るとすれば政治家でなければ市井の老人ぐらいでしか使い道がないのですが。
オールスター映画、特に戦争映画と言うといつも同じような顔ぶれが集まってしまうのですが、若い頃は士官クラスの役だった俳優が、年取って将官クラスを演じているのが観られるのも、この手の映画の面白いところ。例えばかつて「雲ながるる果てに」(1953年)で若い特攻隊員を演じた鶴田浩二が本作では沖縄に特攻出撃する戦艦大和の伊藤司令長官(中将)の役になっています。尤も、階級は大いに上がりましたが、やってることは同じなんですね。
一方、年取ってもあんまりステータスがあがらないのは佐藤允。「独立愚連隊」(1959年)でコンビだった中谷一郎が本作では大和の艦長(大佐)へと大出世しているのに、佐藤の方は相変わらずの下士官役です(ちなみに前年の「二百三高地」でも、俳優座同期の仲代達矢が乃木大将役だったのに対して佐藤はやくざ上がりの二等兵役でした)。でもやっぱりこの人にエリートは似合わないので、叩き上げのイキのいい下士官役が一番合ってます。
出演は他に小沢栄太郎、藤田進、長門裕之、古手川祐子、友里千賀子など。
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連合艦隊司令長官 山本五十六

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東宝男優陣総出演の戦記映画(1968年・東宝・丸山誠治監督)。翌69年にはほぼ同じ顔ぶれで「日本海大海戦」が製作されています。

物語。昭和14年、山本五十六(三船敏郎)は海軍次官から連合艦隊司令長官に転任。昭和16年、山本は日米開戦に極力反対するが、事志と異なり戦争に突入する。山本は早期講和実現のため有利な条件を獲得しようと作戦を進める。しかし日米の戦力差は圧倒的で、山本は苦慮する…。

この映画は正直言って、戦史ファンか特撮ファン以外にはやや退屈なんじゃないかと思います。
基本的に戦史をなぞって淡々と描いているだけなので、とにかく飛行機がやたら飛び回っている場面が延々と続きます。
山本が主役と言っても、司令官である彼は会議室か艦橋で報告を聞いている時ぐらいしか出番がありません。いくつかその人柄を伝えるエピソードは盛り込まれているものの、人間性が深く掘り下げて描かれるわけじゃないので、単に「山本はエラかった」という上っ面の域を出ません。
そうしたドラマ部分の欠如を補うものとして、前半に黒沢年男扮する若い将校と恋人の酒井和歌子の関係なんかは出てくるのですが、後半に全く続かないので、あってもなくてもいいような感じ。
結局、映画で戦史をお勉強しましたという以上の作品的印象は殆ど残りません。尤も、映画の公開当時は戦後まだ23年目で大半の大人は戦争経験者ですから、観客はこの程度の出来でも往時を回顧することで満足だったのかもしれませんが。。。

三船敏郎はこの作品も含め3回か4回、山本五十六を演じているはずで、私も子供の頃から山本五十六と言うと三船の風貌が刷り込まれてしまっていました。そのせいで後年、実際の山本が博打好き芸者遊び好きでユーモアのある性格と聞かされても、三船の無骨なイメージと合わずに戸惑ったものです。
他の出演者で印象に残ったのは森雅之の近衛文麿。他の映画ではデブの千田是也とか神山繁とか似ても似つかぬ近衛役が多いのですが、貴族的な雰囲気を持つ森雅之はピッタリでした。
出演者はほかに加山雄三、稲葉義男、平田昭彦、土屋嘉男、藤田進、司葉子、中谷一郎、松本幸四郎(先代)など。
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