忍びの者

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市川雷蔵主演で以後人気シリーズとなった「忍びの者」第1作目。
社会派の山本薩夫が監督した忍者物という異色作です(1962年・大映)。

時は天正年間。織田信長(城健三朗、後の若山富三郎)の破竹の勢いに脅威を抱いた伊賀忍者の頭目・百地三太夫(伊藤雄之助)は配下の忍者たちに信長暗殺を命じるが、誰一人戻ってきた者はなかった。
その頃、下忍の五右衛門(市川雷蔵)は三太夫の妻(岸田今日子)と密通しているのが三太夫にバレてしまい、罪を許す代わりに信長暗殺を命じられた。
五右衛門は京に上り信長を狙うが果たせない。そして更に信長を追って堺に来た時、マキという遊女(藤村志保)に出会った・・・。

と、ここで漸く藤村志保さん登場。雷蔵と並んで名前がクレジットされているヒロインなのに、映画が1時間近く経過してもなかなか出てこないので少しイライラさせられますが(まあ話が面白いからいいけど)それはともかく、マキの純真さに惹かれた五右衛門は「もう、忍者なんかや~めた!!」と(ってそんな軽くはないが^^;)マキと山小屋でささやかに幸せな生活を始めます。
しかしそこへ三太夫と側近の葉蔵(これが加藤嘉。精悍な感じで、爺さん役の時とはイメージが全然違う)がやってきて、マキを人質にあくまで信長暗殺を強要。仕方なく安土城に忍び込んだ五右衛門は毒薬を信長に飲ませることに成功しますが、一命を取り留めた信長は電光石火で伊賀の里を奇襲し全滅させます。
かくして目の上のたん瘤だった三太夫がいなくなり、五右衛門は晴れ晴れとした表情でマキのところへ帰って行きましたとさ。メデタシメデタシ。

というわけで、左翼のヤマサツが監督した忍者物というから白土三平みたいな重苦しい話を想像していたら、意外とあっさりしたストーリー。むしろモーレツな上役に虐げられる下層サラリーマンの悲哀を描いた風刺娯楽時代劇です。アクションや派手な爆破シーンなどもありお金もかかっています。

志保さんは、この作品がデビュー作「破戒」に続く雷蔵の恋人役。雷蔵さんとは17本共演してその大半で相手役を演じてますが、ハッピーエンドで終わるのは、おそらくこれだけでは?(続編もありますが、それはまた別の話)まだあどけなさの抜けていない、まん丸なお顔が可愛いです。
雷蔵さんは、眠狂四郎とか「炎上」「破戒」のような文芸物でのシリアスな演技、また、若くして亡くなった悲運から何となく暗いイメージもありますが、むしろ本来の個性は爽やかなところにあったのだと再認識。
それと伊藤雄之助。一人ニ役を演じているので声色なども巧みに使い分けているのですが、あんなに特徴的な顔では、どんな変装をしようと誰が見たって同一人物です(笑)
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眠狂四郎勝負

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市川雷蔵の代名詞「眠狂四郎」シリーズの第2作目(1964年・大映・三隅研次監督)。
物語のあらすじは、

愛宕神社の境内で狂四郎は老勘定奉行の朝比奈(加藤嘉)と知り合いになる。
幕府の財政を憂える硬骨漢の朝比奈は、驕慢な生活を送っている将軍家斉の娘・高姫(久保菜穂子)の化粧料を廃止したことで恨まれ、高姫の嫁ぎ先である堀家用人の白鳥主膳(須賀不二男)から狙われていた。
朝比奈の人柄に惹かれた狂四郎は勝手に警護役を買って出るが、謎の女占い師・采女(藤村志保)が操る5人の刺客に襲われる・・・

というもの。
狂四郎と言えばニヒルが身上ですが、この話ではまだ2作目ということで人物造形が確立していなかったのか意外と明朗です。朝比奈との友情を軸にテンポ良く展開していき話のまとまりもよいです。惜しむらくは、刺客5人と数ばかり多くても小物揃いなことか。1人ぐらい狂四郎に太刀打ちできる大物の剣客がいた方が良かったかもしれません。

藤村志保さんの役柄は、幕府に異国人の夫を捕われ、そのため心ならずも高姫の手先となって狂四郎を狙う女占い師。悲しい運命を背負った役なので最後どうなってしまうのかと少しハラハラしますが、幸い?死ぬことはありません。
志保さんの魅力のひとつはその目力にあるのではないかと思いますが、この作品でも、狂四郎を付け狙う時のらんらんと妖しく光る目、刺客を誘う時の冷ややかな目、そして己の運命に耐えつつ狂四郎を思慕する時の憂いと悲しみを湛えた目・・・様々な表情を見せてくれます。

老勘定奉行の加藤嘉は調べてみると1913年生まれなので、当時まだ50歳と結構若い。
尤も昔から爺さん役ばっかりなので、若い頃の想像がつきませんが。
他の妖艶な久保菜穂子、狂四郎を慕う純情な娘役の高田美和、猫背で鎌首をもたげる悪役の須賀不二男などサブキャラクターも魅力的です。
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大魔神怒る

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公開日/1966年8月13日 製作/大映京都 監督/三隅研次 特技監督/黒田義之
出演/本郷功次郎 藤村志保 神田隆 内田朝雄 上野山功一 平泉征(現・成) 丸井太郎 橋本力(大魔神) ほか

私が密かに?好きな女優さん、藤村志保さんの出演作についてランダムに取り上げて行こうと思います。
まず最初は、ある意味志保さんの出演作では最もよく知られていると思われる、これ。大映の特撮時代物「大魔神」3部作の第2作目にあたります(1966年・三隅研次監督)。
ちなみに「大魔神」3部作は全て1966年の1年間に製作・公開されています。意外な感じもしますが、当時は「座頭市」にしろ「眠狂四郎」にしろ、所謂プログラム・ピクチャーの製作ペースはみんな、そんなもんだったようです。

物語は

時は戦国時代、美しい八雲の湖のほとりで平和に暮らす千草十郎(本郷功次郎)とその分家・名越兵衛(内田朝雄)の一族の領地へ、山奥の悪逆非道な領主・御子柴弾正(神田隆)が攻め入ってきて、征圧。更に一族の守り神である武神像を破壊して湖に沈めてしまう。
しかし弾正によって火あぶりの刑にされかかった名越の姫・早百合(藤村志保)が神に祈りを捧げた時、突然湖が割れ怒りの形相となった武神像が出現し、弾正一味を滅ぼす。そして早百合が湖の岸辺にひざまずき再び感謝の祈りを捧げ涙をこぼすと、武神像は水滴となって消えてゆくのだった・・・

というもので、至ってシンプルなストーリー。
物語の大半、とにかく善玉は悪玉にやられっぱなし。しかし最後に現れた大魔神が暴れまわり(単に歩いているだけですが)小気味よく悪人どもを蹴散らしてくれます。モーゼの「十戒」を模した出現シーンはもとより、その存在感威圧感は初代ゴジラに匹敵するのではないでしょうか。シリーズはたった3本しか作られなかったにもかかわらずいまだに高い知名度を誇っているのも、うなづけます。最後に乙女の涙とともに水滴となって消えていくという退場の仕方も洒落ています。

それはともかく、怪獣物の常として、人間側の出演者たちはいささか影が薄いです。
一応、この映画の主役は千草の若き領主・十郎役の本郷功次郎なわけですが、いくら善良な領主とは言え戦国時代の武人ともあろうものが、館に敵が雪崩れ込むまで気がつかないなんて、善人と言うより単なるお人よしだし、敵方に乗り込んだものの失敗、ほうほうの態で逃げ出したところを一網打尽なんて、マヌケすぎ。ガメラシリーズの時以上に存在感がありません。
その点おいしいところをひとりでかっさらっているのは悪役の神田隆。前半は悪逆非道のやりたい放題だし、終盤は大魔神から哀れに逃げ回る一人芝居で魅せてくれます。
名越の領主兵衛役内田朝雄とその息子役の上野山功一は悪役でも名を馳せた2人なので、この話でもいつ寝返って本郷功次郎に斬りかかって来るのかと内心ハラハラ(期待)していたのですが、むしろ内田はあっさり斬られてしまうし、上野山も最後まで善人の役でした。ちなみに今では渋い名優の平泉成が本郷の家来の忠義な若者役で出ています。

この映画での藤村志保さんはヒロイン、名越の姫・早百合の役。しかし、全編ただひたすら神に祈ってばかりいるだけのか弱い存在なので、芝居としてはあんまり面白味がないです。まぁ、そもそもがこういう単純なストーリーなのですから、それも致し方ありません。専ら清楚で可憐な志保さんを堪能するためだけには最適ですけどね。エクスタシー?の表情で火あぶりされるという、マニア必見のシーンもあるし(笑)
ただ、こう言っては何ですが、どちらかと言うと志保さんはのっぺりした顔立ちなので、ぺたっとした髪型のお姫様役にはあんまり似合いません。むしろ髷を結っている町娘役の時の方が小粋で魅力的な感じがするのですが。
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高原へいらっしゃい(1976年版)

2003年にリメイク版が放送されましたが、こちらは76年放送のオリジナル版の方です。挫折したホテルマンが高原の潰れかけたペンションで再起を図る、という設定はリメイク版でも同じですが、個々のエピソードは全く違っています。
主演は同じTBSの「白い」シリーズで人気テレビドラマ俳優の地位を確立していた田宮二郎。
当時絵に描いたようなキザなエリートを演じることの多かった田宮にしては珍しい、ややコミカルな面も見られる貴重なドラマ。あの衝撃的な自殺の印象から何となく気難しいイメージのある田宮ですが、普段の素顔はむしろこっちに近かったようです。
他のレギュラー出演者は前田吟、益田喜頓、由美かおる、池波志保、尾藤イサオ、潮哲也、北林谷栄、常田富士男、古今亭八朝、徳川龍峰、三田佳子、岡田英次など。
最近また息子の問題でお騒がせの三田佳子が清楚で品のある奥様役、だったり、今だに娘役の由美かおるがこの当時は本当にピチピチで若いのも興味深いです。
 
笑顔がチャーミングな田宮二郎と清楚な三田佳子
 
永遠の婆さん役北林谷栄(今もご存命です)と永遠の?娘役由美かおる

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NHK特集「日本の戦後」シリーズ

NHK特集(現・NHKスペシャル)枠で1977年から78年にかけて月1回ずつ全10回放送された歴史再現ドキュメント。終戦からサンフランシスコ講和会議までの出来事をドキュメンタリーとドラマ部分の合体で描いたものです。
ドラマ部分の出演者はそうそうたる顔ぶれ。

松村達雄(吉田茂)、佐分利信(東郷茂徳)、嵐寛寿郎(鈴木貫太郎)、高橋昌也(近衛文麿)、中村伸郎(木戸幸一他)、小沢栄太郎(東條英機他)、佐藤慶(田中隆吉)、久米明(池田勇人他)、観世栄夫(佐藤栄作)、伊藤雄之助(芦田均)、神田隆(西尾末廣)、千秋実(片山哲)、宮口精二(鈴木茂三郎)、他にも芦田伸介、平田昭彦、中条静夫、高橋幸治、加藤嘉、織本順吉、鈴木瑞穂、地井武男、竜崎勝、ナレーター江守徹など。

このうち松村達雄の吉田茂役だけが固定で、中村伸郎、小沢栄太郎などは回毎に複数の役を演じました。
池田勇人役を演じた久米明は、過去に映画「金環蝕」と「不毛地帯」で池田がモデルの政治家を演じたのですが、このドラマでは遂に池田本人を演じてしまいました。また、佐藤慶は後に大河ドラマ「山河燃ゆ」でも再び同じ田中隆吉役を演じています。

更に、驚くのはジョージ・ファーネスです。もともと彼は東京裁判で日本側弁護人を務めた、言わば彼自身が歴史上の人物だったのですが、その後もなぜかアメリカへ帰国せず日本に残って法律事務所を開く傍ら「地球防衛軍」などの映画に俳優として出演しました。
そのファーネスがこのドラマの中で、なんと東京裁判のウェッブ裁判長の役を演じているのです。かつて自らが弁護人として参加した現実の裁判のドラマ化に、逆の立場で出演するとは・・・いったい、どういう心境で演じていたのでしょうか。
ちなみにこの番組内容を収録したシナリオ風の本が出版されています(日本放送出版協会刊)。
 
同書より。ジョージ・ファーネス。松村達雄。

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悪い奴ほどよく眠る

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先日に続きもう1枚黒澤映画の古いチラシ。1960年に公開された『悪い奴ほどよく眠る』です。
近年黒澤作品のリメイクが盛んとは言え、しかしこの映画がリメイクされることだけは天地がひっくり返ってもないでしょう。これは黒澤プロダクションの第1回製作作品でもありました。
物語は、

日本未利用土地開発公団副総裁・岩淵(森雅之)の娘(香川京子)と秘書の西(三船敏郎)の結婚披露宴が始まろうとしていた時、公団の課長補佐(藤原釜足)が汚職事件で逮捕される。やがて会場に運びこれまたウェディングケーキは公団の新庁舎ビルの形をしており、5年前未解決のまま終っていた汚職事件の際、自殺者が飛び降りた窓には赤いバラが差し込まれていた・・・

と言うところから一見ミステリー風に始まります。
公団の汚職事件を舞台にした社会劇映画と言う事で、後年の『金環蝕』を連想させる作品ですが、この映画の方がはるかにドラマ仕立てになっています。ただ、本当に「悪い奴」=「巨悪」は公団の上にいて枕を高くして眠っている政治家なわけですが、この映画ではそこまで描かれていません。
黒澤によれば、当時はそこまで突っ込むといろいろ差し障りがあって描けなかったとのことですが、物語の大部分は主人公による復讐劇の様相で展開されており、話のピントがいささかぼやけている気がしないでもありません。
ちなみにこの映画の冒頭シーンが、後にコッポラが『ゴッドファーザー』を同じく結婚式シーンから始めるヒントになったというのは有名な話です。
公開日/1960年9月4日 配給/東宝
製作/黒澤プロダクション・東宝
監督/黒澤明
出演/三船敏郎 森雅之 加藤武 香川京子 三橋達也 藤原釜足 志村喬 西村晃ほか

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椿三十郎(黒澤明監督)

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実家にあった(たぶん親が見に行った時のもの)黒澤明監督の映画『椿三十郎』(1962年)の公開当時のチラシです。
今リメイク版が公開されているようですが、言うまでもなく本家本元のオリジナルはこちら。前作『用心棒』で人気沸騰した三船敏郎扮する滅法強い浪人・三十郎のキャラを再び起用し、今度はお家騒動に巻き込まれた三十郎の活躍を描きます。
原作は山本周五郎の短編小説「日日平安」。昔読んだことがありますが、原作はむしろからっきし弱い侍がお家騒動を機智で解決していくというものです。黒澤も最初はこの原作に忠実なシナリオを書き上げていましたが、東宝サイドから三十郎でもう1本作れと言われて差し替えたという経緯があります。
特に脚本で「これから先はとても筆では書けない」と書かれていたという、ラストの決闘シーンは必見。このシーンをリアルに見せるため、三船自ら工夫を重ねたと言います。そういう意味では三船あっての三十郎であって、今更の下手なリメイクに何の価値があるのかわかりませんが、まあ、それがきっかけでオリジナルが再評価されれば意味がなくもないでしょう。
ちなみに、物語の終盤、小川に椿の花を流すシーンで黒澤は赤い椿だけカラーにしたかったそうです(次作の『天国と地獄』の煙突シーンで実現)。
爬虫類のようにぎらぎらした仲代達矢の悪役振りとワンシーンだけ出演する伊藤雄之助のとぼけた演技も印象的です。

公開日/1962年1月1日 配給/東宝
製作/黒澤プロダクション・東宝
監督/黒澤明
出演/三船敏郎 仲代達矢 加山雄三 小林桂樹 団令子 入江たか子 伊藤雄之助 ほか

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白い巨塔(映画版)

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田宮二郎の『白い巨塔』と言うと、自殺直前に演じていた1978年テレビ版が有名ですが、もともとは1966年の映画版(大映)が最初です。比較的早くからビデオ化されていたので、リメイクも旧作の再放送もなかった頃の巨塔ファンは、かろうじてこの映画版で映像化されたものを見ることができました。しかし、同じ田宮主演だから・・・と思って見ると大違い。

そもそも、映画化の時点で完結していた原作は、誤診裁判の一審で財前が勝訴し里見が大学を追われるまででした。従って映画も「悪が栄え善が滅びる」と言う非常に後味悪い、救いのない結末に終っています。
しかも監督が社会派の巨匠山本薩夫と来れば、人間ドラマ部分よりドロドロ汚れた医学界の不条理さを強調する作りになっているのは必定。その分悪人どもの存在感はかなり強烈ですが、反面それ以外の登場人物の個性が薄い観は否めません。

財前五郎を演じた田宮二郎はこの時31歳でした。
テレビ時の洗練された「大人」の財前に比べるとギラギラした野心剥き出し。しかし教授の貫禄は既に十分です。
同じく後の田宮テレビ版でもそれぞれ鵜飼と大河内を演じた小沢栄太郎と加藤嘉は、テレビ時には少し老け過ぎの観がありましたが、この映画では年齢的にもまさにはまり役。
東教授役の東野英治郎は大学教授というよりむしろ田舎の中学の頑固な校長というタイプなので、ややミスキャスト。ただしこの映画での東は原作にあるようなインテリのひ弱さは見られず、むしろ権力闘争をものともしないアクの強い人物に描かれているので、あくまで映画用のキャラとしては、これでいいのかもしれません。
また、小川真由美の演じるケイ子も、財前の野心の尻馬に乗って煽り立てているだけの悪女の扱いなので、原作で垣間見られる優しさの面は全く出ていないです。
そしてこの映画最大のキーマンとも言える船尾教授役は滝沢修。原作では教授選挙で財前の敵方でしたが、映画では裁判の鑑定人として出廷して大演説をぶち財前に有利な証言をして勝訴に導きます。つまり「医者はみんなグル」という、白亜の巨塔の閉鎖性を象徴する人物として描かれています。

一方、原作では財前と対をなす主役である里見助教授役は田村高廣。
しかしこの映画では生真面目というだけで意思の強さが感じられないので、善人なんだか単なる学者馬鹿なんだかよくわかりません。
その点では藤村志保の佐枝子も同じ。
清楚で芯の強い女性という志保さんのイメージは佐枝子役として決して悪くないのですが、この映画での佐枝子はさほど重要な役割ではないので、ヒロインとしての要素が希薄なのが残念(個人的には、珍しく現代劇での洋服姿が見られて嬉しいですが)。
原作後半部ではもう1人の主役と言ってよい柳原も、前半部までで終っているこの映画ではさして存在感がないし、船越英二の菊川教授に至っては、誰でも良かったような感じです。
なのでドラマ版のイメージで見るといささか拍子抜けしますが、一種のピカレスク映画としては並々ならぬ力作であることは確かです。
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