男はつらいよ 知床慕情

1987年/松竹/山田洋次監督
出演/渥美清、三船敏郎、倍賞千恵子、竹下景子、淡路恵子、すまけい、下條正巳、三崎千恵子、前田吟、太宰久雄、笠智衆ほか
物語。柴又に帰った寅次郎(渥美清)は入院したおいちゃん(下條正巳)に代わって働こうとするが務まらず、再び旅に出る。知床で獣医上野順吉(三船敏郎)と知り合った寅は彼の家に居候。順吉はスナックのママ悦子(淡路恵子)に惚れていたが、無骨な彼は自分の気持ちを表現できないでいた。そこへ順吉の娘りん子(竹下景子)が離婚して戻ってくる・・・シリーズ38作目。

寅さんと世界のミフネ、異色のコラボ(BGMで森繁の「知床旅情」も)。
映画そのものはあんまり面白くありませんでした。三船と淡路の恋、寅さんと竹下の恋、そして寅さんと三船の関係、どれも描き込み不足で薄っぺらい。特に寅さんと竹下の関係がすごく唐突で、いつものように寅さんがマドンナに惚れて振られるのではなく、逆に寅さんはその気がなさそうだったのに、竹下に惚れられているとわかるや逃げ出してしまいます。2人の心理がよく掴めないし、そもそも三船と淡路の関係に対比させる上で刺身のツマ程度の扱いしかありません。はっきり言ってこの部分は要らなかったんですけど、でも入れなきゃこの映画が「男はつらいよ」である意味がなくなっちゃうから、しょうがないんですけどね。実質的な主役は三船さんです。
頑固、無骨、口下手。長年培ったパブリックイメージは崩さずに、恋に悩む老獣医を演じさせたのは慧眼、北の大地に叩きつけるような三船さんの恋の告白シーンは感動的です。晩年の代表作になりました。難を言えば舞台が知床に偏重してしまったことで、ないものねだりすれば最後に上京した三船さんがとらやの店先にいるような珍妙シーンも見てみたかったです。
淡路恵子はこれがヨロキンと離婚後の復帰作だったそうですが、デビューの「野良犬」(1949年)も三船さんとの共演作でした。そういやあ竹下景子も以前は三船プロ所属でしたね。家を飛び出した竹下が三船と和解すると言うのは現実をなぞっているのかも。


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聖獣学園

1974年/東映/鈴木則文監督
出演/多岐川裕美、山内えみこ、渡辺やよい、三原葉子、森秋子、衣麻遼子、渡辺文雄、たこ八郎、谷隼人ほか
物語。修道尼だった母親の死因を突き止めるため多岐川魔矢(多岐川裕美)は修道院に入る。そこで魔矢は戒律に縛られた修道院の裏側で行われている異常な実態を目にする…

これは学生時代にレンタルビデオで見たのが最初。多岐川裕美のデビューお宝ヌード作品と言うことで、かなり期待^^;していたのに、案外つまらなくてがっかりした記憶があります。友達と一緒だったので冷静に見ちゃったせいかもしれませんけどね。それ以来の再見なのですっかり忘れていましたが、、、いやはや、思ってた以上にとんでもない映画でした。
レズ、オナニー、レイプ、リンチ、殺人、etc・・・男子禁制の神聖な信教の園で数々の痴態と暴力が繰り広げられます。中でも極めつけは、妊娠が発覚した修道尼(渡辺やよい)がキリスト像の銅板の上に放尿を強制させられるシーン。 B級映画とは言えよくキリスト教関係者から抗議が来ないもんだと思います。
それはいいとしても、ちょっと引いてしまったのは、渡辺文雄扮する麻原ショーコーみたいな長髪・髯モジャの司祭。彼こそ魔矢の母親を孕ませ死に追いやった張本人であり現在も修道尼をレイプしている諸悪の元凶で、渡辺さん、大真面目な顔して「遠くへ行きたい」や「くいしん坊万才」の裏ではこんな役もやっていたことを子供の頃は露も知らなかったのですが、その司祭のキャラクターは長崎での被爆経験がトラウマになっていて背中一面にもケロイドの痕かなんかがあるエゲツない設定になっています。いくらなんでもこれはやりすぎだろうと思うのですが、70年代のB級エログロ映画ってホント何でもありだったんですね。
お目当ての多岐川裕美は冒頭から谷隼人とのベッドシーンがあるなどばんばん脱ぎまくっていますが、やはり最大の見所は、棘だらけのツタで緊縛されてバラの花でシバかれるリンチシーン。デビュー作でこんだけハードなヌードを披露しておいて以後一切脱ぎ役なしと言うのも極端な経歴ではあります。
ほかにも修道尼がわんさか出ていて脱いでいますが、三原葉子以外は誰だか知らない女優さんばっかり。アバズレ上がりの石田松子役が、よく見ると江戸川乱歩の美女シリーズで「湖底の美女」にモデル役で出ていた山内絵美子だったことだけはわかりました。


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やくざの墓場 くちなしの花

1976年/東映/深作欣二監督
出演/渡哲也、梶芽衣子、梅宮辰夫、佐藤慶、金子信雄、藤岡琢也、室田日出男、矢吹二朗、小林稔持、大島渚ほか
物語。関西の巨大暴力団・山城組が大阪南部に進出し、地元暴力団の西田組(組長・藤岡琢也)と一触即発の状況にあった時、2年前やくざの幹部を射殺して左遷されていた黒岩刑事(渡哲也)が戻ってくる。黒岩は乱暴な捜査で西田組幹部の岩田(梅宮辰夫)と対立するが、大格闘の末に親交を深めて義兄弟の契りを結ぶ。一方、大阪府警は本部長(大島渚)ら幹部が裏で警察OBの金融ブローカー寺光(佐藤慶)を通じて山城組と繋がっていた…

サブタイトルの「くちなしの花」は渡哲也の1974年のヒット曲。同年の紅白にも初出場しました。それにちなんだ映画…にしては2年も経っているのですが、主題歌にもなっています。また渡の役名「黒岩」がテレビドラマ「大都会」と同じなので、どっちが早いんだと思ったら「大都会」の方が少し前から始まっているようです。
お話は、暴力団と警察の癒着を嫌って孤立した刑事の渡が、同じく癒着を嫌っていた組幹部の梅宮や服役中幹部の情婦梶芽衣子と意気投合…と言う、わかったようなわからないような流れで共闘。そうなった理由として渡が満州引き揚げ者、梶さんが朝鮮人ハーフで梅宮が混じりけなしの朝鮮人というバックボーンが設定されているのですが、唐突に持ち出されるだけで深く掘り下げられないので違和感を持ちます。死に際のVサインの意味も全くわからないし、最後まで渡の心情が掴めないので、話に乗り切れないまま結末を迎えてしまいました。
特別出演の大島渚は顔見せ程度なのかと思ったら、全部で4シーンぐらいあって台詞も結構多いです(大部分演説ですが)。それに連なる警察幹部が成田三樹夫、金子信雄、藤岡重慶、室田日出男と、どっちが暴力団だかわからない顔触ればかりなのも見所です。
渡と梶さんは1965年デビューの日活同期生。2人が抱き合いながら波打ち際で寝転がっているシーンは何だか日活青春映画のようでもありました。渡はこの後テレビにシフトして映画出演が途切れてしまうし、「さそり」で一世を風靡した梶さんもこれが最後の東映出演。2人とも映画スターとしてのキャリアはこのあたりで終わっています。


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関連タグ: 梶芽衣子 東映

怪談昇り竜

1970年/日活/ダイニチ配給/石井輝男監督
出演/梶芽衣子、ホキ・徳田、佐藤允、内田良平、大辻伺郎、加藤嘉、安部徹、砂塚秀夫、高樹蓉子、土方巽ほか
物語。関東立花一家二代目の明美(梶芽衣子)は渡世の義理で剛田組組長を狙うが、誤って組長の妹・藍子の目を切ってしまう。以来明美は藍子の目から流れる血を嘗めていた黒猫の悪夢に悩まされ続ける。三年後に明美は刑務所を出所するが、やがて子分たちが立て続けに無残な殺され方をする。そんな折、立花一家と対立する土橋組(組長、安部徹)へ盲目の女剣士(ホキ・徳田)が雇ってくれと現れる・・・

タイトルと異なり任侠映画です。基本的なストーリーは、悪いやくざ(土橋組)に対し耐えに耐え忍んで来た主人公(明美)の怒りが最後に爆発すると言う、ありがちなもの。ただその中に、怪談と言うよりオカルト的な要素が組み込まれています。
その部分を一手に担っているのが、暗黒舞踏の土方巽が扮する不気味なせむし男。殺された死体から背中の皮を剥いだり生首を弄んだりと、残虐な行為を1人でやっているのですが、物語の本筋とは直接関係ありません。
明美に復讐を誓って盲目の剣士になった藍子役のホキ・徳田は、最後に明美と対決するまで何をするわけでもないのに、いるだけで強烈な個性を放っています。肝心の梶芽衣子さんはあまり目立たちません。中盤で一家を解散した明美がしばらく姿を消してしまうので、尚更。立花一家に助っ人する流れ者のやくざを演じた佐藤允も、本来ならば副主人公的な役割を担っていたはずと思われますが、中途半端な扱い。ほかにも内田良平扮する山高帽に赤ふんどし姿の男などは面白いキャラクターでしたが前半だけで消えてしまいます。
梶さんは和服でもろ肌を脱いだセクシー姿が後の「修羅雪姫」を連想させますが、まだふっくらした頬にはあどけなさも残っています。主題歌も歌っているし、お約束?の女囚刑務所シーンもあります。


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新書・忍びの者

1966年/大映/池広一夫監督
出演/市川雷蔵、安田道代、伊藤雄之助、冨士真奈美、石山健二郎、内藤武敏、井上昭文、伊達三郎、五味龍太郎ほか
物語。幼い頃に父親を殺された霞の小次郎(市川雷蔵)は仇の3人を倒すため忍者となり、甲斐の黒戸左太夫(伊藤雄之助)のもとで修行を積む。小次郎は仇のうち2人(五味龍太郎、井上昭文)を倒すが、残る1人の正体がわからない。やがて武田信玄(石山健二郎)と徳川家康(内藤武敏)が激突、小次郎も左太夫とともに信玄側に加わるが、信玄の裏切りで仲間の忍者が全滅。怒りに燃える左太夫と小次郎は信玄の命を狙う…シリーズ第8作(最終作)。

前作で霧隠才蔵編が終わり、今回はまた主人公が変わっています。時代が第1作と同じ戦国時代に戻った上に、1作目で忍者の頭領を演じた伊藤雄之助も再出演するなど、原点回帰。最後はしがらみから解放された雷蔵さんが嬉々として恋人(安田道代)の元へ帰って行く終わり方も1作目と同じです。ただ中身はだいぶ違いますけどね。
上洛を目指す信玄と、その途上での家康との激突を史実通りに扱いつつ、父の仇を探す小次郎の挿話を描いています。目指す仇の最後の1人は誰なのか?、、って、まあ見てりゃわかるのですが、ただその仇が小次郎の恩人であり、悪人として描かれてはいなかったのでどうオチをつけるのかと思ったら、残り5分ぐらいで信玄の死、仇との対決が全部描かれてしまって、ちょっくらびっくり。ヒロインの安田道代も前半だけで全く登場しなくなるし、何だか話のバランスが悪いような気がしました。
後半ヒロインを務めるのが冨士真奈美で、最後は小次郎を庇って雷蔵さんに抱かれて死ぬおいしい?役どころ。
笛の音に惹かれて狙撃された信玄が、わが死を三年秘して領国の備えを固めよと遺言する逸話が、黒澤明の「影武者」より早く使われています。


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関連タグ: 市川雷蔵 大映

忍びの者 伊賀屋敷

1965年/大映/森一生監督
出演/市川雷蔵、八千草薫、山形勲、今井健二、鈴木瑞穂、伊達三郎、北龍二、香川良介、殿山泰司ほか
物語。島原の乱で生き残った霧隠才蔵(市川雷蔵)は凱旋する松平伊豆守(山形勲)を襲うが果たし得ず、自刃して果てる。十余年の後、父の後を継いだ二代目霧隠才蔵(市川雷蔵・二役)は、由比小雪(鈴木瑞穂)や丸橋忠弥(今井健二)を助けて幕府転覆を狙う・・・シリーズ第6作。

5作目の「続・霧隠才蔵」の感想は以前書いたので飛ばして、6作目です。
5作目では、大坂の陣後に真田幸村と薩摩に落ち延びた才蔵が徳川打倒を画策するも頓挫し、最後は単身で駿府に忍び込んで家康を暗殺するまでが描かれていました。本作ではそこから時代が島原の乱まで下っています。
才蔵は相変わらず反徳川の執念を燃やし島原の乱にも加わっていた模様ですが、また1人生き残ってしまい、物語の冒頭で松平伊豆守の行列に特攻して壮絶に討ち死に。その際、1人息子の才助に幸村の遺児・百合姫を託していきます。才蔵がいつの間にか結婚して子供がいたのはいいとしても、大坂の陣から20年以上経っているはずなのに、幸村の遺児が6才ぐらいの幼女なのは計算が合いません。
いきなり主役の才蔵こと雷蔵さんが死んでしまってどうなることかと思いきや、更に時代が10数年飛んで成長した才助が才蔵を継ぎ、雷蔵さんも目出度く復活。しかし百合姫とは生き別れになってしまい、やがて再会した百合姫(八千草薫)は何故か仇敵・伊豆守の養女になっていました。
才蔵は所謂「慶安の変(由比小雪の乱)」の背後で暗躍。幕府に反感を抱く紀伊大納言(北龍二)と由比小雪の共闘を促し、伊豆守配下の甲賀忍者軍団とも死闘を重ねます。タイトルは「伊賀屋敷」なのに、劇中で登場するのは甲賀屋敷と言ういい加減さは気になりますが、甲賀忍者を指揮する謎のくのいちの意外な(でもないけど)正体や、結末のどんでん返しなど、史実にフィクションを上手く絡ませています。1作目を別にすると、シリーズの中では一番面白かったです。
切れ者の鈴木瑞穂の由比小雪、重厚な山形勲の松平伊豆守ははまり役。東映の悪役で鳴らした今井健二が大映に出たのはこれ1本だけじゃないかと思うのですが、役柄も才蔵とは同志なので、この映画の中では善玉です。殿山泰司が忍者の頭領役なのはミスキャストかと思いきや、意外に合っていました。
しかしなんと言ってもこの映画の見所は百合姫、その裏の顔はくのいちを演じた八千草薫の、可愛い黒装束姿。忍者にしてはあまり運動神経が良さそうに見えないところも可愛いです。
ちなみに、二代目才蔵を主人公とする物語はこれ1作限りに終わり、次の7作目ではまた初代才蔵が主人公で時代も大坂の陣後に逆戻り。まあ、慶安の変後は太平が続いたので忍者が活躍する話を作り難かったのでしょうが、それでも人気シリーズゆえに終了できなかったところに、大映の苦しいお家事情がうかがえます。


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忍びの者 霧隠才蔵

1964年/大映/田中徳三監督
出演/市川雷蔵、城健三朗(若山富三郎)、中村鴈治郎、磯村みどり、小林勝彦、須賀不二男、成田純一郎、月宮於登女ほか
物語。大坂冬の陣を和議に持ち込んだ家康(中村鴈治郎)は、秀頼(成田純一郎)や淀君(月宮於登女)の抗議を無視して大坂城の堀を埋め立てる。大坂方の知将、真田幸村(城健三朗)大助(小林勝彦)親子に雇われた伊賀忍者の霧隠才蔵(市川雷蔵)は駿府に潜入して家康暗殺を狙う・・・シリーズ第4作。

石川五右衛門編は前作で終わり、この4作目から霧隠才蔵を主人公とする新たなシリーズが始まります。と言っても雷蔵さんが主演なのは同じなので、前作では豊臣家根絶やしを狙っていたのに、今度は豊臣側に立っているという180度転換が見るものを戸惑わせます。しかも1、2作目では野獣のような織田信長だった若山富三郎が今度は冷静沈着な幸村だし、前作で秀次だった成田純一郎は秀頼。尤も成田純一郎の場合、ヘタレなのは同じか。
内容は相変わらず史実を追う一方、才蔵率いる真田忍者(伊達三郎、木村玄etc)と武部与藤次(須賀不二男)率いる徳川方忍者との死闘も盛り込まれているので、前作よりアクションの比重は大きくなっています。と言っても、当然ながら才蔵が家康暗殺に成功して大坂方が勝利すると言う展開になるわけはないので、才蔵の活躍する場面も限定的です。
最後は、落城寸前の大坂城で自刃しようとする真田親子を才蔵が制止して、3人脱出。続編を作れる終わり方をしています。
今回の家康役は中村鴈治郎。才蔵に殺されそうになった時、とっさに自分が影武者だと欺いて難を逃れたり、任務に失敗した武部与藤次を情け容赦なく責めたりと、ずる賢くえげつない家康を好演しています。


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新忍びの者

1963年/大映/森一生監督
出演/市川雷蔵、若尾文子、東野英治郎、北原義郎、三島雅夫、細川ちか子、伊達三郎、杉田康、成田純一郎ほか
物語。処刑寸前で服部半蔵(伊達三郎)に救出された石川五右衛門(市川雷蔵)は、改めて秀吉への復讐を誓う。側室の茶々(若尾文子)が秀頼を生んだことで狂喜した秀吉(東野英治郎)は朝鮮出兵に乗り出す。豊臣家の根絶やしを狙う五右衛門は、秀吉と関白秀次(成田純一郎)の離反を画策する・・・シリーズ3作目。

「続忍びの者」の続編。
前作は秀吉暗殺に失敗した五右衛門が釜茹での刑にされる直前で終わっていましたので、本作は冒頭で服部半蔵が五右衛門を救出するシーンから始まっています。
五右衛門は生き残りの仲間・名張の犬八(杉田康)と組んで、まず京の街を荒らして秀吉の注意をひこうとしますが、秀吉は全くの無関心。ならばと、秀頼誘拐を決行するも、失敗。そこで秀頼の誕生により立場が不安定になった秀次や北の政所(細川ちか子)にあることないこと吹き込み、結果として秀次を死に至らしめることに成功します。これは五右衛門の主観的には豊臣家絶滅への第一歩なんですが、ただ秀吉や石田三成(北原義郎)にとっては既定の事態であって、別に痛くも痒くもないんですけどね。
やがて病に倒れた秀吉の枕元に五右衛門が忍び込みますが、朦朧となった秀吉は、五右衛門を家康(三島雅夫)と間違えてクドクドと秀頼の行く末を頼む有様。こんなジジイ、殺すだけの価値もないと思った五右衛門はそのまま立ち去り、秀吉は病死。天下は事実上家康のものとなり、五右衛門は徳川家への仕官を勧める半蔵の誘いを蹴り、いずこともなく去っていきます。
結局のところ、五右衛門の行動が何か役に立っているように見えなかったし、そもそも豊臣家根絶やしを力説していたわりに、肝心の秀頼はそのままです。史実を曲げるわけに行かないんですけど、支配者と被支配者の対立を描いていた前2作と違って単に歴史を追うだけに移ってしまったので、五右衛門の活躍する余地も少なくなってしまいました。
五右衛門の雷蔵、秀吉の東野英治郎、半蔵の伊達三郎は前作と同じキャスティングですが、家康役は永井智雄から三島雅夫にチェンジ。怜悧なインテリっぽかった永井智雄と違って、三島雅夫はタヌキ親父の面が強くなっています。
淀君役の若尾文子は出番も台詞も少なかったのですが、要所要所でクールな美しさが画面を引き締めてくれました。小ずるい悪役の多い杉田康は、いつ裏切るかと思ったら最後まで五右衛門の味方でした。


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