刑事コロンボ 攻撃命令

1977年/米ユニヴァーサル/1978年1月4日NHK放送
物語。心理学者のメイスン(ニコル・ウイリアムソン/声・平田昭彦)は亡き妻の愛人だったチャーリー(ジョエル・ファビアーニ/声・寺島幹夫)の殺害を計画、訓練した飼い犬に電話で命令を下しチャーリーを襲撃させる。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は惨劇を聞いたはずのチャーリーの電話の相手が警察に通報してこないことに疑惑を持つ…シリーズ44作目。

これは終盤シリーズの特徴である、事件そのものは大したことないのに話の雰囲気だけで押し通していく傾向が最も顕著な作品。犯人が映画マニアであることは事件の本質ではないし(襲撃のキーワードがどうしても「バラのつぼみ」である必要はない訳だし)、ゲストハウスに下宿する謎の女子学生は本筋と全然関係ない。謎解きシーンでビリヤードのポケットに仕込んでおいた証拠を取り出すコロンボの芝居がかった態度もキザったらしくて嫌だし、最後に犯人が刑事であるコロンボを殺そうとするのも意味が無さ杉ます。
殺人計画は遠隔地から電話で犬に攻撃命令を与えて襲撃させると言う一見巧妙なもので、何しろアリバイが完璧なんですからこれ以上のものはありません。その反面、自分自身が現場にいないのが致命的な欠陥になります。例えば犬が被害者を確実に殺害できるとも限らないんですから、もし生きていたらどうするつもりだったのか。あるいは事後の証拠の始末をきちんとできないのもマイナスですね。現に、受話器を元に戻しておかなかったためコロンボに疑いを持たれてしまいました。ほかにも心電図を取られながら計画を実行していたり、犬を訓練した痕跡を残しっ放しにしていたり、コロンボの言うように頭のいい犯人にしちゃ杜撰で無頓着過ぎました。
メイスンの声を当てている平田昭彦さんは言うまでもなく東宝特撮映画の代表的スター。平田さんの吹き替えってほかでは全然聞いたことがないので、非常に珍しいです。


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刑事コロンボ もう一つの鍵

1971年/米ユニヴァーサル/1973年8月18日NHK放送
物語。広告会社を経営するチャドウィック家の箱入り娘ベス(スーザン・クラーク/声・小沢紗季子)は、社長で兄のブライス(リチャード・アンダーソン/声・小林恭治)が恋人ピーター(レスリー・ニールセン/声・柴田昌宏)との仲を引き裂こうとしたことに反発して殺害を計画。強盗と間違えて撃ったように見せかけて裁判で無罪を勝ち取る。しかしコロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は彼女の主張に疑惑を持つ…シリーズ7作目。

これはなかなかの意欲作。シリーズ初期と言うことでいろいろな可能性を試していたのかもしれませんが、今回の犯罪は過失殺人を偽装して無罪になると言う巧妙な計画。従って視聴者のみならず、コロンボを含めた劇中の全員が最初から犯人を知っていると言う珍しいパターンです。
もう1つの特徴は登場人物の人間像が複雑に書かれていること。犯人のベスは、暴君である兄に押さえつけられていた時は地味な外見で一見可哀想な女性だったのに、兄から開放されてからはだんだん外見が派手になり性格は嫌っていた兄そのものの暴君に変貌していきます。反対に、財産目当ての野心家のように言われていた恋人のピーターが実は案外正直で恋人思いのいい奴で、変貌したベスに付いて行けず破局してしまいます。殺人そのものよりもそれ以後の人間ドラマが非常にスリリングで面白いです。
コロンボの捜査と推理も、被害者が窓から侵入したのなら何故外売りの夕刊が玄関にあったのか、と言う疑問から始まって小さな証拠を緻密に積み重ねて行く様子が描かれています。欠点は、結末があっさりし過ぎていること。恋人の記憶力がそのまま決め手になるのではなく、もうひとひねりして欲しかったところです。
ベスの声、小沢紗季子(現・小沢寿美恵)さんは小池朝雄さんと同じ劇団昴の女優さんで現在も昴の大幹部。ピーターの柴田昌宏さんは大映の脇役で活躍した潮万太郎さんの長男で、女優の弓恵子さん(ゾル大佐こと宮口二郎さんの奥様)、俳優の柴田彦さん(「大草原の小さな家」の父親役の吹き替えが有名)とは兄弟。被害者ブライスの小林恭治さんはNHKの科学番組「レンズはさぐる」「ウルトラアイ」のナレーションでお馴染みでした。


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刑事コロンボ 毒のある花

1973年/米ユニヴァーサル/1974年9月14日NHK放送
物語。化粧品会社社長のヴィヴェカ・スコット(ヴェラ・マイルズ/声・伊藤幸子)は自社で発明した皺取りクリームのサンプルを盗み出しライバル社に売り込もうとしていた研究所員で元愛人のカール(マーチン・シーン/声・伊武雅之、現・伊武雅刀)を殺害。更に彼女のスパイを務めていたシャーリー(シアン・バーバラ・アレン/声・芝田清子)が秘密をかぎつけて脅迫して来たため殺害する。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)はヴィヴェカに疑いをかける…シリーズ18作目。

これはあんまり出来が良くありませんね。殺人は衝動的なものだし、犯人が事後の隠ぺい工作もしないので、事件そのものの構造はすごく単純。解決編も、別にコロンボが逆トリックを仕掛けるわけでもなく、犯人の一人相撲で勝手に自滅して終わっています。
コロンボは犯人が自分と同じように手がかぶれているのを知り、同じ場所、つまり犯行現場でかぶれたのだろうと推理してカマをかけます。犯人はかぶれの原因を現場から持ち去った皺取りクリームのサンプルだと思い込み、追い詰められて海に投げ捨てます。ところが実際の原因は別でした。つまり犯人が勝手に勘違いしただけだし、コロンボが仕向けたわけでもない。もともとコロンボがその原因さえ見つければいいだけのことで、別にカマかける必要もないんですね。また仮にそのクリームが原因だったとしても、現場から持ち去ったものだと言う証明はできないんだから、自分も以前からサンプルを持っていたとでも言い抜けは可能でしょう。なのでせっかくのクリームを放棄してしまうほどの切羽詰った状況だったとは思えない。犯人が全生涯をかけた宝物を断腸の思いで投げ捨てるところは「別れのワイン」と似ていますが、それにまつわる人間ドラマや悲劇性は薄いです。まあ、皺取りクリームがもったいないなあとは思いますが。
ヴィヴェカ役のヴェラ・マイルズはヒッチコックの「間違えられた男」「サイコ」のヒロインとして有名。吹き替えの伊藤幸子さんは小池朝雄さん同様に劇団雲の創設メンバーで、映画では「高校生ブルース」で関根恵子の母親役などを演じています。マーチン・シーンは言うまでも無くチャーリー・シーンの父親。ちなみにシャーリー役のシアン・バーバラ・アレンって、顔立ちがフジ隊員の桜井浩子さんに似ていますね。ってことは桜井さんが日本人離れした顔なのかしら。


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刑事コロンボ 5時30分の目撃者

1975年/米ユニヴァーサル/1976年12月18日NHK放送
物語。精神科医のコリアー(ジョージ・ハミルトン/声・小林勝彦)は患者で人妻のナディア(レスリー・ウォーレン/声・渋沢詩子)との不倫関係がばれ夫(ステェファン・エリオット/声・大平透)を殴り殺してしまう。コリアーは強盗の仕業に見せかけるが、コロンボ(声・小池朝雄)はナディアの曖昧な供述に疑問を持つ。ナディアの自白をおそれたコリアーは催眠術をかけ…シリーズ31作目。

これは日本語版のタイトルが素晴らしい。
犯人が犯行現場から車で去ろうとしたとき、通行人と接触しそうになります。しかしその通行人は盲人でした。視聴者は「盲人が目撃者??」と思うわけですが、実はこれが最後に犯人を引っ掛けるコロンボの逆トリックにもなっています。視聴者はその段になって「5時30分の目撃者」と言う意味が腑に落ちる洒落た仕掛けになっているわけで、この邦題をつけた日本語版のスタッフは本当にセンスがいいです。
犯人コリアーのジョージ・ハミルトンも、いかにも"悪党""色悪"と言う感じでシリーズ屈指の憎たらしい犯人です。最初の殺人は偶発的なものでしたが、二番目の殺人は自分の身を守るためになんと愛人に催眠術をかけて飛び降り自殺をさせてしまうと言う、トンでもないもの。精神科医という立場を利用して患者と愛人関係になったばかりか、その愛人が邪魔になるとこれまた精神科医という立場を利用して殺してしまうわけです。
ただちょっと残念なのは、犯行が計画殺人ではなかったこと。最初の殺人は被害者の方から殴り掛かってきたので正当防衛と言えなくもないし、偶発的なものだっただけに隠ぺい工作も穴だらけ。犯人の尊大な態度とは裏腹に実態はコロンボに追いまくられっぱなしの感が強く、イマイチ対決ムードは薄いです。
声を当てている小林勝彦さんは往年の大映スターのひとりなので大映ファンの私には馴染みのある俳優さん。低音のハスキーボイスでふてぶてしい犯人を好演しています。


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富士山頂

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1970年/石原プロ/東宝配給/村野鉄太郎監督
出演/石原裕次郎、勝新太郎、渡哲也、山崎努、芦田伸介、宇野重吉、佐藤允、田中邦衛、露口茂、市原悦子、星由里子ほか
物語。気象庁観測課長の葛木(芦田伸介)は台風観測のため富士山頂にレーダー基地を建設することに執念を燃やし、3年目にして漸く予算を獲得する。工事を請け負った三菱電機の技術者・梅原(石原裕次郎)も富士山レーダー建設に情熱をかけ、大成建設の伊石(山崎努)、強力の朝吉(勝新太郎)、ヘリコプター操縦士の加田(渡哲也)らとともに様々な困難を乗り越えながら工事に挑む…

2年前に石原裕次郎二十三回忌特別企画としてテレビ放送された時に録画。シネスコの両サイドをテレビサイズにぶった切って編集しているので、人物やテロップが見切れてしまうのが困りものなのですが、まあ見られるだけましか。富士山レーダー建設の実話を描いた新田次郎の小説の映画化です。
レーダー完成が1964年で映画が70年だから、たった6年ぐらい前のことを映画にしたわけです。多少は誇張や作り事もあるにせよ、大筋ではレーダー完成までを事実通りに淡々と描いているだけなのでドラマとして盛り上がる部分は殆どありません。三菱やら大成建設やら実在の企業名がばんばん出てくるし、有名俳優による再現ドラマという感じです。高度成長期の記録と言う観点から貴重だし、実際に富士山でロケした映像も雄大ですが、テレビ画面ではイマイチそのスケールが伝わりません。やっぱり裕次郎の言うように、こういう映画はスクリーンで見ないとダメかもしれませんね。
裕次郎と勝新は他でも共演してますが、裕次郎と山崎努のツーショットは珍しいし、裕次郎と露口茂は数年後に始まる「太陽にほえろ!」のボスと山さん。
あと勝新が子分を引き連れて来たのか、石原プロ製作なのに酒井修、九段吾郎、藤山浩二、橋本力などの大映勢が大挙出演しています。特に酒井修などは裕次郎とツーショットで芝居する結構目立つ役を貰っています。
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関連タグ: 勝新太郎 東宝

盲獣

1969年/大映/増村保造監督
出演/船越英二、緑魔子、千石規子

これは昔、平日の昼間か何にテレビで見た記憶があります。原作は盲獣と称される殺人淫楽者が次々と女を捕えて弄び、責め苛み、殺し、そしてバラバラにして展示すると言う乱歩の中でも最もエログロ度の強い小説。なので、まさかこれが映画化されていたとは知らなかったし、あの「いもむしごーろごろ」や「鎌倉ハム大安売り」のエピソードはどう言う風に取り上げられているのかと期待半分不安半分で見たら、全く違うお話。厳密に言えば原作のごく一部を切り取って拡大し、別のモチーフで描いたオリジナル作品ということですが、盲獣のアトリエを飾る巨大な手や足、乳房のトルソなどは、お決まりの安っぽい悪趣味で描かれています。
出演者は盲獣の船越英二、モデルの緑魔子、そして原作にはない母親役の千石規子の文字通り三人だけ。大部分は密閉されたアトリエ内部でこの三人による三角関係の愛憎劇がドロドロと延々繰り広げられ、このほうが乱歩の原作よりある意味よっぽど気持ちが悪いです。母親が死んだ後は、触覚のみによる快楽の世界と言う原作にもあるエピソードが描かれますが、このほうは半ば付け足り。最後も、そういう結末に持っていくために頭で考えたお話と言う気配がミエミエで創意工夫がなさ杉。
緑魔子はヌードの場面でも微妙に胸が見えないように映しているので、その一線はしっかり守っているのかと思ったら、最後の方になるともうどうでも良くなったのか、しっかり乳首までまで見えてましたね。


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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

1969年/東映/石井輝男監督
出演/吉田輝雄、大木実、土方巽、由美てる子、小畑通子、賀川雪絵、笈田敏夫、高英男、小池朝雄ほか
物語。医大生人見広介(吉田輝雄)は記憶を失い精神病院に監禁されていたが脱出。聞き覚えのある子守唄を手がかりに北陸へ向かう。そこで自分そっくりの資産家菰田源三郎(吉田二役)が死んだことを知った広介は源三郎が蘇生したように見せかけ菰田家に入り込む。源三郎の父丈五郎(土方巽)は手に水かきがある奇形で、沖合いの無人島の改造を行っているという。やがて源三郎の妻の千代子(小畑通子)が殺される。広介は執事の蛭川(小池朝雄)、遠縁の静子(賀川雪絵)、下男(大木実)を連れ島に渡る…。

ベースは「パノラマ島奇談」で、中に「孤島の鬼」が入っています。つまり無人島では美のユートピアの代わりに奇形人間のユートピアを製造しているわけで、ほかにも「屋根裏の散歩者」「人間椅子」「蜘蛛男」などを無理矢理入れ込んでいます。
カルト映画として大げさな評判とは裏腹にプロット自体は割とオーソドックスで、特に源三郎になりすました人見広介目線で進む中盤の「パノラマ島」パートまでのミステリーはなかなか面白く出来ています。でも肝心の奇形人間のユートピアがいただません。土方巽率いる暗黒舞踏団のオンステージ自体はそれなりに見事ですが、大資産家が半生をつぎ込んだ結果がこの程度なのではショボ過ぎるし、大部分の事態がナレーション風モノローグで始末されてしまうのも退屈。そして失笑物のラストシーンは確かに原作通りなんだけど、やはりああいうものは乱歩の筆になる文学表現だからこそ受け取り手のイマジネーションが広がるのであって、映像化すると全て台無しです。まあ作る方ではそれを承知の確信犯としてやっているんだろうけど、乱歩=安っぽい悪趣味でいいんだと言う風潮にした罪は重いです。


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関連タグ: 江戸川乱歩 東映

大菩薩峠

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1966年/宝塚映画製作/東宝配給/岡本喜八監督
出演/仲代達矢、三船敏郎、加山雄三、新珠三千代、内藤洋子、川口敦子、西村晃、佐藤慶、中丸忠雄ほか

中里介山の有名な時代小説の映画化。原作は滅茶苦茶長いので、映画化されているのは、ほんのさわりだけ。最後は新撰組に取り囲まれた机龍之介(仲代達矢)が斬って斬って斬りまくり、仲代の顔アップで終わっています。
虚無の剣士・机龍之介は冒頭でいきなり理由もなく巡礼の老人(藤原釜足)を斬殺。更に奉納試合で旧友(中谷一郎)を撲殺しその妻(新珠三千代)を犯して江戸に出奔し…と、その行動は常軌を逸しています。龍之介が何でそんなに虚無っているのか、少なくとも劇中だけではよくわかりません。ただ、とにもかくにも龍之介はそういうキャラなんだと言うことを納得させる上で仲代の空洞のような暗い個性が最大の効果を発揮しています。仲代はひょろっとした長身のせいか、上体と下半身の動きがちぐはぐで殺陣がおかしく見える時があるのですが、龍之介の場合は秘剣使いという事で、そのちぐはぐさが適当なスパイスになっておりました。
龍之介と対比される質実剛健の剣士・島田虎之助の三船敏郎、仲代に負けず劣らず粘着的な芹沢鴨の佐藤慶、ドス黒い近藤勇の中丸忠雄、珍しく善人役の西村晃も好演。川口敦子って私の知ってる時分にはもうオバサンだったので、若い頃は初めて見ました。
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関連タグ: 三船敏郎 仲代達矢 東宝
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