透明人間

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1954年/東宝/小田基義監督
出演/河津清三郎、三條美紀、高田稔、土屋嘉男、植村謙二郎、藤原釜足、重山規子、近藤圭子ほか
物語。戦争中「透明特攻隊」にされた生き残り2人のうち1人が遺書を残して自殺。世間に透明人間の存在が知れ渡る。やがて透明人間による連続強盗事件が発生。事件を追っていた新聞記者の小松(土屋嘉男)はサンドイッチマンの南条(河津清三郎)が透明人間であることを突き止める。だが強盗事件の真犯人は透明人間を装う偽者の仕業だった…。

透明人間が悪事を働く…のかと思ったら、その逆。この透明人間は善良で、むしろ透明人間の名前を騙って悪事を働くギャングども懲らしめるお話。
戦争中、軍部によって透明人間化されたと言う設定も後の「変身人間」シリーズや「怪奇大作戦」だったら、怨念を抱いて復讐と言う方向に行きそうですが、この透明人間の場合はサンドイッチマンのピエロして生計を立てながらひっそりと生きて来たのでした。
その彼が唯一心を通わせるのは、同じアパートに住む盲目の少女(近藤圭子)のみ。
姿の見えない透明人間が生きるために、姿の目立つピエロの格好をしなければならないと言う皮肉と、目に見えない透明人間が心を許せる相手は、目の見えない人間しかいないと言う皮肉が透明人間の哀しさを際立たせています。
演じる河津清三郎はいつもならギャングのボス役のほうが多いので、善人の役は初めて見ましたが実にいい味を出しています。ピエロのメイクをした表情とおどおどした喋り方に優しさと切なさがにじみ出ています。
透明人間の名前を利用して強盗を働き、更に少女の祖父(藤原釜足)も殺したギャングどもを捕まえるため立ち上がった透明人間は、最後にギャングのボス(高田稔)と相打ちとなって果てます。息絶えようとする透明人間の耳に、少女に約束していたオルゴールの音が微かに聞こえると言うエンディングで、悲しくも美しく幕。
見所は円谷英二の特撮による透明人間の描写。ピエロが白塗りの顔を拭うと透明になっていたり、無人のスクーターが走っていたりする場面に発揮されていますが、見た限りではどういうトリックを使っているのかいまだにわからないほど良く出来ています。
三條美紀の役は透明人間がほのかな恋慕を寄せるキャバレーの歌手と言う設定。この人の若い頃は痩せていて顔が長すぎるので、ちょっと馬面っぽいですが美人は美人です。ちなみに三條の娘は女優の紀比呂子ですが、全然似てないですね。紀比呂子はぽっちゃりした丸顔でしたから。
ダンサー役の重山規子が縛られて吊り下げられて鞭でしばかれるシーンは、この手のスリラー・アクション物にお約束のお色気サービスシーン。本職のダンサーだけあって、脚線美とスタイルの良さは現代でも通用しそう。
ギャングの子分を演じた植村謙二郎は三條美紀と同じ大映出身で、三條は東映、植村は日活に移籍したはずですが、その前に二人揃って東宝に出ていた時期もあったとは知りませんでした。
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宮本武蔵

1973年/松竹/加藤泰監督
出演/高橋英樹、田宮二郎、松坂慶子、倍賞美津子、任田順好、木村俊恵、細川俊之、佐藤允、穂積隆信、笠智衆、加藤嘉、加藤武、浜畑賢吉、仁科明子 フランキー堺ほか

吉川英治の有名な剣豪小説を宮本武蔵=高橋英樹、佐々木小次郎=田宮二郎、お通=松坂慶子、又八=フランキー堺などの配役で描いた時代劇映画。関ヶ原から巌流島までを148分と言う短い時間の中に押し込めているので、省略が多くダイジェスト版のような内容です。例えば前半宮本村を飛び出したと思ったらもう数年後の吉岡一門との戦いになっているし、後半は細川家の剣術指南役を巡る前哨戦がメインで肝心の巌流島などは一瞬で終わってしまう始末。その一方でお杉おばば(任田順好)の武蔵・お通への怨恨などに時間を割き、終盤ではもう時間が押しているのにお通をだまし討ちしたお杉の取っ組み合いシーンが延々続くと言う有様なので、武蔵が出ていない場面も多い。個人的に興味があったのは武蔵より田宮さんの小次郎です。
田宮さんの時代劇出演はこれと「必殺仕掛人」(映画版)、あとは若手時代のチョイ役がある程度。長身腰高の体型やバタ臭い顔立ちが不向きだったのでしょうが、それにしても田宮さんほど時代劇に出なかった映画スターは珍しく、例えばあの裕次郎だってもっとやっています。小次郎役には、武蔵がガタイのいいヒデキなので体格で引けをとらないと言うことで選ばれたのでしょうか。ニヒルなキャラクターも小次郎向きです。
とは言え時代劇は不慣れなだけに、黙っている時はカッコイイんですが、台詞を喋りだすとやっぱり時代劇っぽくないし腰付きも何となくぎこちない。ただ長身なので、あの物干し竿と言われた小次郎の長剣を背負った姿は様になります。
高橋英樹の武蔵はお通を犯そうとして拒否されたり小次郎にビビッたり、人間臭くて好感が持てますが、いかんせん時間が短くて人物像を描ききるまで至っていません。松坂慶子のお通は可も不可もなくというレベルでしたが、フランキーの又八は年をとり過ぎでしょう。
そう言えば高橋・松坂のコンビは、この同じ年に放映された大河ドラマ「国盗り物語」では、信長と濃姫でした。あれから約40年、ヒデキはそんなに変わっていませんが松坂さんは…。


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横溝正史シリーズⅡ 女王蜂

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地球防衛軍

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1957年/東宝/本多猪四郎監督
出演/佐原健二、白川由美、河内桃子、平田昭彦、志村喬、藤田進、土屋嘉男、ジョージ・ファーネスほか
物語。富士山麓で大規模な山火事と山崩れが相次ぎ、続いて謎のロボット(モゲラ)が出現して村々を破壊する。やがて地底から巨大なドームが出現。そこは怪遊星人ミステリアン(頭領=土屋嘉男)の地球侵略基地だった…。

東宝と言うか日本初の宇宙人侵略映画。出演者も「ゴジラ」の平田&河内、「ラドン」の佐原&白川の両主演コンビに加え志村喬や藤田進など豪華で、土屋嘉男が顔の見えないマスクを被りミステリアンの頭領を熱演。
この映画を子供の頃はなかなか見る機会がなかったので、駄菓子屋で売っていた1枚5円の怪獣写真でモゲラの姿を見ては、どんな映画なんだろうと想像を膨らませていました。ところが漸くテレビで放映した時に見たら…モゲラは出番が少ない上、あっけなくやられちゃいました。「ウルトラセブン」のキングジョーみたいな侵略ロボットが暴れ回る映画を想像していたのが間違いで、この映画はあくまでミステリアンがメインでモゲラは添え物なんですね。
ミステリアンの要求は半径3キロの土地の割譲と地球人女性との結婚の自由と言う一見ささやかな?ものでしたが、現実には実力行使で土地を占拠し女性を拉致する悪辣なことをやっていたので、地球側も地球防衛軍を組織して全面対決。最後は、マーカライトと言う後に東宝特撮でお馴染みとなるハラボラ状の兵器でミステリアンを撃退。
ミステリアンはドームに閉じこもったまま積極的な攻撃は仕掛けてこないし、地球側の主戦力も黒煙を吐きながらのろのろ動いているアルファ号とベータ号と言うマヌケな飛行機なので、「地球防衛軍」と言うタイトルで想像されるほどの迫力はなし。人間ドラマとしては科学と愛郷心の狭間で揺れ動く平田昭彦の姿なんかも描かれていますが、「ゴジラ」ほど比重はありません。
もう1人の若き科学者役の佐原健二はあまり科学者らしく見えないせいか、ミステリアンの基地に潜入して拉致された白川由美と河内桃子を救出する、頭脳労働より肉体労働の場面で活躍。ほかに見所としたら、モゲラ襲来のさなかに白川由美がお風呂に入っていると言う、それ自体としては物語の展開上に何の意味もないシーンがありますが、これはサービスシーンでしょうか。
リチャードソン博士を演じたジョージ・ファーネスの本業は弁護士。東京裁判では重光葵元外相の弁護を担当し戦勝国が裁く法廷で平等を維持しようと努めた人で、その後も日本に残り法律事務所を開く傍ら俳優業にも勤しんだ変り種。70年代後半にもまだ現役の俳優として活躍していて、NHKの「日本の戦後」シリーズ(1978年)じゃ東京裁判のウェブ裁判長を演じていました。
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大怪獣バラン

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出演/野村浩三、園田あゆみ、千田是也、平田昭彦、 村上冬樹、土屋嘉男、山田巳之助、田島義文ほか
物語。東北地方北上川上流でシベリアにしかいないはずの蝶が発見され、杉本生物研究所の所員2人が調査に向かったが原因不明の怪死を遂げる。杉本博士(千田是也)の助手魚崎(野村浩三)、記者の由利子(園田あゆみ)、カメラマンの堀口(松尾文人) が現地へ向かい、外部から隔絶され独自の神をあがめている村人たちと出会う。その時、湖から眠りを覚まされた怪獣バランが出現する…。

「ゴジラ」(1954年)「空の大怪獣ラドン」(56年)に続く東宝第三の単体怪獣だったのに、現在に至るまで人気なく影も薄い存在のバラン。既にカラー映画が主流になっていた時代なのにモノクロと言うのも地味。伊福部昭の音楽は後に二代目ラドンのテーマ曲に流用されています。
内容は「日本のチベット」と称される秘境でバラダギ様と呼ばれ畏れ崇められていた中生代の怪獣が出現、ムササビのように空を飛んで東京湾から羽田空港に上陸するも、あえなく撃滅される、と言うお話。バランはゴジラのような核実験の変異ではなく、本来はただ湖の底で寝ていただけの人畜無害(?)な存在。それが人間どもにたたき起こされて追いたてを食った挙句に滅ぼされたのだから、ラドンのように哀れさを感じても良さそうなもんですが、見かけがコワモテなせいか同情が湧かない。しかも都市を襲うこともなく自衛隊にあっさり倒されてしまう情けなさ。ストーリーも単純だし、主人公の科学者とヒロインの勝気な女性記者、三枚目のカメラマンの3人が狂言回しになって物語が進行するあたりは後年の「ウルトラQ」を少し長くしたような印象。確かにほかの怪獣映画に比べると個性が弱いです。
ただこの映画でちょっと面白い点は、バラン攻撃の陣頭指揮を執っているのが山田巳之助演じる議員バッジをつけた背広姿の防衛庁長官だと言うこと。いつも制服組が中心でシビリアン(政治家)の影が薄いこの時期の怪獣映画にしちゃ珍しいです。
千田是也は新劇界の重鎮で俳優座の創設者でしたが特撮映画にも3本出ている立派な特撮俳優。特撮物が好きで出演していたって話もありますが、その割りにやる気なさそうな芝居です。それにしてもこの人、いつ見ても民主党の枝野にそっくり。
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宇宙大怪獣ギララ

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1967年/松竹/二本松嘉瑞監督
出演/和崎俊也、ペギー・ニール、フランツ・グルーベル、原田糸子、柳沢真一、園井啓介、岡田英次、穂積隆信、浜田寅彦、マイク・ダニング、藤岡弘ほか
物語。日本宇宙開発局が火星探検ロケットを打ち上げるが、謎のUFOに妨害されて断念。その際に接触した未知の胞子状の物質を地球に持ち帰る。だがやがてその物質は怪獣ギララへと変化し、猛威を奮う…。

松竹が初めて作った怪獣映画。物語は人間が持ち帰った未知の物質から怪獣が出現と言う、ありがちなパターンですが、そこに至るまでの話が無駄に長い。ロケット隊員のメンバー交代で月のステーションに立ち寄り、そこで和崎俊也と柳沢真一が檜風呂でのんびり汗を流したり、女性科学者のペギー・ニールとステーション通信員の原田糸子が和崎を巡って恋の鞘当をしたり、などと言うどうでもいい場面が間に挟まります。しかしこの隊員交代が物語に何か重大な影響を及ぼすわけではなく、和崎を巡る三角関係も途中立ち消え。しかも、ロケットを妨害した謎のUFOの正体は何だったのか、何故火星探検を邪魔するのかの説明が全くありません。余計な場面の描写にばかり力を注いで、肝心の部分はおざなりです。
物語が半分以上も過ぎてから漸く現れたギララに対して、自衛隊は全く役立たず。これが東宝や大映だったら、自衛隊も何か策を講じて少しは怪獣が追い詰められると言う見せ場を作るんですけどね。最後は、ギララニウムという物質が有効だということを発見した和崎らの決死の努力により(って、そもそもコイツらが騒ぎの元凶なんですが)、ギララは溶けて元の胞子状の物質に戻ってしまい、メデタシメデタシ。
しかし、映画はまだ終わりません。一件落着のあと、和崎と原田の仲睦まじい姿を見て恋をあきらめたペギーが「愛には勇気が必要だと言うことをギララが教えてくれました」と、発言。なるほど、東宝の怪獣映画では最後に人間側のドラマや何らかの教訓で終わることが多いのですが、この映画の場合、殆ど人間側のドラマは絡んでいなかったし、ペギーの発言にいたっては、全くもって意味不明。
1社が当てればすぐ他社も真似をするのが映画界の常でしたが、特撮怪獣映画だけは東宝の独壇場に大映が多少拮抗しただけで、松竹と日活は1作のみで撤退。やはり怪獣映画を作るには独自のセンスが必要で、映画会社の体質とも関わりあるんでしょうね。特撮の技術は余所からスタッフを連れて来れば間に合わないことはないでしょうが、映画作りのセンスだけは一朝一夕には養えません。この映画も特撮シーンはまあ見られないことはないし、ギララの造形もユニークで悪くないのですが、いかんせん、脚本と演出がお粗末でした。
スターになる前の藤岡弘が月ステーション通信員の役で出ています。
タトルバックの主題歌を歌っているのはボニージャックスと倍賞千恵子。
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横溝正史シリーズⅡ 真珠郎

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横溝正史シリーズ 本陣殺人事件

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横溝正史シリーズⅡ 八つ墓村

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横溝正史シリーズ 犬神家の一族

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