柳生一族の陰謀 第23話「宮本武蔵の首を取れ!」

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1979年3月6日放送/関西テレビ・東映制作/フジテレビ系放送
出演/千葉真一、山村聰、目黒祐樹、矢吹二郎、中尾ミエ、工藤堅太郎、藤岡重慶、宮口二郎、天知茂、ほか
物語。肥後細川藩内で抗争があり、柳生但馬(山村聰)は次男の左門(目黒祐樹)を熊本に派遣する。但馬は細川藩客分の宮本武蔵(天知茂)の動きを危ぶんでいた。やがて左門の後を追って十兵衛(千葉真一)も熊本に赴く。細川藩では抜け荷に手を染めようとする家老・鹿子木監物(溝田繁)が対立する大目付・林外記(工藤堅太郎)の暗殺を計画し、その企てには家老派の武蔵も加担しているらしい…。

同名映画版の大ヒットを受けて制作されたテレビシリーズ版。ただし映画版と内容が被るのは1~3話までで、それ以降はテレビオリジナルのストーリーを展開。映画版は萬屋錦之介扮する但馬守の「夢じゃ夢じゃ」で終わっていましたが、それじゃ話が繋がらないのでテレビ版は当然の如くそこはカットになっているほか、映画版では途中で斬られてしまう成田三樹夫の烏丸少将も健在で、シリーズを通して徳川政権打倒に暗躍します。

第23話には天知茂演じる宮本武蔵が登場。
冒頭、いきなり大目付派の刺客を斬り捨てる天知武蔵。どうやら武蔵は家老派らしいのですが、しかし善玉は大目付の方で、家老は悪玉。その後も武蔵は家老の悪事を見て見ぬ振りをするような様子だったりして、どうも挙動不審です。まさか武蔵が悪玉のはずない、と思いつつ一抹の不安も。
結局、武蔵は身を捨てて細川藩を守ろうとした大人物であったことが最後まで見ればわかる…いや、最初から明らかなのですが、実は大悪人で最後は十兵衛に斬られちゃうトンデモ話だったらどうしようと期待、じゃなくて心配してしまったのは、ひとつには「魔界転生」の例があったから。もうひとつは、限りなく天知先生が怪し過ぎるからで、またそう思わせるのが狙いのキャスティングでもあったろうと思われます。
天知先生は、こと左様に武蔵が善人か悪人か、敵か味方かよくわからないと思わせる立ち位置のキャラクターなので、目立った活躍の場面ありません。終盤、漸く十兵衛と一騎打ちがありますが、これは武蔵が決死の覚悟であることをわからせるためのシーンなので当然ながらすぐ終わり。更にその後、悪家老派との大立ち回りのシーンでも愛弟子の宮口二郎さんを斬っただけで、何故かその後はほぼ仁王立ちしたままで殆ど参加せず。何にもしないほうが大物らしくていいかもしれませんが、折角特別出演したゲストなんだからもう少し見せ場も作って欲しかったです。
映画版で十兵衛の弟・左門役は千葉ちゃんの実弟の矢吹二朗(千葉治郎)でしたが、テレビ版では目黒祐樹が演じ、矢吹二朗は十兵衛の股肱の臣・根来のフチカリ役に。更に映画でもうひとりの弟・又十郎役だった工藤堅太郎が今回はゲストで別の役だったりして、両方見ていると頭がこんがらがって来るのでした。
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長崎犯科帳

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1975年4月6日~9月28日(全26話)/ユニオン映画制作/日本テレビ系放送
出演/萬屋錦之介(平松忠四郎)、田中邦衛(木暮良順)、火野正平(出島の三次)、杉本美樹(お文)、磯村みどり(おぎん)、新克利(加田宇太郎)、高峰圭二(猪俣安兵衛)、御木本伸介(三島与五郎)、太田博之(沢田一馬)、城達也(ナレーション)ほか

物語。江戸末期の長崎は、オランダ貿易に開かれた、ただひとつの港であり、巨大な利権と、暴力の渦巻く暗黒の街であった。この利権を操るものは、ひと握りの豪商たちであり、貧しい町民たちは彼らの搾取に泣き、その暴力に怯えるしかなかった。ここに、白日の法の下で裁くことのかなわぬものは、闇の法の下に斬ると思い定めた闇の裁き人たちが登場する。人、これを呼んで、闇奉行という(OPナレーションより)

再放送で見て好きだったテレビ時代劇。久しぶりに見ましたがやっぱり面白い。
内容は、言わば「遠山の金さん」+「必殺」。
ヨロキンの演じる長崎奉行の平松忠四郎は遊び好きの無能な奉行で、しかも賄賂を貰い放題。
悪徳商人が長崎の名物カステ~ラと称して小判の詰まった菓子箱を進呈すると、
「おぉ~例のカステ~ラかい!おれぁこいつがでぇ好きなんだよ!」
と江戸弁でまくし立てながら、大喜びで受け取ってしまう。しかも、やがてお白洲が開かれて悪人どもが引っ張り出されるが、そこでは全部悪人の言い分が通って無罪になってしまう有様。これですっかり悪人が安心しきっていると、その晩、白頭巾姿の殺し屋がやって来る。その正体は…なんとお奉行!驚愕の表情を浮かべたところを、ばっさり一刀両断。
つまり、奉行自身が裏家業(闇奉行)を兼ねていると言う次第。
ちなみに悪徳商人から貰った賄賂が仲間の仕事料や調査費に使われるので、悪人自身が殺し料を払っているも同然。また、悪徳商人はまだ疑われていないのにカステ~ラを贈ったことによって自分が黒幕だとバレてしまったこともあります。
闇奉行の仲間には、蘭方医くずれの良順、遊郭の客引きの三次、三味線弾きのお文の3人がいます。ただし白頭巾の正体が奉行の忠四郎であることは、良順しか知りません。物語も終盤になってから漸くその正体が他の仲間にも明かされる、と言う展開になっています。
良順はシーボルト門下の腕の立つ医者でありながら酒と女が好きで、医者の癖に殺しの道具にはメスを使うと言う或る意味トンでもないキャラクターですが、直情型で時に忠四郎とも衝突しながら段々と友情を深めていきます。三次は、火野正平がこの手の時代劇で演じることの多かった軽いキャラクターですが、火野さんにしては珍しく腕っ節も強く、殺しも担当。お文は元曲芸師だったので手品のように花束の中から刃物を出して、相手が虚を突かれた隙にブスリと一突き。杉本美樹の台詞回しは棒ですがアクションは意外に達者です。
彼等には、裏家業で人を殺している後ろめたさはありません。かと言って、高邁な正義の理念に燃えているわけでもないんですけどね。むしろ理屈ぬきで、ただひたすら悪人をぶっ殺してやりたくてうずうずしている、と言う感じ。特に奉行の忠四郎にその傾向が強く、自ら爆裂弾を製造して寺を爆破したり、悪徳商人の家に放火したり、機関銃で悪大名を籠ごと蜂の巣にしたりと、やりたい放題。良順さえ「おめぇ奉行のくせにそんなことしていいのかよぉ?」と引いてしまう場合でも「なぁに構いやしねぇよ」と、どんどん実行。しかも実に楽しそうで、底抜けに明るい。これは忠四郎を演じるヨロキンの個性に拠るところ大でしょうね。カステ~ラを貰うシーンも粋で豪放磊落なヨロキンだから面白いので、他の人でああは行かない。奉行が闇奉行をやっているといういささか矛盾した設定も、ヨロキンが
「表の法で裁けねえ者は闇の法で裁く。どっちにしたって裁くのは奉行の役目だ!」
と明快に言い切ると、成る程その通りなんだと思ってしまう、有無を言わせぬ説得力があります。
昼間のボンクラ奉行から闇奉行に切り替わった時の演技のメリハリも上手いし、「必殺」の二番煎じ的な番組にありがちな安っぽさを感じさせないのは、やはりヨロキンの正統派時代劇スターとしてのオーラが勝っているからなんでしょう。
舞台を江戸ではなく長崎に置いたことで、唐人屋敷やオランダ商船との密貿易のような特殊な事件を描いたり、西洋凧やチェス、トランプなど様々な外国の道具が登場するのもメリットになっています。

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横溝正史シリーズⅡ 不死蝶

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横溝正史シリーズⅡ 仮面舞踏会

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ルパン三世 念力珍作戦

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1974年/国際放映製作・東宝配給/坪島孝監督
出演/目黒祐樹(ルパン三世)、田中邦衛(次元大介)、江崎英子(峰不二子)、伊東四朗(銭形警部)、人見明、江幡高志、藤村有弘、安西マリア、天本英世、前川清ほか
物語。ルパン三世は囚人護送車で連行中の美女・峰不二子に一目惚れして刑務所から助け出した。だが奪った宝石を不二子に横取りされてしまう。その後殺し屋に狙われ続けて疲れたルパンは、自ら警察に出向いて刑務所で休息することに。一方、暗黒街のボスが盗み出した古代の土偶を不二子は横取りしようとするが、逆に捕われてしまった。不二子の危機の知ったルパンは、早速脱獄して救出に向かうが…。

なんと、アニメ版「ルパン三世」の新シリーズ(「峰不二子という女」)が始まりました。かねがね、深夜枠で大人向けに特化したルパンをやればいいのに思っていたのですが、まさかほんとうにやるとは。
初回を見た限りではやや期待はずれ。個人的にはああ言う駆け出しの小娘然とした不二子に全然興味が持てません。でも近年のテレビSPよりは面白そうなので、「ルパンvs複製人間」あたりのテイストが好きな人だったら受け入れられるでしょう。

たまたまアニメの新シリーズがあったので割り込んでしまいましたが、今回の本来のお題は1974年の実写版。
アニメ第1シリーズが大コケし再放送でまだ人気に火が付いていなかった時期なので直接の関係はないでしょう。ルパン三世が国民的人気者になった後でも実写版はキワモノ扱いで見向きもされず、テレビで日曜日の午後に1回放送されたぐらいだったと思います。しかし何はともあれ栄えある最初の、そして今のところ唯一の「ルパン三世役者」の称号を手にしたのが目黒祐樹であると事実は消えません。
所詮誰が演じても実写に違和感は拭えないので割り切って見るしかないのですが、その限りではバタ臭い顔立ちで軽くてキザな目黒祐樹はいい線行っています。原作ともアニメとも違うお坊ちゃん的な遊び人、気ままな自由人に設定したのも正解で、独自のルパン像を確立しています。
江崎英子の不二子はありふれた"水商売顔"なのが昔はイマイチに感じていましたが、今はかえってこの手のタイプが少ないせいか結構色っぽいし、薄情そうなところもOK。
田中邦衛は喋ると青大将になってしまいますが、黙っている分には渋くて十分次元に見えます。早撃ち0.3秒の使い手であることもちゃんと描写されていますが、ただルパンの相棒ではなく世話焼きのおじさんみたいな設定が残念。
伊東四朗の銭形はミスキャスト。ちょっとふざけすぎ。でもここまで徹底していると清々しいかも。
とまあ、キャスティングは案外悪くないんですが、脚本と演出がぐだぐだで面白くないのが致命的。ただひたすら小ネタのくだらないギャグだけを並べただけなので、何やら4コマのコント漫画を連続して読まされているような感覚でうんざり。同じコメディでやるにしても、せめてもう少し一貫したストーリーが欲しかったです。全体のノリも一時代前の東宝喜劇のようなぬるい雰囲気だし、やりようによっちゃもっと面白くなった素材だったのにもったいないです。

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三匹の侍

1964年/さむらいプロ・松竹/五社英雄監督
出演/丹波哲郎、平幹二郎、長門勇、桑野みゆき、香山美子、木村俊恵、三原葉子、石黒達也、青木義朗ほか
物語。代官(石黒達也)の圧政に苦しめられている村で、甚兵衛(藤原釜足)ら三人の百姓が代官の娘亜矢(桑野みゆき)を人質にして水車小屋に立て篭っていた。そこへ偶然通りかかった浪人の柴左近(丹波哲郎)は成り行きで百姓たちに加勢。代官は桔梗鋭之介(平幹二朗)や桜京十郎(長門勇)らの浪人を水車小屋へ差し向けるが、百姓出身の桜は寝返って百姓側につく。当初は傍観していた桔梗もやがて柴に加勢するが…。

人気テレビシリーズの劇場版で、テレビ版の演出もした五社英雄の監督デビュー作。直情型の丹波、ニヒルな平、お人良しの長門と言う三浪人の個性が際立っており、見たことは無いがテレビシリーズを毎週このクオリティでやっていたのだとしたらさぞ面白かったんだろうと思わせます。ただ映画はこれ1本としたらいささか描写不足。強訴を試みる百姓に丹波たち三人の侍が加担するという内容ですが、中盤からは完全に侍対代官に焦点が移ってしまい、強訴まで追い詰められた百姓の苦衷などは殆ど描かれない。侍が命がけで強訴状を守ったのに肝心の百姓はもう誰も立ち上がらないと言う結末は苦いが、それも途中で代官と侍同士の約束などと称して丹波が勝手に騒動を収めてしまったせいなのだから、話がちぐはぐ。専ら三人の侍の活躍を見せることが主眼で百姓はその出汁に過ぎないので、器は「七人の侍」だが中身は「用心棒」と言う感じのお話です。
丹波リンは体を張った熱演。若い頃(と言っても40過ぎだが)は実にエネルギッシュ。長門勇の見かけはいも侍だが凄腕の槍の名人も魅力的で、丹波が先導して長門が膨らませていると言う感じで話が展開するの対して、平はキャラクターが目立つだけで活躍は少ない。女優陣は桑野みゆきが光っているが、三原葉子と木村俊恵はただ侍の引き立て役に過ぎないのでイマイチ。後年の五社監督が大好きだった、女同士のつかみ合いシーンがこの映画でも既に描かれています。


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横溝正史シリーズ 悪魔の手毬唄

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眠狂四郎卍斬り

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1969年/大映/池広一夫監督
出演/松方弘樹、南美川洋子、松岡きっこ、田村正和、しめぎしかこ、中谷一郎、内田朝雄、加藤嘉ほか
物語。眠狂四郎(松方弘樹)は岸和田藩江戸留守居役内藤主水(永田靖)に主君寵愛の女中理江(南美川洋子)を犯すよう依頼される。理江は薩摩藩の間者だったのだ。岸和田、薩摩両藩の争いに巻き込まれた狂四郎は薩摩藩の刺客に襲われるが、その中の一人、混血の剣士梅津一郎太(田村正和)におのれの姿を見た…。

松方版の2作目。良くも悪くも松方の狂四郎に個性が出てきたし、監督も雷蔵版以来のエース池広だけに1作目に比べるとずっと面白くなっています。尤もそれが観客に受けたかどうかは別の話で、結局松方版は2作限りで打ち切り。
物語はのっけから腰巻姿で半裸の女をエサに岸和田藩の屋敷に呼ばれた狂四郎が、女を犯してくれと露骨な依頼を受ける、エグイ直球のプロット。その後も出てくる女と言う女を理屈抜きに犯しまくります。雷蔵さんの時は助力の代償に操を頂戴すると言う前提で実際は頂戴しないことも多かったのですが、松方の場合は操だけ先に頂戴しておいて「助けるとは言わなかった」とうそぶく鬼畜ぶり。上品だった雷蔵さんと同じことをやっていても味が出ないとわかったので、ここで一気に松方の地金を反映した形なのでしょうか。
狂四郎が女を抱いたまま5メートルぐらい横っ飛びしたり、木の上まで直角に飛び上がったり、やることも突拍子ないし、ぶった斬られた両腕が飛んだり血がドバドバ吹き出たり、グロ描写も過激化。このあたりは主演者の違いもありますが、70年代の劇画調時代劇を先駆けている感じもします。
田村正和は狂四郎と同じ異人との混血の剣士と言う設定。後にテレビシリーズで狂四郎演じるだけに、何やら狂四郎が2人いるような感覚。この頃もう既に例のボソボソ喋りも完成されています。
南美川洋子は渥美マリなどともに大映5人娘として売り出されたものの、ハレンチな映画にばかり出されるのが意に沿わなかったのか倒産を待たずに引退。その後 70年代後半に復帰してテレビの「続あかんたれ」他1本に出演しましたが、それっきりすぐまた消えてしまいました。清楚で知的な美人だったのに、もったいない。映画界に入った時期や会社、使われ方に運がありませんでした。
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眠狂四郎円月殺法

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1969年/大映/森一生監督
出演/松方弘樹、佐藤友美、梓英子、成田三樹夫、川津祐介、長谷川待子、中原早苗、鈴木瑞穂、神山繁ほか
物語。将軍家お世継ぎ・家慶には双子の弟・敏次郎(川津祐介)がいた。大目付・佐野勘十郎(神山繁)と家慶の乳母・松浦(長谷川待子)は、二人をすり返えて敏次郎を将軍の座に据えようとする。その陰謀に気が付いた長岡采女正(木村元)は佐野一派に殺害される。眠狂四郎(松方弘樹)は追われていた采女正の妹・志津(梓英子)を助けたことから、事件に巻き込まれていく…。

市川雷蔵の死からわずか3ヶ月後に公開された松方版狂四郎の第1作。雷蔵さんのイメージが強烈なこの時期では誰がやっても失敗したでしょうが、とりわけ松方はミスキャストの感が強いです。
もともと狂四郎シリーズは、まず狂四郎のキャラクターありきでその延長上にストーリーが組みたてられるようなもの。狂四郎のニヒリズム、ダンディズムを体現するには当時27歳の松方じゃ荷が重いし、また雷蔵とは全然資質の違う役者さんであることもその後の経歴で明らか。作り手も方向を掴みかねていたのか、ストーリー自体も何だかちょっとおかしい。
物語は将軍継嗣を巡る争いと言う、雷蔵版でも見られたパターンですが、狂四郎は正義の味方ではないのだから事件に巻き込まれていくと言う形が大事。ところが松方狂四郎は自ら積極的に事件に関与して行くように見えます。報酬に志津の操を頂戴したわけでもないのに、何でこんなにヤル気になっているのか動機付けが不明です。そのくせ表向きは虚無っているのだから、キャラクターもよくわからない。見れば、脚本が大映と縁の薄い人のようだし、監督の森一生も狂四郎シリーズを手がけるのはこれが初めて。雷蔵さんの狂四郎は事件に興味がなさそうなフリをしながら深入りして行く芝居のさじ加減が上手かったが、松方にはそれが表現できていない上に、脚本家や監督にも狂四郎シリーズならではの物語の運び方がよくわかっていなかったように思えます。
新生狂四郎を盛り立てるためか、雷蔵版でライバルを演じた成田三樹夫と川津祐介を敵役として一挙投入していますがさほど個性がないし、エロ担当の狂四郎ガールズが姥桜(失礼)の長谷川待子や中原早苗だけなのも華やかさに欠けます。
極めつけは、雷蔵さんの時にはなかった、松方の歌う主題歌。
「♪あーすにぃ生きない~ 浪人~すぅがたぁー 人には~見せぬぅー この~なぁみだぁ 江戸の~夜空のぉー ほしーぃが見たぁ 眠~狂四ろぅー どこぉへ行くぅー」
…うーん脱力。
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尻啖え孫市

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1969年/大映/三隅研次監督
出演/中村錦之助、栗原小巻、勝新太郎、中村賀津雄、本郷功次郎、志村喬、梓英子、南美川洋子、ほか
物語。紀州鉄砲隊の才賀孫市(中村錦之助)は京で見初めた女を捜すため岐阜城下にやって来た。だが孫市はその女の足を見ただけで顔を知らない。孫市を味方につけるため織田信長(勝新太郎)は木下藤吉郎(中村賀津雄)に命じ、かの(南美川洋子)と言うニセ者の娘をデッチあげる。孫市は藤吉郎と友情を結ぶが、騙されていたのがわかり信長と手を切る。やがて堺に鉄砲の買い付けに出かけた孫市は、ついにその美しい足の女、小みち(栗原小巻)と出会う…。

東映を辞めた中村錦之助の大映初出演作。勝新、本郷も出ていますがメインは中村兄弟と栗原小巻の外様勢なので、何やら他団体に占拠された全日本プロレスのリングを見ているような感覚。
内容も全体の三分の二近くが足の美しい姫を巡って孫市と藤吉郎の交友に費やされ、後半漸くその女が本願寺の僧侶、信照(本郷功次郎)の妹と判り本願寺軍に加わった孫市と信長軍との戦いが始まったと思ったらほんのさわりだけで終わってしまうので、まるで前編のみで終わりのような消化不良。
見る前は錦之助と勝新の役が逆じゃないかと思いましたが、錦之助は豪放磊落な孫市でなかなか良かったです。ただ衣装がズボンなのはいただけない。破れ傘刀舟じゃないんだから。
錦之助と賀津雄は並んでいる時は似てないんだけど、単独の場面になると一瞬どっちなのかわからなくなる。2人の演技合戦は見応えあるし、セットや美術は素晴しく、スケール感もある。末期の大映でもこれだけのものを作れたのは大したもの。ただ題材が歴史スペクタル物だと演出に三隅研次監督らしさは薄いです。
栗原小巻はまだふっくらしていて可愛いです。吉永小百合と二分するアイドル的人気があったのもうなずけます。藤吉郎の妻ねねを演じた梓英子はピンク映画出身で後に清純派になったと言う変わった経歴の女優さんで、オデコに特徴があります。
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