金環蝕

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この映画を初めて見たのは10代の頃。夜中にテレビでやっていました。
その当時は公開からまだ10年と経っていなかった・・・、と言う事は映画の舞台になっている時代からも十数年しか経っていない頃だったので、「今も昔も・・・」どころではなく、限りなく「現代」に近い話でした。
モデルになっている人物の何人かはまだ存命、特に田中角栄などはまさに「巨悪」として権勢を振るっている最中でした。しかし三十年、四十年と経ってしまった今となっては、さすがに少し古臭い部分もあります。

例えば派閥の力が弱体して総裁選挙での露骨な買収工作は聞かれなくなったし、良くも悪くも政治家が小粒になって名実ともに「巨悪」と言われるような存在は影を潜めました。とは言え「政官業」の癒着は相変わらずだし、政治とカネの問題は今なお古くて新しい問題。従ってやはり現代に通じるテーマであることに変わりはありません。

1975年公開で、原作は石川達三の同名小説、監督は社会派の巨匠山本薩夫。与党総裁選挙に絡むダム建設汚職事件を舞台に、見かけは金色に輝いていても内部は真っ黒に腐敗した政財界の実態をドキュメンタリータッチで描いています。

この作品には実在のモデルがあります。まず与党総裁選とは池田勇人と佐藤栄作が争った昭和39年の自民党総裁選挙のことで、ダム建設は九頭竜川ダム建設汚職疑惑、そして劇中に登場する首相夫人の名刺事件や元首相秘書官の変死、そして政治業界紙社長の刺殺事件なども細かいところまで実際にあった事件を反映しています。「事実は小説より奇なり」という陳腐な文句を思い起こしてしまうほどリアルな政界暴露映画は、後にも先にもこの作品だけでしょう。社会派の映画と言うとお硬い話を想像してしまうかもしれませんが、オールスターキャストを使って見応えのあるエンターテイメント作品に仕上がっています。「赤いセシル・B・デミル」こと山本薩夫は権力者を描くのが実に巧かった。出演は仲代達矢、宇野重吉、三國連太郎、京マチ子、山本学など。

仲代と言えば、いつも大目玉をひん剥いて大仰な芝居をしている観がありますが、ここではキザな色男然とした嫌味な官房長官を抑制した演技で演じています。寺尾パパの宇野重吉は入れ歯を嵌めて大熱演だし、今ではすっかりスーさん役でお馴染になってしまった三國連太郎もケンケン笑い(?)のマッチポンプ代議士を怪演しています。山本学(山本監督の甥)に至っては、後に「白い巨塔」(78年テレビ版)で演じた里見医師とは似ても似つかない、神経質な小心者の小役人役。他にも、久米明の池田総理そっくりさんや中谷一郎のやたら扇子をバタバタさせる田中角栄もどきの幹事長、そういえば夏純子って昔よくサスペンス物のドラマに出演していたなーと懐かしく思い出す顔もいたりします。

ちなみに、山本監督の前作「華麗なる一族」で河野一郎もどきの党人派実力者・大川一郎役だった河村弘二は、この作品でも河野がモデルの副総理役。河村は74年版のテレビドラマ「華麗なる一族」でも大川一郎役を演じていたようなので、まさに"河野役者"。尤も別に顔が似ているというわけでもないのですが。また、「華麗~」では田宮二郎に買収されてマル秘資料を持ち出す金融検査官を演じた五藤雅博が、今作では電力開発公社の理事。なので小役人から出世していますが、小心翼翼たる役柄なのは同じでした。
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