白い巨塔(映画版)

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田宮二郎の『白い巨塔』と言うと、自殺直前に演じていた1978年テレビ版が有名ですが、もともとは1966年の映画版(大映)が最初です。比較的早くからビデオ化されていたので、リメイクも旧作の再放送もなかった頃の巨塔ファンは、かろうじてこの映画版で映像化されたものを見ることができました。しかし、同じ田宮主演だから・・・と思って見ると大違い。

そもそも、映画化の時点で完結していた原作は、誤診裁判の一審で財前が勝訴し里見が大学を追われるまででした。従って映画も「悪が栄え善が滅びる」と言う非常に後味悪い、救いのない結末に終っています。
しかも監督が社会派の巨匠山本薩夫と来れば、人間ドラマ部分よりドロドロ汚れた医学界の不条理さを強調する作りになっているのは必定。その分悪人どもの存在感はかなり強烈ですが、反面それ以外の登場人物の個性が薄い観は否めません。

財前五郎を演じた田宮二郎はこの時31歳でした。
テレビ時の洗練された「大人」の財前に比べるとギラギラした野心剥き出し。しかし教授の貫禄は既に十分です。
同じく後の田宮テレビ版でもそれぞれ鵜飼と大河内を演じた小沢栄太郎と加藤嘉は、テレビ時には少し老け過ぎの観がありましたが、この映画では年齢的にもまさにはまり役。
東教授役の東野英治郎は大学教授というよりむしろ田舎の中学の頑固な校長というタイプなので、ややミスキャスト。ただしこの映画での東は原作にあるようなインテリのひ弱さは見られず、むしろ権力闘争をものともしないアクの強い人物に描かれているので、あくまで映画用のキャラとしては、これでいいのかもしれません。
また、小川真由美の演じるケイ子も、財前の野心の尻馬に乗って煽り立てているだけの悪女の扱いなので、原作で垣間見られる優しさの面は全く出ていないです。
そしてこの映画最大のキーマンとも言える船尾教授役は滝沢修。原作では教授選挙で財前の敵方でしたが、映画では裁判の鑑定人として出廷して大演説をぶち財前に有利な証言をして勝訴に導きます。つまり「医者はみんなグル」という、白亜の巨塔の閉鎖性を象徴する人物として描かれています。

一方、原作では財前と対をなす主役である里見助教授役は田村高廣。
しかしこの映画では生真面目というだけで意思の強さが感じられないので、善人なんだか単なる学者馬鹿なんだかよくわかりません。
その点では藤村志保の佐枝子も同じ。
清楚で芯の強い女性という志保さんのイメージは佐枝子役として決して悪くないのですが、この映画での佐枝子はさほど重要な役割ではないので、ヒロインとしての要素が希薄なのが残念(個人的には、珍しく現代劇での洋服姿が見られて嬉しいですが)。
原作後半部ではもう1人の主役と言ってよい柳原も、前半部までで終っているこの映画ではさして存在感がないし、船越英二の菊川教授に至っては、誰でも良かったような感じです。
なのでドラマ版のイメージで見るといささか拍子抜けしますが、一種のピカレスク映画としては並々ならぬ力作であることは確かです。
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