八甲田山

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1977年/橋本プロ・東宝映画・シナノ企画製作/東宝配給/森谷司郎監督
出演/高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎、丹波哲郎、小林桂樹、森田健作、前田吟、緒形拳、栗原小巻、秋吉久美子ほか

物語。日露戦争直前、日本軍には厳寒での戦争経験の足りないことを懸念した第4旅団司令部の友田旅団長(島田正吾)と中林参謀長(大滝秀治)は、耐寒雪中行軍を実施。弘前第31連隊の徳島大尉(高倉健)と青森第5連隊の神田大尉(北大路欣也)を指揮官に、それぞれの雪中行軍隊が冬の八甲田山中ですれ違うと言う計画を立てる。
だが神田隊は、少数精鋭の行軍隊を望む神田大尉に意に反して大規模な編成となった上に、随行の大隊本部・山田少佐(三國連太郎)に指揮権を奪われて混乱、進路を失い猛吹雪の八甲田山中で遭難する。一方の徳島隊も、予想を上回る雪の猛威に難渋を強いられ…

1970年代の大作オールスター映画の流れを汲む、「砂の器」(松竹、1974年)に続く橋本忍脚本作品。
これは公開当時映画館で観た。館内の冷房が効き過ぎていて、映画の内容さながらに寒った上、座席が狭くて硬くてお尻が痛いのを我慢しながら観ていた覚えがある。
原作は新田次郎の小説。日露開戦を目前にした明治35年、陸軍は厳寒の地での戦闘を想定した雪中行軍を実施し、その結果、199名の凍死者を出す大惨事になってしまった・・・という実話を元にしている。映画も実際に真冬の八甲田山でオールロケ、それも現実の雪中行軍さながらにあわや凍死寸前という過酷な撮影もあったということで、作品を通じて観客も猛吹雪と雪崩の極寒地獄を追体験できる。「天は我々を見放した!」というフレーズは当時の流行語にもなった。

三十数年前の初見時には、神田隊遭難の原因は、専ら、三國連太郎演じる山田少佐が横車を押したせいだと思っていた(演じる三國連太郎が軍人の傲慢不遜を絵に描いたような憎たらしさなので、尚更そう思えた)。
しかし今改めて見ると、どうもそれだけではない。

まず、いけないのは、そもそも旅団司令部がきちんとした命令を出さずに、半ば神田・徳島個人に責任を押し付けるような曖昧な形で雪中行軍をやらせたこと。次に、連隊長(小林桂樹)が、大隊本部が随行する変則的な行軍隊計画に一抹松の危惧を抱きながらも、許可を出してしまったこと。この二つが一番の元凶だろう。トップが責任を回避し判断を誤ると、その皺寄せが全て現場に降りかかって来るというのは、どんな組織にも共通する弊害なのだ。
それから一見犠牲者に思える神田大尉もあくまで現場の責任者である以上、やはり彼自身が判断を誤った責めは負わざるを得ないだろう。
こうした全体図は大人になってみないとわからない。これも年を経て昔の映画を再見する場合の楽しみのひとつ。

見えない、といえば、横殴りの吹雪の中で行軍する俳優たちの顔は、大きなスクリーンで観ても誰が誰だかさっぱりわからない。おまけに、徳島隊と神田隊の様子が交互に描かれるため、らどっちがどっちの話だかよくわからなくなってくる。行けども行けども雪、雪、雪、氷、氷、氷、の単調なシーンばかりが3時間も延々続くと、さすがに途中から少し飽きてくる。
そういう意味じゃ、大作映画にありがちな、あれもこれもで詰め込みすぎになってしまう悪しき欠点を露呈した面も無きにしも非ず。
しかし、この後も「聖職の碑」とか「アラスカ物語」と続き、遭難物、厳寒物映画の走りとなった作品である。
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