私が公開時に劇場で見た黒澤明監督の映画は『影武者』とこの『乱』の2本。
『影武者』も『乱』も公開された当時には随分とジャーナリズムに貶されたし、私個人も「黒澤はダメだ」と思ったものです。しかし一方で当時を知らない若い世代が見ると意外に「面白い」という感想を持つ人は少なくないようです。確かに虚心坦懐に見れば、そうつまらない映画というわけではないのですが・・・ただ、それだけ黒澤の生前、特に80年代までは、「世界のクロサワ」に過剰な期待があったということなんでしょう。

この映画も、前半までは緊張感があって悪くないのですが、後半は死ぬほど退屈でした(実際、一緒に見に行った友達は途中で寝ていました(笑))。
特に例によって力み返って大目玉をひん剥いた仲代の、大げさな"狂人演技"が延々と続くのにはうんざりしました。赤、青、黄・・・と、まるで信号のように鮮明な色遣いの映像とは裏腹に、作品の意図はイマイチ不明。白黒時代の黒澤作品だったらメッセージや熱気が、たとえ何十年経ってから見ようとむんむん伝わってくるのですが・・・やはり年をとってからはだんだんその力が衰えて来たのでしょうか。
結局これ以降の黒澤作品はあまりにも巨大になりすぎてしまった「世界のクロサワ」の虚名とその評価とが乖離する一方でした。

ちなみにラスト近くで、末の方(宮崎美子)が殺害されてその死体が草むらに臥しているシーン、これは首を切られて当然顔が見えないわけですから代役でも誰でもよかったにもかかわらず、その撮影のためだけにわざわざ宮崎美子本人をロケ現場に呼び寄せたのだとか。真偽は知りませんが、「完全主義者」黒澤を揶揄するネタとして、当時ビートたけしがラジオで面白おかしく話していたことを記憶しています。勿論たけしが「映画監督北野武」になるずっと前の話ですが。
公開日/1985年6月4日 製作/黒澤プロほか 配給/東宝 監督/黒澤明
出演/仲代達矢 寺尾聡 根津甚八 隆大介 原田美枝子 ピーター 井川比佐志 植木等 ほか

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