昨日消えた男

元祖「暴れん坊将軍」?
(1964年・大映・森一生監督)

物語。幕府と朝廷の確執が取り沙汰される中、今年下向する勅使は直言居士の公卿だと言うので、剛直な上様と衝突して大変な事になるんじゃないかと幕閣は憂慮していた。
一方そんな心配も知らずしてか、将軍吉宗(市川雷蔵)は夜な夜な退屈しのぎに小姓を集めてなぞなぞゴッコしていた。しかしそれにも飽きてしまい、町奉行大岡越前(三島雅夫)に頼み込んで同心になり一件だけ事件を捜査しようとする。困った越前は既に解決済みの事件をあてがってお茶を濁そうとしたが吉宗にばれてしまう。
越前たちの目を掠めて逃げ出した吉宗は寺子屋の先生・大橋兼四郎(宇津井健)と知り合い、お浪(藤村志保)のやっている一膳飯屋で一杯飲んでいると、「美濃屋の持ち船・竜神丸が幽霊船だった」と話している男がいる。兼四郎の長屋に帰ると、先刻の男が死体となって発見される。
翌日、吉宗と兼四郎は死んだ男の雇い主である回船問屋・河内屋に話を聞こうと訪ねるが、何故か河内屋は余計なことをしないでくれと怒る。河内屋の娘・お園(高田美和)は、父親が三年ほど前から急に人柄が変わってしまったと嘆くのだった。
やがて兼四郎を訪ねてきた浪人者、河内屋の船頭、更に竜神丸に乗っていたお浪の兄(木村玄、現・元)が次々殺される。
事件の鍵は幽霊船にあると睨んだ兼四郎、お園、お浪は竜神丸へ、そして吉宗は美濃屋に忍び込んで行き、そこで幕朝間の不仲につけ込んで幕府転覆を図る陰謀を知る・・・

と言う訳で大立ち回りが演じられ、最後に事件を解決した吉宗がお城に戻って勅使を迎えると、なんとそれが兼四郎だった・・・というオチ。幽霊船の謎がチャチだとか、吉宗はまだしも公卿が浪人になるのは無理だろうとか、ツッコミどころはいろいろある荒唐無稽な話ですが、そういう野暮は言わずに雷蔵の颯爽たる活躍を楽しむのが主眼の痛快娯楽時代劇。
同心になった吉宗がしたり顔で「全て事件の裏には女がいることになっておる」なんて説いたら出てきたのは腰の曲がった婆さんだったり、袖の下として出された小判を本物のお菓子だと思ってかじりついたり、つい将軍の癖が抜けずにいて慌てて居住まいを直したり、軽妙でとぼけた芝居をさせると雷蔵さんの持ち味が光ります。知的で気品があって決して嫌味な感じのしない、こういうスターは銀幕の中からしか生まれて来ないのでしょうね。ただ雷蔵さんは足腰が弱いせいか刀に振り回されているように見えてしまい、チャンバラシーンにやや安定感が欠けるのが玉に瑕です。

藤村志保さんは1人で飯屋を切り盛りする娘役で、陰謀の秘密を漏らした兄が殺されてしまいます。しっかり者で、でも悲しい目に合う役廻りと言うのは狂四郎でも明朗時代劇でも変わりませんね。どうせなら高田美和の演じたおきゃんな娘の方を演じて貰いたかったですが。宇津井健は後年の大映ドラマで有名になった声を震わせるオーバーな演技を、この頃はしてなかったんですね。
スポンサーサイト


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

関連タグ: 市川雷蔵 藤村志保 大映
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR