斬る

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数奇な運命に翻弄される剣士を描いた市川雷蔵の主演作(1962年・大映・三隅研次監督)

物語。信州小諸藩士・高倉信吾(市川雷蔵)は優しい父と明るい妹の三人で幸せに暮らしていたのだが、ある日隣人の逆恨みで父妹を殺されてしまう。今際に父は信吾の出生の秘密を明かす。
かつて飯田藩江戸屋敷の侍女だった山口藤子(藤村志保)は、藩のため悪女の側室を殺害、殿の逆鱗に触れ処刑のため国許に送られた。藤子を哀れんだ正室の懇願を受けた家老は、偶々使者として逗留していた長岡藩士・多田草司(天知茂)に「護送途中の藤子を奪って行って、懐妊させてくれ」と依頼。1年経って子供もいれば殿の怒りも和らぐだろうと家老は考えたのだ。
このわけのわからん(しかも他藩の家老の)頼みをどういうつもりでか三白眼の深刻な表情で聞き入れた多田は、護送の列を馬で襲って藤子を奪って去った。そして山里で2人はひっそりと睦みあって暮らし、やがて一子・信吾を授かった。しかし1年経っても殿の怒りは解けず、結局藤子は再び捕らわれて処刑場に送られてしまう。
誰も藤子を斬りたがらない中、自らその役を担ったのは多田だった。死を前にして藤子は、夫と見詰め合って無言の微笑みを交わした。
そして信吾は家老の頼みを受けた小諸の殿様経由で高倉に預けられ、彼の子として育てられたのだった・・・。

この映画は正直言って、退屈でわけのわからない話です。三隅監督が絵作りに凝っているのはわかりますが、それも才気走って空回りしている印象。ちゃんと映画館のスクリーンで見ればまた違うのかもしれませんが。
事実上前半でクライマックスが来てしまうので、その後は虚無感に支配された主人公の姿が淡々と描かれるだけ。特に旅の途中で出会っただけの女の死に様が何故実母や妹のそれと同等の重みを持つのか、その内面が全く描かれていないので理解できません。あのエピソードが別になくたって、主人公の人生観は変わらないという気がするのですけどね。作り手の独りよがりを押し付けられても困ります。つまらない話をかろうじて雷蔵さんの魅力で保たせている感じで、やっぱり監督より大事なのは俳優の存在だと思った次第です。

映画は冒頭、大映マークに続きいきなり藤村志保さんがアップで登場します。
髪を振り乱し鬼気迫る表情でお方様(側室)を刺し殺し、その場面に乗せて映画タイトル、スタッフ&キャストのクレジット。
場面変わって、白装束で処刑場に座らされている志保さん。首を打つ役の侍・天知先生と何らやら微笑みを交わします。
次の瞬間、刀が閃いて・・・と開始から数分でもう死んでしまいます。
観ている側には何が起こったのかわからないのですが、それは物語が進むにつれ明らかにされていく、と言う趣向です。

志保さんにとってはこれがデビュー作「破戒」に続く二作目で、デビュー作では雷蔵さんの恋人役だったのに今度は母親役でした(と言っても直接共演するシーンはありませんが)、台詞は殆どなくて専ら表情のみで感情表現をするという難しい役を演じきっています。

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