怪談雪女郎

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雪女の心も溶かす人の愛、
そして雪女より恐い妖怪婆・原泉!
(1968年・大映・田中徳三監督)。

物語。仏師とその弟子の与作(石浜朗)は山奥に観音菩薩像の材となる巨木を探しに来た帰り道、吹雪で迷い小屋に泊まる。その晩、雪女が現れ、眠っている仏師を凍死させる。更に与作をも凍死させようとするが、「お前は若くてイケメンだから(?)」と殺すのを止め、その代わり「今日見たことを誰にも言ってはならぬ」と固く誓わせる。
師匠の代わりに観音菩薩像の製作に取り掛かった与作は或る日、軒先で雨宿りをしていた美しい女・ゆき(藤村志保)と出会う。二人は夫婦になり、やがて息子の太郎も生まれ5年の歳月が過ぎた。
ゆきに横恋慕した地頭(須賀不二男)は都から有名仏師(鈴木瑞穂)を連れて来て与作と競わせ嫌がらせする一方、「御料材を盗伐した」といいがかりをつけて、罰金を払えなければ与作の首を刎ねると無理難題を押し付ける。しかしゆきは守護・美濃権守(内藤武敏)の1人息子が熱病に罹っていると聞き、雪女の妖術でこれを治し、貰った礼金を地頭に払って危機を切り抜ける。それでも諦めない地頭はゆきを拉致監禁して襲おうとするが、雪女の正体を現したゆきに家来ともども凍死させられる。
それやこれやの間に与作の観音菩薩像は完成間近になる。しかし最後の最後にどうしても「慈悲の目」が表現できないことに悩んでいた。その時ふと、昔雪女に出会ったことをゆきに話してしまう…。

民話で有名な「雪女」の伝説をベースにした作品。
タイトルがおどろおどろしいので一見B級ホラーのようですが、内容は夫婦愛、そして母性愛をテーマにした物語と言っていいでしょう。一般に知られている「雪女」の話(小泉八雲の「怪談」など)で与作に該当する人物の設定はただの木こりだったと思うのですが、ここでは仏師に置き換えてを話を工夫するとともに、子を思う雪女こそ菩薩の慈悲の心そのもののというところに結末を持って行っています。
人の世の幸せを知ったゆき=雪女が、その幸せを離すまいと懸命に努力する姿はいじらしく、予め結末がわかっているだけに尚更哀れを誘います。特に子供にわらべ歌を教えるゆきの姿を与作が遠目に見守っているシーンは感動的。また、最後に子供に思いを残しながら去って行く淋しそうな後姿も切ないです。
ただ、最後に与作が雪女の顔から「慈悲の目」のインスピレーションを得ると言うのはちょっと興醒めな気が。雪女の方は尽くすだけ尽くして結局全てを失ってしまったのに対して、与作は妻を失った代わりにおそらく今後仏師としての成功を掴むんだろうと思うと、幻想的な世界からにわかに現実に引き戻されてしまいます。
藤村志保さんは金色のコンタクトレンズを入れ、表情によってメイクも変えるなど雪女を熱演、いや雪女だから冷演か。雪女はもとより、人間体となったゆきが初登場した雨宿りのシーンなどの清楚な美しさに目を見張ります。またCGなどない時代に大映美術陣も底力を見せて頑張っています。欲を言えば、雪女の動きにすーっと水平移動してくる非人間的な感じを出したかったんでしょうが、それがどうしても戸板の上を台車に乗って動いている感アリアリなのは残念。
しかし、何と言ってもこの映画で一番恐いのは特殊メイク不要の妖怪婆・原泉でしょう。巫女役の原泉が「この悪霊め!」とゆきを責める場面では、「悪霊はアンタだろっ!」て突っ込みたくなります。この人は巫女とか祈祷師とか、いつも妖しい老婆の役が多かったですね。尤もああ見えて若い頃は絵のモデルをしていたそうですから・・・昔は美人だったんでしょうか。
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