海底軍艦

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「マタンゴ」と同じ年に作られた東宝特撮物(1963年・東宝・本多猪四郎監督)

物語。一万二千年前に水没したはずのムウ帝国は、海底で今なお高度な文明を築いていた。
ムウは、地上の全世界を植民地として返還するよう要求してくる。
ムウ帝国に立ち向かえるのは、かつて日本の敗戦前夜に脱走した特殊潜水艦の艦長・神宮司大佐(田崎潤)が密かに建造したという海底軍艦・轟天号しかないと判断した国連は、神宮司の元上官・楠見(上原謙)や娘の真琴(藤山陽子)らを説得に向かわせるが…

映画は冒頭、カメラマンの高島忠夫と藤木悠が埠頭で水着モデルの撮影をしているところへ海底人(ムウ帝国人)が現れる…というところから始まります。一見SFや怪獣と縁のなさそうな民間人が事件に遭遇して以下の物語の狂言回しを務めるのは昭和特撮物によくあるパターン。
やがてムウ帝国からの宣戦と攻撃が始まる一方、神宮司の娘をストーカーしていた男・天野兵曹(田島義文)が捕まりその口から神宮司大佐の生存が明かされ…と、映画の開始から60分近く経って漸く海底軍艦が姿を現します。のっけからいきなりクライマックスが来たように飛ばす昨今のドラマ展開を見慣れた人からは、物語が徐々に核心に進んでいく昭和のテンポはのろくてつまらなく感じるでしょうが、私などにはむしろこの「焦れったさ」が何ともいえません。

さて、海底軍艦出撃を要請された神宮司こと田崎潤ですが、いまだに神州不滅・米英撃滅しか頭にないのでこれを拒絶します。
特撮(怪獣)映画は戦争映画だって言われますけど、この作品なんかには特にその色が濃いです。製作当時の戦後18年と言ったら戦争はまだついこのあいだの話なんですから。
尤も、田崎潤とか田島義文とかあまり理知的な感じのない顔ぶれに、どうやって高度な海底軍艦を建造できたのか、謎ですが…^^;;

一方、ムウ帝国の側も、地上の人類をも凌ぐ高度な文明を持っているにもかかわらず、何故か皇帝はクレオパトラみたいな格好しているし、住民たちも半裸で腰蓑つけて槍持って、マンダの神に祈りを捧げて踊っています。しかも、このうちの1人がなんと、平田昭彦!けっしてマッチョとは言えない上半身晒して胸毛なんか生やしている姿は見ものです。

海底軍艦建造を阻止せんとするムウ帝国は神宮司の娘と高島忠夫を拉致。すると田崎潤、娘可愛さの余りか一夜にして今までの信念を捨て、世界のため出撃することを決意します。ってアンタ、節操が無さ過ぎ。第一、今まで18年間も故郷家族を捨て付き従ってきた部下たちはそれで納得してるんでしょうか。

それはともかく、調子こいた海底軍艦はムウの守り神・龍のような怪獣マンダを一蹴、更に娘が無事救出され逆にムウ皇帝を捕虜にするや、その目の前でムウ帝国を木っ端微塵に壊滅させて見せます。ムウ帝国がちっとも強そうに見えないため、そこまでしなくても…という感じで非常に後味は悪いです。
ムウ帝国の方も、長老の天本英世(当時37歳!)の「我々より劣った地上の民族にそんなことができるはずがない!」の一言でロクに抵抗もせず。だったら今まで散々海底軍艦建造を恐れていたのはなんだったのか…と、前半の展開が嘘のようにドタバタと慌しく結末を迎えてしまいます。マンダだけに、竜頭蛇尾の結末とはこのことか。

滅び行く祖国に殉ずべく海水に身を投じるムウ皇帝の物悲しい姿が哀れを誘います。気品と威厳のあるこのムウ皇帝を演じた小林哲子は後に「不良少女とよばれて」や「乳姉妹」などの大映ドラマで主人公の母親役を演じた女優さん。でもこの頃は若いし、それにこのケバいメイクでは、とても同一人物とは思われませんネ。
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