新悪名

勝新太郎&田宮二郎の「悪名」シリーズ第3作(1962年・大映・森一生監督)

物語。かつて河内の暴れん坊として鳴らした朝吉(勝新太郎)は14年も兵隊に取られ、敗戦とともに漸く復員。しかし一生を誓った恋女房お絹(中村玉緒)は他人の妻になっており愕然とする。
朝吉の生還を祝う酒盛りの夜、幼馴染の妹・月枝(浜田ゆう子)が進駐軍に強姦され家出する。月枝を捜しに大阪へ行った朝吉は、そこで死んだ弟分の貞(田宮二郎)の実弟・清次(田宮・二役)と出会う。月枝は清次と情婦のお雪(万里昌代)が作ったパンパンの組織に入っていた。
朝吉は貞の未亡人お照(藤原礼子)らと闇市で雑炊屋を始めるが、お雪の父親で昔朝吉の子分だった勝(須賀不二男)と三国人の金子(沢村宗十郎)は闇市を潰して娯楽場を建設しようと企んでいた…

「悪名」「続悪名」(1961年)のヒットを受け、この第3作から事実上のシリーズ化。ただし前作の最後で田宮扮するモートルの貞は死んでしまっているため、瓜二つの弟・清次という設定で復活。個人的には最初の2作より、田宮=清次のスタートとなったこの「新」の方が好きです。

物語の舞台は前作までの戦前から戦後へと一挙に飛び、戦争から帰ってきた朝吉は最初ややプチ浦島状態。愛妻お絹は再婚しているし(実生活では当時新婚真っ最中だった勝新と玉緒が、この映画の中では別れる設定になっているのがミソ)、かつての悪名も通じずパンパンの女どもからオッサン呼ばわりされボコられる始末。もともと二枚目ではない勝新の良さは豪快さの中に男の可笑しみ哀しみを出せるところにあると思うので、非の打ち所のない男ぶって凄んでいるだけだった前作より、本作での描かれ方が好感が持てます。
勿論そのままで終わる勝新、いや朝吉ではないので、やがて決起した闇市の住民たちとともにやくざども相手に大立ち回り。最後は得意の着流しでびしっと決めて見せてくれるのはやはり銀幕のスターの貫禄。

一方田宮二郎は役柄が貞から清次に変わって更に軽佻浮薄パワーがアップ。前2作までは多少見られた硬さも取れ、英語交じりの流暢な関西弁を操り水を得た魚のようにイカすニイちゃんを熱演。まっ赤なシャツに黒革のジャケットをはおって、ジーパンを履いた足がおそろしく長く、このかっこよさはハッキリ言って裕次郎なんか目じゃありません。

他の出演者は前2作に比べるとやや小粒ですが、イタリア映画に出てくるようなセクシーでエキゾチックな美人・万里昌代、オカマの茶川一郎、コワモテなのに人の良い伊達三郎など、個性豊か。
進駐軍、農地解放、闇市のマーケット、パンパン、三国人、リンゴの歌…大映の美術も素晴らしく、戦後の焼け跡に生きる人々の熱気が描かれていて時代の空気がよくわかる一篇でもあります。
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