若親分千両肌

市川雷蔵主演の「若親分」シリーズ第8作(1967年・大映・池広一夫監督)

物語。青柳組の一人息子・栄吉(山口崇)と間違えられて襲われて負傷した南条武(市川雷蔵)は、偶々通りかかった奇術師の昇天齋辰丸(長門勇)一座に助けられ、同一座で働く。
青柳組では親分の竜作(東野英治郎)が病床に臥せっている間、代貸の黒崎(北城寿太郎)が取り仕切っていたが、黒崎は新興やくざの赤松(織本順吉)と通じていた。養女の君江(藤村志保)は義兄・栄吉の帰りを待っていたが、やくざの父を嫌う栄吉は女給の葉子(久保菜穂子)に入れあげ家を飛び出したままだった。
或る日、海軍時代の同期生・水上少佐(藤巻潤)と再会した武は、青柳組が建設中の海軍秘密兵器工場を訪ねて、酸素魚雷の発射実験を見学する。しかしその夜、工場が爆破され秘密兵器の設計図が盗まれ、武と水上、竜作に疑いがかけられる。江藤技術少尉(木村玄)の挙動を怪しんだ武はその後をつけて大杉天道(三島雅夫)の道場を訪れる…

シリーズ最終作。シリーズ当初は明治末期が舞台でしたが、本作では昭和初期まで時代が来ていました。雷蔵さんが元気ならまだ続く予定だったのかどうかわかりませんが、上海事変やロンドン軍縮会議が語られるなど戦争の足音が近づきつつある時代になると、「海軍士官上がりのやくざ」という設定はいささか具合が悪いです(五・一五事件の海軍将校の中にも若親分の同期生がいた、なんてことになったら洒落になりませんし)。
しかし時代を明治から昭和まで思いっきり進ませてしまった原因は、おそらくそろそろ大映の懐具合が悪くなって、セットで明治の町並みを再現するのが難しくなってきたからでしょう。昭和初期ならこの映画の製作された昭和40年代初め頃にはまだロケでもごまかしがききます。

本作には藤村志保さんや久保菜穂子、伊達三郎などお馴染みに加えて長門勇や山口崇、財津一郎、織本順吉などそれまでの大映作品で見かけなかった顔ぶれが大挙出演しています。若親分が奇術師一座で働くという導入部は面白そうだったのですが、実際のストーリーにはあんまり関係なく残念。折角財津一郎なんか出ていてもコメディリリーフほどの役割がないのも勿体無い感じ。ただ、長門勇が大陸仕込みの空手の使い手と言う設定で、腰の据わったアクションを見せてくれるのはうれしいです(ちなみに熊髭の水兵役は国際プロレスのレフェリーだった阿部脩)。
東野英治郎と藤村志保さんは「白い巨塔」「座頭市鉄火旅」に続き父娘役。「昔気質の老親分=善、権力と結託した新興やくざ=悪」という構図の中で老親分が殺され、若親分がそのあだを討つパターンは前にもありましたし、「眠狂四郎」などと違ってこのシリーズでの志保さんはいつもか弱きヒロインばっかり。毎度同じ役柄なので新味がありません。
若親分が去って行くラストシーンでは藤巻潤の歌う主題歌が流れます。これが高倉健の東映任侠映画だったら歌も主演の健さんが歌うところなんですが…雷蔵さん、歌は苦手だったのでしょうか。それにしても「♪たーけしーたーけしーなーんじょーたーけしー」ってコーラスはちょっとまぬけです^^;;
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