悪名一番

勝新太郎&田宮二郎コンビの「悪名」シリーズ第8作(1963年・大映・田中徳三監督)

物語。街の金融会社で取り付け騒ぎが起こり、朝吉(勝新太郎)と清次(田宮二郎)が仲裁を買って出る。聞けば、社員が一億円近い金を持ち逃げしたのだという。朝吉と清次は逃走した社員を追って東京に乗り込む。だが初めての東京では戸惑うことばかり。おまけに朝吉と清次は些細なことから仲違いしてしまう…

東京タワーや建設中の高速道路が映し出されるなど、劇中に登場する東京の風景はどうみても撮影当時(1960年代)の「現代」。とすれば、シリーズ第1作で満州事変の頃(1931年)に戦争に行った朝吉なんぞはもうとっくに50歳を過ぎているはずですが、相変わらず若いまま。主人公がだんだん年齢不詳になって行くのはシリーズ物にありがちなご都合主義なのでいいとしても、いつまでも朝吉が着流し姿で、しかも大都会の街中を闊歩する様はあまりにも時代錯誤で浮いています。
尤もそれがこの映画のテーマ自体にもなっていて、靖国神社を巡る朝吉と清次の仲違いから新旧の価値観を対立させ、結局は時代が変わっても滅びない古き良き日本人気質の体現者=朝吉の普遍性を描くというところへ話を持っていこうとしているようです。しかし果たしてその意図は成功しているかどうか。むしろこの映画で活き活きとしていてやたらかっこよく、事実上の主役をさらっているのは都会的でモダンな田宮=清次の方。私には、心の広い若者が時代遅れのオッサンを立ててあげている物語に見えてしまいました。

本作のヒロインは江波杏子と雪代敬子の2人。しかし悲しいかな、クールで都会的な美女・江波杏子とドンくさい勝新では全く釣り合いが取れません。それを補うためか昔気質なやくざの娘・雪代敬子なんかが出てくるわけですが、そっちの方ともこれと言った間柄に発展せずに終わります。本来ならモダンな同士で、江波と田宮の関係を濃厚に描いたらいいと思うんですが、それじゃ勝新の立場がなくなっちゃうせいか、折角の江波の個性が生かされず実に中途半端なのが勿体無いです。
他の出演は安部徹、名和宏、丸井太郎、遠藤辰雄、藤原礼子、芦屋雁之助・小雁兄弟など。
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