黒の試走車(テストカー)

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「黒」シリーズの第1作目(1962年・大映・増村保造監督)

物語。タイガー自動車が開発中の新車が極秘テスト走行中に事故を起こし、業界紙にすっぱ抜かれた。更に新車のデザインがライバル、ヤマト自動車に盗まれてしまう。社内にスパイがいるらしい。企画部長の小野田(高松英郎)と朝比奈(田宮二郎)はスパイを割り出し、万全の手を打って販売予定価格を決定。しかし、またしてもその価格がヤマトに盗まれてしまう。朝比奈は恋人の昌子(叶順子)をヤマトの企画室長・馬渡(菅井一郎)に接近させ、相手の予定価格を盗み出させるが…

「サラリーマン・スリラー」と銘打って公開された梶山季之原作の産業スパイ映画。
自動車業界の新車開発競争を背景に、会社のため、出世のためなら脅し、強請り、買収、盗聴、陰謀、そして恋人の体を道具に使うなど、どんな手段をも厭わない企業戦士の熾烈な姿を描いています。
会社にライバル会社のスパイが潜り込んでいて情報がどんどん漏れてしまい、そのスパイを摘発したと思ったのに、またしても情報が漏れてしまい、誰が犯人(スパイ)なのか最後の最後までわからずスリル満点。ライバル社の向かいのビルのトイレから会議を盗撮して読唇術師に解読させたり、やることなすことえげつない。特に産業スパイの元締め・高松英郎と敵方のボス・関東軍参謀上がりの菅井一郎の丁々発止の対決は迫力。
一方、主役でありながら田宮二郎の影がやや薄いのは残念。高松の片腕でこのプロジェクトに成功すれば出世が約束されている田宮は、最初のうちこそスパイ合戦の陣頭に立って活躍しますが、高松の指示で恋人の叶順子を利用せざるを得なくなったあたりから非人間的な企業論理に疑問を抱き、だんだん元気がなくなります。どうせなら田宮に高松の役をやって欲しかったですが、年齢的に無理だったのでしょうか。
船越英二は途中まで「どこにいたの?」と思うぐらい存在感がなかったのですが、最後にその存在感の薄さ自体が観る者も欺く伏線になっていたことに納得。叶順子の終始不機嫌そうなキャラも面白いですね。
映画は冒頭、黒いシートを被せたテストカーが疾走するシーンで始まり、ラストは逆に真っ白に光輝く新車が疾走する姿に被せて田宮の台詞「あの車は真っ黒に汚れている・・・」で終わります。白と黒、光と影のコントラストが効果的。モノクロの古い映画って若い人には敬遠されがちだし、私なんかでも観づらいなあと思うことはあるのですが、この映画に関してはモノロクでなければ出せないシリアスな緊張感に圧倒されること請け合いです。
出演は他に長谷川季子、上田吉二郎、見明凡太郎、中条静夫ら
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