忠臣蔵(長谷川一夫主演)

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討ち入りにはまだ少し早いですが…(1958年・大映・渡辺邦男監督)

物語。元禄十四年三月。勅使御供応役に任じられた播州赤穂藩主・浅野内匠頭(市川雷蔵)は吉良上野介(滝沢修)から度重なるいやがらせを受けたことについにキレて、江戸城松の廊下にて吉良に斬りつけ切腹を命じられる。急使を受けた国許の城代家老・大石内蔵助(長谷川一夫)は…

長谷川一夫の忠臣蔵と言うと、桜井長一郎の声帯模写で有名になった「おのおの方!」の名フレーズが浮かんできますが、それは後年の大河ドラマ版でのことだったらしく、これには出てこないんですね。
それはともかく、日本人ならおそらく知らぬ者はいない忠臣蔵のお話です。数々の有名なエピソードがありますが、私がまず真っ先に思い浮かべるのは、遊女たちに「浮き様」とか呼ばれて鬼ごっこに興じ、だらしなく酔いつぶれる大石内蔵助の姿。
仇討ちの決意を胸に秘めた内蔵助が、吉良方の目を欺くため、心ならずも遊び呆ける擬態を演じるシーンです。しかし私の知る限り大部分の映画やドラマで内蔵助、この遊び呆ける姿がイマイチのように思います。何だか無骨でぎこちなかったり、思慮深そうな地金が隠せなかったり、それじゃ擬態がばれちゃうだろって突っ込みたくなるケースが多いです。
そこへ行くとこの映画での長谷川一夫、本当に仇討ちを忘れているんじゃないかと一瞬心配になるぐらい遊び呆ける姿が絢爛豪華で決まっています。さすが長谷川先生、根っからの色男(本人のことじゃなくて役の上での話ですが)。
余談ですが、今回改めて思ったけど長谷川先生って三白眼だし、目線の使い方なんかが天知茂先生とそっくりなんですね(つうか、天知先生の方が真似したんでしょうけどね)

さて160分余りで一気に仇討ち本懐へと進む本作の場合、松の廊下までの持ち時間なんて冒頭20分ぐらいしかありませんから、浅野内匠頭と吉良上野介の間の確執の原因などをくどくど描いているヒマはありません。従ってその限られた中で吉良をいかにも憎たらしい敵役に、そして内匠頭をいかにも悲壮感溢れる姿に描かなければならないのは大変ですが、それぞれを演じた滝沢修と市川雷蔵の力量、存在感もあって非常に上手く演出されていると思います。
ちなみに新劇界(民藝)から滝沢修が起用されているのは、大映には吉良役に適当な役者がいなかったからなのでしょうか。

雷蔵と並ぶ大映の雄・勝新太郎は、配役クレジットでは連名表記で長谷川先生に次ぐ二番目と言う厚遇を得ていますが(永田ラッパ社長の贔屓か)、当時はまだブレイク前と言うことで役柄(赤垣源蔵)は雷蔵さんに比べかなり落ちます。クレジットで勝新の次、雷蔵の前に登場するのが鶴田浩二(岡野金右衛門)で、東宝・東映のイメージが強いですが当時はフリーで大映にも結構出てるんですね。
川口浩(大石主税)、川崎敬三(勝田新左衛門)、菅原謙次(脇坂淡路守)、根上淳(土屋相模守)、船越英二(上杉綱憲)ら普段は現代劇専門の面々もオールスター映画と言うことで東京から参加。小沢栄太郎(千坂兵部)、田崎潤(清水一学)、志村喬(新左衛門の舅)らの好演も光ります。

女優陣では、吉良方でありながら大石に心惹かれる女間者るいを演じた京マチ子が筆頭。日本一の美女・山本富士子の瑶泉院も他に考えられないはまり役。若尾文子は、岡野金右衛門に惚れる大工の娘お鈴と言うのはちょっと柄じゃないような気もしますが、純情可憐な娘を好演。女優王国の大映だけあって、四十七士ばかりでなく女性たちの描き方にもかなり丁寧で時間を割いている印象ですね。ちなみに中村玉緒は瑶泉院付の腰元役で、最初の頃に台詞が一言だけあるのがたぶんそうなんだろうと思うのですが、よほど注意して見ていないとわかりません。
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