七人の侍

言わずと知れた、日本映画の最高傑作(1954年・東宝・黒澤明監督)

3時間半になんなんとする超大作。でも1度観始まったら途中で止められないし、何度観ても面白いですね。
一言で言えば戦国時代、百姓に雇われた七人の侍たちが野武士と戦うお話ですが、細かいストーリーや見所なんかを今更私が言ってもしょうがないので、個人的に好きな場面について書こうかな。

この映画の見せ場はなんと言っても後半の野武士との決戦なわけですが、私個人は前半の侍集めのエピソードも好きなんです。
冷静沈着な勘兵衛(志村喬)、前髪の勝四郎(木村功)、野獣のような菊千代(三船敏郎)、勘兵衛の忠実な側近七郎次(加東大介)、求道者の久蔵(宮口精二)、ひょうきんな平八(千秋実)…と、それぞれの人物紹介も兼ねた登場シーンが巧みですが、中でも気に入っているのは五郎兵衛(稲葉義男)のエピソード。
まず最初に、山形勲扮するいかにも腕の立ちそうな浪人が、物陰に隠れていた勝四郎を鮮やかにねじ伏せるという見事な技を見せます(このシーンも凄くて、山形勲は勝四郎の方を全く見ることなく剣を受け止めています。何回も撮り直したんでしょうか)。では次に登場した五郎兵衛はどんだけ強いんだと期待させるのですが、やはり勝四郎に気がついても己の技をひけらかすことはせず、破顔一笑、人のよい顔で「はっはっは、ご冗談を!」。山形勲と同じぐらい腕が立って、しかも人格的に勝っていると言うことを端的に了解させる、実に上手い演出です。「はっはっは、ご冗談を」って台詞もいいし、あのこぼれるような稲葉さんの笑顔が忘れられません。

この五郎兵衛、七人の中で勘兵衛に次ぐ参謀格なわけですが、軍略や剣の腕にも優れているのに能ある鷹は爪を隠すで普段はそのかけらも見せずに温厚という役柄。何気なく演じていますが現場で稲葉義男は黒澤監督に散々絞られ、円形脱毛症になるぐらい役作りに悩んだと言いますから、俳優さんの苦労は並大抵のものではありません(それで懲りたのか、その後黒澤組には「蜘蛛巣城」ぐらいしか出ていませんね)。

もうひとつ前半までで心に残るのは、村に着いた侍たちが出迎えもなく、爺様の家で重苦しく押し黙っていたその時、菊千代の鳴らすすりこぎの音に弾かれた様に立ち上がって駆け出すシーン。見てるこっちも思わずはっと心が湧き立つ感じで、黒澤はこういう静から動への鮮やかな転換のさせかたが本当に上手いですね。

それにしてもこの映画では本当にみんなよく走ります。「七人の侍」か「太陽にほえろ」かってぐらい。老人のように見えても志村さんなんかは40代だからまだいいですが、ヨボヨボの左ト全まで槍を担いで走り回っています。最後の野武士との決戦が終わった時、勘兵衛が七郎次と顔を見合わせて言う台詞「また、生き残ったな…」が、本当に精も根も尽き果てたと言う感じで真に迫り、戦いの激しさ、そして空しさをよく表しています。
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