地獄

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見所は詰襟服姿の天知茂!?(1960年・新東宝・中川信夫監督)

物語。大学生の清水四郎(天知茂)は教授の娘・幸子(三ツ矢歌子)と婚約。だがその晩、学友の田村(沼田曜一)の車に同乗したところ、田村はヤクザの恭一をひき逃げしてしまう。
平然とする田村とは反対に良心の呵責に悩まされた四郎は警察に自首しようとするが、乗っていたタクシーが事故を起こして同乗していた幸子が死んでしまう。自暴自棄となった四郎は酒場で知り合った女・洋子と関係する。洋子は死んだ恭一の情婦だった。洋子と恭一の母親は四郎に復讐をしようとする。
母親の危篤の知らせに四郎が故郷に帰ると、養老院を経営する父親は愛人と戯れている。間借りをして地獄絵を描いている画家の娘サチ子(三ツ矢二役)は死んだ幸子そっくりだった。
そこへ田村、教授夫妻、更に洋子と母親らが次々やってくる。やがて彼等は全員死んでしまい、地獄へ堕ちる…

「地獄」と言うタイトルを聞いて比喩的な意味で使われているんだろうと思ったら甘い。文字通り、正真正銘、地獄の話です。
合理的な解釈から程遠い狂った映画なので、何がなんだかわけわからないし、別にわかろうと言う気も起きません。でもこう言うのを一所懸命解釈して古今東西の文学なんぞと比較してみせる人が評論家になれるんでしょうな(個人的には夢野久作の世界を連想しましたが)。
物語は前半が現世のパート。天知茂が行く先々で不幸に見舞われ、ただでさえこの世の苦悩を一身に背負ったかのような表情をしている天知茂先生が、ますます眉間の皺を深めます。登場人物の大半がそれぞれ悪業を背負っていて、挙句の果てに全員死んでしまいます。
そして後半は地獄の描写。賽の河原や針の山、血の池などお馴染みの場面がビジュアル化されています。美術や特撮なんかは今からすればチープなんでしょうけど、あんまり生々しい描写なんぞは観たくないので、個人的にはこの程度で十分。特に主人公の父親が皮剥ぎの刑に合い内臓が露出する場面などはよく作ったと思います。
しかしこの映画で一番怖いのは、メフェストフェレスのような男・沼田曜一の怪演。天知先生につきまとい悪魔の囁きを行う男で、地顔も怖いし陰々滅々としているのですが、演技自体は妙に陽気なのが尚更怖い。
天知先生はきりっとしまった顔の輪郭がさすがに若い。でも終始「許してください」ばっか言っている、らしからぬ気弱な役(笑)。本人がどう思って演技してたかわかりませんが、何事にも全力投球する人なので、その情けなさもそれはそれでサマになっています。
歌舞伎のような隈取りをした閻魔大王に扮するのは、天狗のおじさんこと嵐寛寿郎。魑魅魍魎が跋扈する中で、若くて可憐な三ツ矢歌子が一服の清涼剤です。
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