黒の報告書

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宇津井健主演による大映の「黒」シリーズ第2作目(1963年・大映・増村保造監督)

物語。会社社長の柿本が殺され、凶器から人見十郎(神山繁)の指紋が発見される。人見は社長の後妻(近藤美恵子)と愛人関係にあり、更に2300万円の金も行方不明だ。
事件を担当した城戸検事(宇津井健)は有罪を確信して人見を起訴する。だが凄腕で知られる弁護士・山室(小沢栄太郎)が人見の弁護についたことから、裁判は意外な方向に…。

「黒」シリーズの2作目ですが、前作とは全く別の物語で、主演も田宮二郎から宇津井健にスイッチ。
タイトルの印象からすると、まるで検事が調書を捏造して無実の人間を罪に陥れる話みたいですが、実際のストーリーは全く逆です(そもそも宇津井健がそんなダークな役をやるわけありません^^;)
前半では警察の地道な捜査の模様が描かれ、検事の宇津井は万全の証拠固めをして自信満々に被疑者の神山繁を起訴に持ち込みます。
後半は裁判のシーンが中心。社長秘書で愛人の叶順子、社長の弟・上田吉二郎など、捜査段階では検察に有利な供述をしていた証人たちが、悪辣な弁護士・小沢に買収され悉く証言を翻してしまい、宇津井は窮地に追い込まれます。結局、検察は裁判に敗北、宇津井は左遷されてしまうと言う、悪が栄え正義が滅びる全く救いのないお話です。
宇津井健は正義感あふれる情熱派の検事で、しかもちょっと甘いところがあると言う、この人のいつも通りのキャラ。正しい法の秩序を信じる宇津井と、「裁判はゲームやスポーツのようなもの」と言い切る小沢の弁護士の対決が物語の軸になるわけですが、老獪な小沢に対してあまりにも一本調子ですぐ興奮する宇津井を見ていると最初から勝負は明らかなので、法廷劇の醍醐味はありません。不条理な結末にもかかわらず観ていてあまり暗い気分にならないのは宇津井の爽やかな持ち味ゆえですかね。もし主役が田宮二郎だったら最後までやりきれない思いで終わりそう…尤も田宮さんが検事だったら裁判に負けてないかもしれないですが^^;
証言が二転三転するヒロインを、叶順子が前作に続きふてぶてしく陰々滅々と演じています。ただ増村監督の映画にしては物語全体の中で女性の比重が軽い感じです。
捜査係長役に中条静夫。後年演じた「あぶない刑事」でのとぼけた近藤課長と違い、この映画ではなかなかキレ者です。考えてみたら宇津井、中条、神山の3人は、この後始まった大映テレビ室製作の人気ドラマ「ザ・ガードマン」のメンバーですね。大映ドラマの原点はこの作品だったのかも。粘り強く捜査する叩き上げのベテラン刑事を殿山泰司が好演しています。
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