複雑な彼

三島由紀夫原作、田宮二郎主演、そしてモデルは…あの人!(1966年・大映・島耕二監督)

物語。会社重役(佐野周二)のご令嬢・森田冴子(高毬子)は国際線の飛行機の中で見かけたカッコいいパーサー・宮城譲二(田宮二郎)に惹かれる。冴子の伯父で新聞社重役の須賀(中村伸郎)はイギリス赴任時代に譲二を知っていた。須賀の紹介で譲二とデートした冴子は恋仲になるが、謎の紳士(若山弦蔵)が現れ、譲二は傷害事件で執行猶予中の身だと言う。なにやら譲二の過去にはいろいろ複雑な事情があるらしい。やがて冴子は父親の仕事でリオ・デ・ジャネイロへ赴き、現地で譲二と再会するが…

三島原作としては純文学ではない、「夏子の冒険」とか「永すぎた春」などの系列に属する軽いロマンチック小説ですね。
この作品の主人公・宮城譲二のモデルが「塀の中の懲りない面々」の作者、若き日の安部譲二だと言うことは今では有名な話です。安部譲二が作家として世に出、三島の小説のモデルでもあったことが知れ渡ったのは1987年のこと。なので、それ以前から小説またはこの映画を知っていた人は安部サンを見て、さぞ衝撃を受けたことでしょう。
何しろこの物語の主人公と来たら、ソフトでエレガントで知的でミステリアスで、女にモテモテの二枚目男。ここから実物の安部サンを想像力するのは至難の業です。またそもそも、こんな歯の浮くようなキザな男を恥ずかしげもなく平然と演じ切れるのは田宮二郎をおいてほかにいないでしょう。
お話は、この田宮とお金持ちのご令嬢の高毬子が恋に落ち、日本からブラジルまでまたに掛けてデートを繰り広げる様子が延々続くというだけのものです。昔のご令嬢のことですから、「結婚するまではあなたのお部屋には行けないわ」などと言って清らかな交際に終始していますし、一方、田宮の方にも人に言えない秘密があって積極的な関係になれません。とどのつまり、その秘密と言うのは若気の至りで背中に「鯉の刺青」を入れているので、ハイソなご令嬢とは結婚できない、と言う、それだけのオチなんですが…最後は謎の紳士・若山弦蔵とともに「アジア民族のための戦い」とやらのために去って行く、何だかよくわからない結末です。とにかく田宮さんのカッコよさを堪能すること以外に、この映画の楽しみ方はありませんね。
この映画での田宮さんの職業はパーサー(客室乗務員)。過去に就いていた職業がカメラマン助手、バーテン、ボクサー、井戸掘り人夫etcと言うことで、井戸掘りはともかく、パーサーのカッコイイ制服姿やボクサーの引き締まった肉体、更にブラジルでのデートシーンでは真っ白な上下のスーツ姿と、まるで田宮二郎コスプレショーかいってぐらい、様々な姿が見られます。特に後半のブラジル編はゴージャスで、どうせ神戸あたりを外国に見立てて誤魔化すのかと思ったら、本当にリオまでロケに行ってるんですよ。1ドル=360円の時代に、この程度の映画でわざわざ海外ロケまでするとは随分大盤振る舞いしたものです。
ご令嬢を演じた高毬子、飛び切りの美人と言うわけじゃありませんが、清楚でおっとりしている感じがまさにご令嬢と言う感じで、浮世離れしたこの物語によく合っていました(ご令嬢の名前が「さえこ」なので、そこへ田宮二郎と中村伸郎が出てくると「白い巨塔」を連想します)。
ご令嬢の父親役は往年の二枚目スターだった佐野周二。この頃は脇に回っていたんでしようが、それにしても何もわざわざ社外から佐野周二を呼んでこなきゃならないようなものとは思えない、いたって平凡な役です。
田宮の元カノジョ役に滝瑛子、イーデス・ハンソン、真理アンヌ、渚まゆみ、紺野ユカ。
謎の紳士・若山弦蔵(顔を初めて見ました)は「ガメラ対バイラス」のバイラスのボスの声なので、イーデス・ハンソン(「ガメラ対ギロン」でトムのママ)とはガメラ・コンビ。ちなみに主題歌を歌っている西田佐知子は、佐野周二の息子・関口宏の現夫人。
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