黒の切り札

田宮二郎主演「黒」シリーズ第10作目(1964年・大映・井上梅次監督)。

物語。親分を殺されたやくざの多田(待田京介)と父親を倒産自殺に追い込まれた林(山下洵一郎)に、根来恭平(田宮二郎)と言う男が近づいて来る。根来は、3人の共通の敵である新日本開発会長・深沢(内田朝雄)に復讐しようと言うのだ。一方、検事の大崎(宇津井健)は深沢に繋がる汚職事件を調べていた。或る晩、大崎の婚約者・知子(藤由紀子)は、学生時代の恋人だった根来と偶然再会する…

「黒」シリーズで過去にそれぞれ主役を務めた田宮二郎と宇津井健が共演した、まさに「切り札」を切ったようなキャスティング。でも中身はあんまり黒シリーズらしくない感じ。
全部観たわけじゃないのですが、このシリーズって知能犯罪を扱ったサスペンスと言うのがスタンダードな物語じゃないのかと思うのですが、今回の話はまるで日活みたいなアクション物です(監督も日活でアクション映画を手がけた井上梅次だし)。尤も、それはそれとして映画自体はなかなか楽しめるのですが。
まず、ヤクザ(待田京介)と元会社社長の息子(山下洵一郎)と言う、身分も立場も違う2人と手を組む謎の男(それが田宮二郎)…と言うプロットが面白いです。田宮の正体は元子爵の息子で法学部中退で、現在はサックス吹き…って何じゃいそりゃと思う経歴ですが、最初はただお互い利害で結びついた3人がやがて同志的友情に芽生え一致協力して復讐に挑みます。特にこの面子からすると、どうも待田京介あたりは途中で命を落としそうな予感が働くので彼等の運命がどうなるのかにハラハラ(結局死にませんでしたが^^;)
物語は最後に、爆破寸前のロープウエイに閉じ込められた田宮たち3人が、縄梯子でヘリコプターに脱出するという見せ場が用意されていて、翌年「ガメラ」を手がけるスタッフ(撮影・築地米三郎、助監督・湯浅憲明)が迫力ある特撮シーンを演出しています。ちなみに後年、やはり井上梅次が監督した江戸川乱歩の美女シリーズ「妖精の美女(黄金仮面)」でも同じようなシーンがありましたね。
田宮二郎は両親の復讐のため、恋人も全ても捨てて立ち上がる男。はっきり言って、こう言うハードボイルドな熱い主人公は田宮さんらしくもないので、観ててちょっと笑っちゃうところもあります。
一方、田宮の元親友で今は検事になっているのが宇津井健。宇津井さんの方は、またもや正義感に一途な(しかも例によって少し詰めの甘い)検事(笑)この宇津井は表から正攻法で悪を攻め、一方田宮たちは裏からストレートに悪を倒そうとする展開が平行します。尤も、どうせ宇津井の方は役立たずなんだろうな…という予想は立ちます(実際は最後にちょっと役に立ちましたが)
そして宇津井の婚約者で田宮の元恋人の役なのが知的でエレガントな美人・藤由紀子。実生活で田宮さんとはこの約1年後に結婚するので、当然この頃は既に恋仲になっていたんでしょうね(田宮を「根来さん」と呼ぶ藤由紀子の台詞が「ねぇ吾郎さん(田宮の本名)」に聞えてしまいました)。
更にセクシーでエキゾチックな美人・万里昌代も出ているので、少々話が雑でもこのキャスティングだけで個人的には満足してしまいます。
スポンサーサイト

にほんブログ村

関連タグ: 田宮二郎 大映
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR