黒の札束

川崎敬三主演による「黒」シリーズの第3作目(1963年・大映・村山三男監督)

物語。経営陣の交代でリストラに怯えているサラリーマンの檜山賢二(川崎敬三)のところへ、以前取引のあった印刷業者の宮川(見明凡太郎)が一千万円分の千円札の偽札を造ったので百万円で買ってくれと持ちかけてくる。賢二は会社を辞め事業を始めるという口実で恋人の瑛子(三条江梨子)から借りた百万円でその偽札を買い取り、旧友で元学生運動家の石渡(高松英郎)を仲間に引き入れ換金の方法を考える。だが石渡の不注意から石渡の妻(宮川和子)とその浮気相手(杉田康)にも偽札の存在が知られてしまい、仕方なく2人を仲間にする。やがて4人は、換金のためのある方法を実行するが…

田宮二郎、宇津井健に続くシリーズ第三の男として川崎敬三が登場。
テーマも1作目は産業スパイ、2作目は法廷物と来て、本作はふとしたことから偽札を手に入れてしまった平凡な男がそれをいかにさばくかに焦点が当てられているので、主役に川崎敬三を配したのは的を射たキャスティング。これが正義感の強そうな宇津井健だったら最初からそういう話には乗らないだろうし、逆に野心の強そうな田宮二郎じゃ迷わず嬉々として偽札使いに精を出しそうですが^^;いかにも気弱なサラリーマン然とした川崎敬三がおっかなびっくり偽札に手を出していく様にはリアリティがあって、観ている側も引き込まれます。
更にこれに加わるのがシリーズ常連の高松英郎。
1、2作ではやり手のエリート役でしたが、本作では挫折した元学生運動家の役で、国家権力に対する闘争として偽札使いに加担して行きます。正反対の役柄ですが、彼の場合はコワモテなのでどっちでも応用が利きますね。
物語は偽千円札で一千万円、つまり一万枚の偽千円札をどうやって本物の金に換えるかに中心が置かれているのですが、元手の百万円は恋人が体を餌に他の男から借りたものなので、川崎には恋人が浮気をしているのではないかと言う不安が常につきまといます。
一方、高松の妻とその浮気相手が途中から計画に割り込んできて、この2人が胡散臭いのでいつか仲間割れを起こすのじゃないかと観ている側としてはヒヤヒヤ。二重三重に不安要因が含まれている点も物語を面白くしています。
結局、偽札の換金計画自体はうまく行っていたにもかかわらず、最後は意外なところから…と言う結末がちょっと釈然としないところもありますが、それもこれも主人公への感情移入のなせる業。偽札事件を捜査する刑事役が北城寿太郎、守田学、千波丈太郎などいつもなら悪人役の面々なのも、ますます川崎の方を応援したくなる効果を生んでいます。
この頃の千円札って聖徳太子だったんですね。調べてみたら当時、現実に千円札の偽札事件が多発したことから、この映画の公開(1963年3月)直後の1963年11月に絵柄が伊藤博文の新千円札に切り替えられたようです。
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