女王蜂の逆襲

スカした色男の天知茂(1961年・新東宝・小野田嘉幹監督)

物語。滝壺に落ちて死んだ叔父貴の金竜の弔問に鬼怒川温泉へやって来た関東桜組二代目の珠美(三原葉子)は、息子の慎介(御木本伸介)から黒部組が温泉の元湯の権利を狙っていると聞き金竜の死因に不審を抱く。珠美たちが黒部組に乗り込んだ時、無鉄砲の政(天知茂)と名乗る流れ者が助太刀に入り…

女王蜂と異名をとるやくざの女親分を主人公としたシリーズの第4作目。
私が観たのはこれと第2作(主演は久保菜穂子)だけですが、どちらも筋立ては殆ど同じで、女親分と悪いやくざが対立、そこへ正体不明の風来坊が絡んできて…と言うもの。
ただ新東宝オールスター出演でハチャメチャなノリだった第2作に比べると、本作の方はのんびりした温泉街を舞台にキャストも地味な話なのでやや退屈。
唯一の見所は、物語の核となる風来坊を演じている天知茂先生の破天荒な活躍。その名もなんと「無鉄砲の政」。

いつもなら人類の苦悩を一人で背負ったかのような深刻な表情を崩さない天知先生が、本作では八の字眉で陽気に「あっしは…」とかちんぴら言葉で喋り出すだけでまず笑えます。更に、芸者(池内淳子)と寝巻き姿でイチャイチャ、デレデレしているときの表情は必見。
普段はスタン・ハンセンみたいなカウボーイ・ハットに黒革のジャケットをはおっていて、登場の度にウエスタン調の牧歌的なBGMがかかるのは、小林旭の日活アクション映画を意識したものでしょうか。しかし、いかんせん小柄な天知先生、アクションシーンで短い足を振り上げてもイマイチ様にならないのは少し玉に瑕。最後には、流れ者のやくざと見せかけてその正体は潜入捜査の刑事だった…とかならまだしも、実は地質調査所の技師だったと言う、意味不明な驚天動地のオチも用意されています。
ちなみにこの映画、80分程度の時間の中で格闘シーンが7回か8回、出てくるんですけど、殆ど意味がないというか、フィルム数稼ぎに長回しやってんじゃないかと思うぐらい無駄な格闘がだらだら続きます。

天知先生にばかり目が行ってしまったのですが、主役はあくまで三原葉子。新東宝を代表するセクシー女優としてカルトな人気を誇るらしいんですが、本作ではお色気シーンがなかったし、顔立ちは平凡で台詞も棒読み調なので魅力薄。池内淳子は天知先生にメロメロになる芸者さん役で、今まで中年以降のしっかり者の奥さん役とかしか観たことなかったのでこういうキャピキャピ弾けた役は新鮮でした。一方、御木本伸介は重厚と言うか、貫禄が若い頃から同じなんですね(笑)
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