傷だらけの山河

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山本薩夫監督の社会派人間ドラマ(1964年・大映・山本薩夫監督)

物語。有馬勝平(山村聰)は鉄道、不動産、百貨店などを手がける西北グループの総帥。これまで非情な手段で事業を拡大してきた。関東開発の香月(東野英治郎)とは長年の競争関係にある。勝平には家族のほかに妾が3人とその子供たちがいる。或る日、勝平は会議にお茶を出しにきた会社の事務員・福村光子(若尾文子)を気に入り4人目の妾にする…

カネに、事業に、女にと貪欲な実業家とその一家を描いている点で、同監督による後年の「華麗なる一族」(1974年)を連想させる作品です。
主人公・有馬勝平には本宅に長男(北原義郎)、次男(高橋幸治)、そして娘婿(船越英二)がいて、長男だけは社長として会長の勝平を助けていますが、次男は精神病院に入退院を繰り返す社会的廃人。妻にコンプレックスを抱いている娘婿もやがて事業上の失策で勝平から縁を切られてしまいます。更に、妾の2人の子供も父親を疎んじていて離反。
しかし家族が崩壊して行っても勝平の欲望は衰えを知らず、勲章を貰い、学校経営に乗り出し、更に4番目の妾・若尾文子に逃げられても5番目の妾・滝瑛子を手に入れてご満悦。家族や他人がどうなろうと、あくなき事業欲で遮二無二突き進みます。ただ、それを演じているのが見かけは温厚で上品な山村聰だけにあまり悪辣な感じはしません(佐分利信だったらもっと憎々しい感じが出たでしょうが)。演出の意図はさておき、良きにつけ悪しきにつけこう言う人物が戦後日本を発展させてきたのが現実なのだと納得させられます(ちなみにモデルは西武グループ創始者の堤康次郎だと言われています)。
若尾が父親の妾とも知らず愛してしまい精神に異常を来たす繊細な次男の役が高橋幸治。「太閤記」の信長様でブレイクのするのはこの翌年なんですけど役柄は正反対。尤も、何せあの特異な風貌ですからどっちにしろノーマルな役柄ではありませんね^^;
山村に若尾を譲り渡す代わりにパリへ留学させてもらう情けない画家の夫の役が川崎敬三。それまで貧乏だった若尾が、愛人になった途端ゴージャスな毛皮を着てトーテムポールみたいな帽子を被っているのには笑えました。
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