黒の駐車場

田宮二郎主演の黒シリーズ第6作目(1963年・大映・弓削太郎監督)

物語。かつてやくざだった泉田敬(田宮二郎)は丸木製薬の営業部長松崎(見明凡太郎)に目を掛けられ今は下請け会社の社長になっていた。しかしその松崎が或る日謎の自殺を遂げる。死因に疑惑をもった泉田は、業界紙の記者北見典子(藤由紀子)と捜査に乗り出し…

黒シリーズはタイトルに「黒の―」が付いていると言う以外、作品間相互に関連性はなく、出演者もまちまちなのですが、全11作中7作で主演した田宮二郎、6作でヒロインを演じた藤由紀子が代表的キャストであることは衆目の一致するところ。二人の共演はシリーズ中4作ですが、ともにクールで知的でエレガントな美男美女の組み合わせはまさにゴールデンコンビ!
この二人が後に結婚してどういう人生を辿ったかはまた別の話であって、私個人としてはただ俳優としてスクリーンの中で輝いていたカッコイイ田宮さん、美しい藤さんだけを観ていたいと言う気持ちです。

お話は、恩人の死に疑問を抱いた田宮さんが調査に乗り出すと、どうやら今自分の会社で開発中の新薬に関係しているとわかります。事件の黒幕は親会社を乗っ取って今は社長に収まっている株屋の角沼(小沢栄太郎)か?それともライバル会社の女社長で新薬を狙っている吉野(中田康子)なのか?…と、新薬を巡る製薬会社間の争いに殺人事件を交えたミステリーと言う黒シリーズらしい展開です。

田宮さんは元やくざで今は立ち直って小さな製薬工場を経営していると言う役柄。社長が社長なので社員も喧嘩っ早い元チンピラ(工藤堅太郎)とか、病弱ですぐ貧血でぶっ倒れてしまう女の子とか、天才的な研究者だが変人気味でとっつきの悪い服部(仲村隆)とか、普通の会社だったらちょっと勤まらないような面々が集まっているのですが、皆が親分肌の田宮さんを慕っているというところが観ていて心地よいです。
中でも仲村隆は大映東京の脇役で、他の黒シリーズでもよく見かけるんですがイマイチ目立つところがありませんでしたが、本作の生真面目で研究オタクっぽい役はぴったり。
その彼が一人で開発中の新薬が画期的な製品であることから親会社やライバル会社の陰謀の渦に巻き込まれ、田宮さんは下請け中小企業の悲哀を味わいつつ、会社を守りながら恩人を殺した真犯人も追うと言うストーリーが平行します。最後には、まんまと新薬を盗み取ったかに見えた女社長を土壇場のどんでん返しでギャフンと言わせる結末が実に爽快。「黒の試走車」以来築かれてきた、主人公が苦い思いを味わうと言うこのシリーズのフォーマットからは外れているのですが、本作に限ってはこの爽快感ゆえにハッピーエンドが許せます。

藤由紀子さんは田宮さんと恋仲の女性記者で、危ない目に合いながらも田宮さんため捜査に協力すると言う役柄。田宮さんもそうですが、やはりこの人には記者とかスチュワーデスとか知的な職業の役柄が似合います。
小沢栄太郎は田宮さんと並ぶと、どうしても「白い巨塔」の鵜飼医学部長と財前教授に見えてしまうのですが、本作でも親会社と下請けと言う、上司と部下のような関係。二人は「華麗なる一族」「不毛地帯」でも似たような関係の役柄を演じていましたが、本作の場合は田宮さんが善玉であるところが違います。
中田康子は色っぽくて貫禄たっぷりのやり手女社長役がはまっています。他には、松村達雄が一見人の良い老社員に見えて実はと言うちょっと捻った役を演じています。
なお、タイトルにある「駐車場」と言うのは、劇中で田宮さんが暴漢に襲われた場所が駐車場だったと言う、それだけの繋がりしかありません。もう少し内容に即したタイトルの付け様はなかったのでしょうか。

ちなみに原作の「廃墟の唇」(黒岩重吾・作)は翌64年にテレビドラマ化され、田宮さんの役をテレビでは天知茂先生が演じているようです(mamiさんのブログ参照)。田宮さんと天知先生が演じた数少ない同一の役柄と言うことで興味深いのですが、映画の田宮さんは熱血青年社長と言うイメージなので、これをニヒルな天知先生に置き換えてもピンと来ません。原作は読んでいないのですが、おそらくストーリーが少し違うのでしょうか。残念ながらテレビ版の方は現在では観ることができないので比べる術がありません。
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