非情のライセンス

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「特捜最前線」を取り上げたからには、こちらにも触れなければ。
第一シリーズ(1973年)第二シリーズ(77年)第三シリーズ(80年)と三期に分かれて放送された、我らが天知茂主演の硬派な刑事ドラマです(テレビ朝日、原作は生島治郎)。

ちなみに、私がリアルタイムで観ていたのは第三シリーズのみで、その理由も「明智小五郎が出てる」からでした^^;
尤もここでの天知先生は知的で紳士的な明智先生とは全く別人。非情でハードボイルドな刑事を演じています。
どれぐらい非情なのかと言うと…、何しろOPからいきなり凶悪犯のように眼光鋭い天知先生の顔ドアップ写真が現れ、その眉間から「非」「情」の二文字が飛び出して来るんですから、度肝を抜かれます。正直言って最初に観た時にはギャグかと思いましたよ^^;そーまでして非情をアピールせんでも、と言う感じですが、、、しかしそーしたくなるほど、こうまでタイトルと主役の顔がマッチしていたドラマは滅多にないでしょう。

主人公、天知先生扮する警視庁特捜部の会田健は、かつて姉を暴行され殺された暗い過去を持つゆえ犯罪を激しく憎悪する、アウトローの刑事。チームワークなどクソ食らえで常に単独行動、殆どリンチに近いような暴力行為で犯罪者を締め上げる捜査方法でいつもマスコミに叩かれたり、捜査一課のエリート刑事の渡辺文雄とも対立したり、問題が絶えません。
ショッキングだったのは、犯罪者の頭に拳銃を突きつけて、数を数え終わるまでに白状しろと強要した会田刑事、普通の刑事ドラマだったら直前に相手が「ま、待ってくれ」と自白する展開に至るところですが、このドラマでは会田が「ひとつ…ふたつ…みっつ…」と最後まで数えても自白せず、そのまま撃ち殺してしまったことです。
もうひとつは、確かその同じ回だったと思うのですが、会田の同僚刑事・柳生博の娘が誘拐された挙句に殺害されてしまうという結末があったこと。まさかレギュラーの刑事の娘が殺されてしまうとは夢にも思わなかったので衝撃を受けました。このふたつは、かなりトラウマになりましたね。
そして最終回がまた極め付けに暗くて^^;かつて会田が取り逃がした女の娘の幸せを守るために、会田の上司の特捜部長・山村聰はなんと爆死し、また会田自身も女の頼みで彼女を撃ち殺したために真相を知らない娘から「人殺し」と罵られながらニヒルに刑務所の門をくぐる…というもの。一見非情な表向きとは裏腹に、実は飛び切り温かい心の持ち主なのに何も報われることなくあえて汚名を着たまま去って行く会田刑事・・・なんとも切ない幕切れでした。

このドラマも外見こそハードボイルドではあれ、テーマ自体は「特捜」と同じく、市井に生きる薄幸な人々、特にまだ戦争の影を引きずっている人々の悲哀が取り上げられることが多かった社会派のドラマ。最後に事件が解決しても心の傷は癒されず何も問題は解決しない…と言う結末に至ることが大部分で、そのやりきれなさを代弁するかのようにエンディングで天知先生が暗く切なく「生まれた時が悪いのか それとも俺が悪いのか」と歌う「昭和ブルース」で終わるのが常でした。全く救いのかけらもないまま終了してしまう重いドラマの作りは、やはり戦後二十数年しか経っていなかった時代ならではのものなのでしょう。
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