男たちの旅路 第2部

1976年2月にNHK「土曜ドラマ」枠で放送された山田太一シリーズ「男たちの旅路」。警備会社を舞台に、戦中派で特攻隊の生き残りの吉岡晋太郎(鶴田浩二)と戦後生まれの若者たちとの対立を描いて好評を博したドラマ。それから1年振りに放送された第2部です(1977年2月5日~19日・NHK・山田太一脚本)

今回から新たに鮫島壮十郎(柴俊夫)が加入。更に吉岡の警備会社の社長の小田(池部良)がレギュラーに加わっています。杉本陽平(水谷豊)、島津悦子(桃井かおり)は引き続き同じ。出演者はほかに五十嵐淳子、金井大、橋爪功ら。
第1部では戦中派としての吉岡の心情を描くこと自体がメインでしたが、今シリーズからは様々な社会問題に踏み込んでいます。

第1話 廃車置場(1977年2月5日放送)
物語。大企業を辞めて警備会社にガードマンとして就職した壮十郎(柴俊夫)。彼は採用されるにあたって、司令補の吉岡(鶴田浩二)に「仕事を自分で選ぶ権利が欲しい」と申し入れる。吉岡は何故かその条件を呑み、反対を押し切って採用する。しかし他の警備士たちからの猛烈な反発を招き、社長の小田(池部良)は吉岡の真意を質す…

新登場である壮十郎の紹介も兼ねた、今シリーズのプロローグ編。
「自分の納得できる仕事とは何か」「仕事の範囲とは何か」と言う、組織の中で仕事をする人間が一度は遭遇するであろうテーマを扱っていますが、最後はイマイチ釈然としません。
壮十郎は30歳で、20代前半の陽平や悦子より年長。つまり多少なりとも社会経験のある彼を吉岡と陽平たちとの間に挟むことで、単純に世代の断絶にとどまるのではなくて、共有する問題に対するそれぞれの葛藤を描く意図が明白になっています。
もう1人、今回から登場したのが吉岡たちの警備会社の社長役池部良。出番は少ないのですが、組織人としては少し外れた言動も多い吉岡にも理解のある頼れる経営者として、ストーリーの幅を広げる役割を担っています。
新人警備士の研修にあたった陽平が、1年前には自分が吉岡に言われていた台詞をそっくりそのまま言っているのが笑えます。重厚な鶴田と軽妙な水谷とのコンビネーションがこのドラマの原動力でした。
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第2話 冬の樹(1977年2月12日放送)
物語。吉岡(鶴田浩二)は人気バンドのゴダイゴ(本人)のコンサートで熱狂して頭を打った女子高生・平山美子(竹井みどり)を家まで送り届ける。父親(滝田裕介)は警備会社の不備をなじるが、吉岡は逆に「あなたは娘さんを叱らないのか?」と父親に説教してしまい、10日間の停職処分を受ける。そんなある日夜遅く、美子が吉岡のアパートを訪ね…

この話はシリーズきっての名作でしょう。
世間体ばかり気にしていて、子供からは逃げている未熟な親。そういう親の気持ちに敏感な少女の、反発と孤独。
30年前のドラマですから、女子高生の描き方に少し時代を感じる部分もありますが、「親子の断絶」と言うテーマは現在でも全く古びていません。
私に子供はいませんが、「親に理解されない」子供の気持ちも、そして大人になった今では「子供にどういう態度をとったらいいのかわからない」親の気持ちも、よくわかります。
勿論、子供のいない吉岡の気持ちも。
子供視点で観ていた当時は、娘のことを親に話してしまう吉岡に「なんだ、裏切んのかよ」と思ってしまったのを覚えていますが…でも、やっぱり、話すのが当然ですよね。子供に責任を持てるのは、親しかいないのですから。
「いい年をして自分の生き方が決まっておらんから、娘を満足に叱ることもできんのだ!」「子供の生活に本当に心を寄せたことがあるか?どんなことを考え、どんな寂しさをもっているか、本気で想像したことがあるか?」「あの子を叱ってやらねばいかんのだ…抱きしめてやらねばいかんのだ…」etc
吉岡の熱い説教には、もう、涙ボロボロ。
吉岡は、未熟な親たちに説教しているかのように見えながら、実は本人が最も大人気なく熱くなってしまい、若者たちからたしなめられてしまう、そういう姿がまた魅力でもあります。
嗚呼、昔のNHKはホントに素晴らしいドラマを作っていたんだなあ。。。今の堕落したNHKには「受信料返せ」としか言いたくありませんけどね。
女子高生役の竹井みどりが、懐かしい。って、今でも現役の女優さんですけどね。気丈そうでいてナイーブな眼差しに、いかにも"この頃の十代"って感じがしました。
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第3話 釧路まで(1977年2月19日放送)
物語。芸術展に出品中のカンボジアの石像が北海道に空輸されることになっていたが、「展覧会を中止して石像をカンボジアに返さなければ爆破する」と言う脅迫状が届く。そのため急遽裏をかいてフェリーでの輸送に変更され、吉岡(鶴田浩二)と陽平(水谷豊)、壮十郎(柴俊夫)の3人がその警備を命じられる。だがフェリーにはテロリストの三浦(長塚京三)が乗っており、休暇で同乗していた悦子(桃井かおり)と聖子(五十嵐淳子)が人質になってしまう…

東京から釧路までの33時間、フェリーの中で対峙するテロリストと吉岡たち。
当時は、過激派のハイジャックや爆破テロなどが国内でもまだ横行していた時代。正義だ、思想だなどといろいろ御託を並べていても、やっていることは所詮卑劣で意味不明なものとしてテロリストを描いています。
犯人1人を断続的に追いかけるだけの展開が少しショボイ感じもありますが…しかしこのドラマのテーマはそういうところにあるのではありません。
フェリーの船長(田崎潤)は吉岡と同じ戦中派。「戦争中の我々もあのテロリストと同じように見えていたのではないか?」と自問しますが、吉岡は「あんな若者とは全然違っていた」と否定します。
また、彼には犯人と同じぐらい年齢の息子がいますが、「宇宙人と話しているみたいで言葉が通じない」と嘆きます。前作に引き続き親子(世代)間の断絶を描くとともに、戦後三十年経ってしまった同じ戦中派世代内での共感と相違する部分も絡めているところがこの話のミソです。
犯人役の長塚京三が若い(しかも長髪w)。あとフェリーの乗客役で、ケビン・コスナーの吹き替えでもお馴染みの津嘉山正種がちらっと出ていましたね。
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