帰らざる日々

泥臭くて垢抜けなくて、切なくてほろ苦い1970年代の青春像(1978年・日活・藤田敏八監督)

物語。東京で小説家を目指しながらキャバレーのボーイをしている野崎辰雄(永島敏行)の許に父親の訃報が届く。6年ぶりに故郷長野県飯田へ帰る列車の中で、辰雄は高校三年の夏のことを思い出していた…。
喫茶店のウエイトレス・真紀子(浅野真弓)に思いを寄せていた辰雄は、真紀子と親しげな黒岩隆三(江藤潤)に反感を抱く。隆三が真紀子といとこ同士だと知らない辰雄は突っかかって行くが、やがて2人は惹かれ合うようになる。隆三は辰雄と真紀子と間を取り持とうとお節介を焼くが、内心では隆三もいとこの真紀子に惚れていた。だが真紀子には妻子ある愛人(中尾彬)がいることを知り…

♪最後の電話を握り締めて…
♪bye bye bye 私の心~
で有名な(と言っても若い人は知らんでしょうが^^;)アリスの同名ヒット曲名に因んだ青春映画。70年代の日活と言うとロマンポルノのイメージが強いですが、一方ではこういう一般映画、青春映画も撮っていたんですね。
物語は、父親の訃報で故郷へ帰る主人公の、青春時代の回想と言う形式で展開します。
自分の中途半端さを持て余している少年の倦怠。父親の不倫、年上の美しい女性への憧れ、男同士の汗臭い友情、異性との初体験、大人との間の越えられない壁、そして失恋と、友との悲しい別れ…等々。
青春映画にありがちな要素を全て詰め込んだようなストーリーですが、最後はじーんと来てしまいました。私自身にはこう言う青春は全然なかったんですけどね、でも時代が被っているだけに映画で青春の追体験をしているような気分になりました。木造の校舎や緑の山々に囲まれた地方都市の風景が郷愁を誘うし、緑とオレンジのツートンカラーの電車なんかも懐かしくて、この映画の撮られていた時代そのものが自分にとっての「帰らざる日々」のような、センチな気分にさせられます。

70年代後半の青春映画を代表するスターと言えば永島敏行と江藤潤…と言い切ってしまっていいのかどうかわかりませんが、ちょっと田舎の、垢抜けない素朴な高校生役と言ったらこの二人の顔がまず浮かびます。特に、江藤潤。この映画では不良っぽく斜に構えた一見感じの悪い奴なんですが、内面は繊細で傷つき易いキャラクターを好演しています。ちなみに2人とも既に二十歳を超えていましたので、当時から見てもあまり高校生とは思えないのですが、20代の俳優が高校生役を演じるのは、少なくとも80年代前半ぐらいまでは普通のことでした。

主人公の憧れる年上の女性を演じた浅野真弓。NHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」のヒロインを演じた頃とは、別人かと見違えるぐらい雰囲気が変わっていますが、これでもまだ21ぐらい。昔は二十歳ぐらいを境に大人と子供の区別がはっきり存在していたんだなあという気がします。
その愛人役の中尾彬。池波志乃と結婚してからはすっかり鴛鴦夫婦、愛妻家に収まってしまいましたが、それ以前は私生活でプレイボーイと噂され、役柄もそんな役が多かったように思います。
ちなみに、辰雄と電車の中で出会った元同級生・丹波義隆のフィアンセが、どっかで見たと思ったら、江戸川乱歩の美女シリーズ「悪魔のような女」で早苗役をやっていた加山麗子でした。
出演者はほかに朝丘雪路、中村敦夫、竹田かほり、吉行和子、草薙幸二郎、小松方正など。
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