高校大パニック

kokodaipanicop.jpg
数学できんのが、何で悪いとや~!!(1978年・日活・沢田幸弘&石井聰瓦監督)

物語。蒸し暑い夏。福岡の進学高校で受験ノイローゼの生徒が飛び降り自殺。それをきっかけに落ちこぼれ生徒・城野(山本茂)の怒りが爆発。教室を飛び出し銃砲店からライフルを奪った城野は、再び教室に戻るや数学教師(久富惟晴)に銃を乱射し射殺。更に駆けつけた警官たちにも重傷を負わせた後、女生徒(浅野温子)を人質に屋上の倉庫に立て篭もり…

この映画をリアルタイムでは知らなかったのですが、そう言えば当時「数学できんのが何で悪いとや~」と叫びながら銃をぶっ放すテレビCMをやっていたような記憶があります(この台詞はこの年に始まった「うる星やつら」でもネタに使われていました)。
って言うか、これ、「帰らざる日々」との併映だったんですねえ。。。「帰らざる日々」で感動した直後に引き続きこれを観た観客は、さぞ鬱になったんじゃないかと想像します。「マタンゴ」&「ハワイの若大将」の二本立てに比肩する凄まじい組み合わせですね。

「帰らざる日々」が、あまり高校生に見えないオッサン俳優による作り物めいた青春ドラマであるのに対して、こちらの方は殆ど無名の、いかにも等身大っぽい高校生の出てくるドキュメント仕立て。思い起こせば当時、「受験地獄」と言うのが社会現象だったのでしょう(漫画「東大一直線」もこの頃)。
石油ショックを契機に戦後一貫して続いていた右肩上がりの経済成長が終焉、不況のどん底に喘いでいたがゆえに、受験生にはよりいい大学へ、会社へとプレッシャーが掛けられる一方、ついて行けない者は落ちこぼれとして切り捨てられる…そんな時代の始まりだったのではないかと思います(尤もその頃やっと田舎の中学生だった私には、それ程の感覚はありませんでしたが)。本作はそうした時代に対する抑圧された世代の怒りと復讐をストレートに表した作品です。

ヒューマニストぶっていたくせに自分が銃を向けられるや「城野を殺せ」と錯乱する生活指導主任の河原崎長一郎。学校の体面ばかり気にしている校長と教頭。騒ぎによる受験勉強の遅れを心配する同級生たち。脈絡なく突然現れ日教組批判をぶつ街宣右翼。キレイ事を並べるテレビ局のレポーター。その他、いかにもと言う感じの野次馬たち。
シリアスとコミカルが入り混じったような展開の中で、「犯人射殺」の決意を秘めた青木義郎扮する捜査主任だけは着々と準備を固めていきます。
哀しいのは、たまたま逃げ遅れて人質になってしまった、浅野温子扮する女生徒。彼女も母子家庭育ちの落ちこぼれで、普段いつも教室の窓から外を眺めていた孤独な少女。ところが警察の誤射によって命を落としてしまったのは彼女の方で、強行突入した警官隊によって逮捕された城野が「来年受験があるんだ~、ラジオ講座があるんだ~」と意味不明なことを叫びながら連行され去った後、取り残された遺体にすがって泣く母親の宮下順子…と言う、何ともリアルでやりきれない結末。
いかに無差別通り魔殺人が横行している現在の狂った世の中とは言え、幸いにして日本は銃社会ではないため、この映画が未来を予言した作品になっていないのだけは救いです。

当時17歳だった浅野温子。カッワイイ~と言いたいところですが、醒めた少女を演じていてもうこの頃から既に不思議な貫禄があります。撃たれた後で小ぶりの胸をさらけ出すシーンはご愛嬌。
出演者はほかに赤座美代子、梅津栄、稲垣昭三、内田稔など。
kokodaipanic0101.jpg
kokodaipanic0102.jpg
スポンサーサイト


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

関連タグ: 日活
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR