新座頭市物語 笠間の血祭り

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勝新太郎の座頭市シリーズ第25作目(1973年・勝プロ製作/東宝配給・安田公義監督)

物語。座頭市(勝新太郎)は二十数年振りに故郷の笠間に帰ってくる。時を同じくして、江戸で豪商になっていた市の幼馴染・新兵衛(岡田英次)も故郷に錦を飾る。新兵衛は不作続きで苦しんでいた村人たちのために千両箱を土産に持って来たので名主総代(土屋嘉男)たちは大喜び。だが新兵衛の本当の狙いは他にあった…

1962年から始まった映画の座頭市シリーズは、本作を以ってひとまず終止符が打たれました。この後テレビに場を移した(1974年~79年)後、89年に16年振りの映画版が公開されましたが、結局それが最後の座頭市となってしまい、勝新の死とともに封印されたわけです(北野?香取?知りません)。
それはさておいて、
物語の冒頭、故郷の笠間の近くまで来た座頭市は懐かしさの余り思わずそちらに足を向けます。この時点でもう次にどういう展開が来るか想像がつくのですが、案の定、成功者である新兵衛の帰郷に湧く村人たちは市なんかに目もくれません。また、幼い頃一緒にスイカ泥棒をした仲だった新兵衛にも冷たくされます。帰ってくるんじゃなかった…と言う座頭市の孤独と悔恨が手に取るようにわかり、観ているこっちもぐっと来ます。でもその後はあまり胸に迫りません。いつも同じ感想なんですが、シリーズ後半の作品は登場人物が多すぎてごちゃごちゃする分、どうも話が薄いんです。
市は乳兄妹にあたるおみつ(十朱幸代)とその祖父(志村喬)に出会って懐かしんでもらい、やっぱり帰ってきてよかった…と言うことになるのですが、その後志村喬は市とさほど絡むでもなくすぐ殺されてしまうので、あたら名優も持ち腐れな感じ。存在感が薄いといえば名主総代の土屋嘉男も、何か一癖ある役なのかと思ったら新兵衛に騙されてあっさり首を吊ってしまうだけでした。うーん。五社協定が崩れて出演者が豪華になるのはいいんですが、文字通り役不足と言うか、大映時代だったらこの程度は京都撮影所専属の脇役さんクラスで十分な役だったんですけどね。
サイドストーリーに絡むのは、市と相前後して村にやって来たフーテンたち(岸部シロー、横山リエら)。彼等のキャラクターなんかはいかにも70年代ぽくて面白いのですが、ただ、こんな連中に構ってるヒマがあるならおみつたちとの交流をもっとじっくり描いて欲しかったところ。あれもこれもと詰め込みすぎて、物語の中心がどこにあるのかわからなくなります。
本作の悪役である新兵衛は市の幼馴染と言うことで、一見シリーズ初期にあった「本来斬っちゃいけない人を斬らねばならない」と言う、座頭市の宿命と業を路線に回帰している観はあります。しかし、市と新兵衛が幼馴染であった、と言うのは言葉の上で語られるだけんで、旧友を斬らねばならない市の心の陰影とか情念が物語に反映されて来ない憾みがあります。はっきり言えば別に悪役が幼馴染である必要もないんですね。故郷の村人たちを情け容赦やくだまくらかして村の石切り場を自分のものにしてしまおうとする、冷酷で知能犯的な悪役を演じた岡田英次は好演でしたが。
この新兵衛と結託する代官に佐藤慶、やくざに遠藤辰雄(太津朗)。最後に佐藤慶は市に頚動脈をぶった切られて、血しぶきとともに「キャーッ」という叫び声をあげながら死んでゆくのですが、あの佐藤慶のどっからこんな声が出るんだと思うような黄色い声でした。それにしても遠藤太津朗は、このシリーズで何回やくざの親分を演ったんだと思うぐらいよく出ています。
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