蔵の中

kuranonakaop.jpg
横溝正史原作の映画化(1981年・角川春樹事務所製作/東映配給・高林陽一監督)。

物語。雑誌「象徴」の編集長・磯貝三四郎(中尾彬)のところへ、蕗谷笛二(山中康仁)と名乗る少年が原稿を持ち込んで来た。「蔵の中」と題されたその小説には、笛二と聾唖で結核の姉・小雪(松原留美子)との近親相姦的な生活が描かれていた。そればかりでなく、蔵の中から遠眼鏡で覗かれた磯貝と愛人(吉行和子)との愛欲の様子まで描かれ…

映像と文学とは別物、と言うことを、これほど如実に思い知らされる作品はないですね。
原作は金田一物を手掛ける以前(戦前)の横溝正史が描いた、幻想耽美な短編。作品の中にまた作品があるという凝った構成で虚構と現実の切れ目をぼかし、読者を幽玄の世界に誘い込みます。小説なら横溝の美文体で緊張感を失うことなく一気に読めるのですが、映像の方は…。
物語は大半が閉鎖された蔵の中に舞台が限定され、登場人物も姉役の松原と弟役の山中の二人っきり。従って、よっぽどこの二人が魅力的じゃないと観る者を退屈させてしまうのですが、案の定、これが相当酷い。
姉は聾唖者と言う設定なので、姉の思っていることも含めて、全て弟役の山中の台詞のみで進行するのですが、丸っ切り棒読み口調の素人芝居。それを延々見せられるのはかなり苦痛です。時折、中尾彬と吉行和子、プロの大人俳優の方へと場面が切り替わる時だけ思わずほっとします。顔立ちも格別美少年てわけでもないし…もうちょっとマシな俳優はいなかったのでしょうか。
姉役の松原留美子はニューハーフのはしりだった人ですが、やはり男にしか見えないし、別に美しくも何ともありません。ホンモノの女である吉行和子の方が(当たり前ですが)遥かに妖艶で美しいです。倒錯した題材だからキャスティングまで倒錯させたのでしょうが、ここは普通に女優でやって欲しかったところ。裏の裏は所詮表にしかなりません。同じ監督の「本陣殺人事件」(1975年、ATG)は横溝映画化の最高傑作と思っているだけに、勘違いした駄作っ振りにガッカリです。
kuranonaka01.jpg
kuranonaka02.jpg
kuranonaka03.jpg
スポンサーサイト

にほんブログ村

にほんブログ村

関連タグ: 横溝正史 角川映画
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR