真田太平記

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池波正太郎原作のテレビ歴史時代劇(1985年4月3日~1986年3月19日・全45回・NHK放送)

物語。信州上田城主・真田昌幸(丹波哲郎)は小大名ながら智略に優れた武将。長男・信幸(渡瀬恒彦)、次男・幸村(草刈正雄)とともに徳川家康(中村梅之助)の大軍を打ち破り名を挙げる。やがて真田家は天下を統一した豊臣秀吉(長門裕之)の傘下に入り、信幸は家康の将・本多忠勝(加藤武)の娘小松殿(紺野美佐子)と、一方、幸村は秀吉子飼いの大谷吉嗣(村井国夫)の娘於利世(中村久美)と婚姻を結ぶ。しかし秀吉の死後、家康と石田三成(清水紘治)が対立、真田家もまたに昌幸・幸村と信幸に相別れることに…

NHKが大河ドラマの時代劇を休止して近現代劇三部作(1984~86年、「山河燃ゆ」「春の波濤」「いのち」)を放送していた期間、その代替として時代劇好きの視聴者向けには、「水曜時代劇」の枠で、従来の大河ドラマの予算を縮小した規模で歴史時代劇が放送されていました。その第一作が「宮本武蔵」(役所広司主演)、第二作がこの「真田太平記」、そして第三作が「武蔵坊弁慶」(中村吉右衛門主演)。
私は時代劇ファンですから、近現代劇よりこちらの方が本当の大河ドラマらしくて好きでしたが、中でも「真田太平記」に最も惹かれました。
このドラマではセットや戦闘シーンの制作費の不足を補うため、CGを初めて本格的に導入して多用しています。何せ初期のCGですから今から比べると、いや当時から見てもかなりチャチな感じはありました。しかしそれが苦にならないのは、重厚な構成と豪華な出演陣のお陰です。
まず真田家の象徴・六文銭が飛んでくるOPとともに流れる、弦楽器による主旋律の哀調の中にも力強さを感じさせる林光作曲のテーマ音楽がいいです。林光は「国盗り物語」「花神」のテーマ曲も担当していますが、どれも歴史大河らしい格調の高い、名曲です。それに引き換え最近の…とかはあんまり言いたくないんですけど、やはり近頃の大河ドラマの、フニャフニャした音楽はダメだなあ。。。まあ、音楽だけじゃなく、歴史ドラマ作りにおける基本姿勢自体が違うんですけどね。。。
物語は、織田・徳川連合軍による甲斐・信濃攻めから始まり、関ヶ原の戦い、大坂の陣を経て、最後は二代将軍秀忠(中村梅雀)の命により信幸が父祖以来の地・上田を離れ松代に移封されるまでの、真田家の姿を描きます。
と言ってわかるように、このドラマの主役は豊臣方に加担して華々しく滅びた有名な弟・幸村ではなくて、徳川方についた地味な兄・信幸の方。私も正直言ってこのドラマを見るまで真田信幸のことはよく知りませんでしたが…いや、でもこの渡瀬恒彦演じる兄上様が渋くていいのです。数々の苦難を冷静な判断と忍従で乗り越え、領民を愛し家臣を愛し、真田の家を守り抜いた生き方にもひとつの理があったことが、渡瀬の存在感ある演技によって納得させられます。
真田幸村の実像は中肉中背の人物だったと言われ、原作にもそのように記されていますが、ドラマでは長身・美形の草刈正雄が演じています。小説は小説として、映像的には静の信幸と動の幸村の人物像をビジュアル的にも明確にする上で妥当な配役だったと思われますし、草刈正雄は武勇と智略に優れ己れの信念に殉じた幸村を美しく、そしてかっこよく演じています。
そして何と言っても丹波哲郎の真田昌幸。小国の領主ながら智謀の限りを尽くして戦乱の世を潜り抜けて行った昌幸とは、まさに現実もかくあったろうと思わせる、圧倒的な風格と迫力。尤も、丹波は何を演じてもいつも同じタンバリンなんですけどね。でも、この人が現れるだけで「大物」と納得させてしまうこんな役者さんは、もう二度と出てこないでしょう。
この3人を中心にして、更にもうひとつのドラマの見所は、草の者、つまり忍者の活躍。
真田の草の者の頭目・壺谷又五郎に夏八木勲、密かに幸村を愛するくのいちのお江に遥くらら、真田と敵対する甲賀忍者の頭目・山中大和守に佐藤慶、山中内匠に戸浦六宏、そしてお江を執拗に仇と狙う猫田与助に石橋蓮司と言う、一癖も二癖もある個性派俳優たち。中でも遥くららは元宝塚の、しかも娘役出身でありながら汚れた衣装を身纏って熱演。少年のように凛とした美しさの中に色気もあって、素敵でした。
ちなみにこのドラマ、当時の宣伝文句には「ホームドラマの要素を取り入れた」云々とあったように記憶しているのですが、それは戦乱の世を生き抜いた真田一族の親子、兄弟、そして郎党たちの情愛と結束を描く、と言う程度の意味合いであったかと思います。近年の大河は、単なる女性目線で描いた文字通り本当の「戦国ホームドラマ」化してしまっていますが…いや、その話はやめましょう。
家康役は前進座の大御所・中村梅之助。私がこれまで見た中での、ベスト・オブ・家康役はこの梅之助です。満面に人の良さそうな笑みを浮かべている時でも目だけが笑っていない、老獪な、まさに狸親父のイメージにぴったりでしたねえ。ちなみに、家康の息子・秀忠役の梅雀は、梅之助と実の親子で親子役。尤もこの当時はまだ有名じゃなかったので、名前も顔も似てるけど親戚かなあ?ぐらいにしか思いませんでしたが。
他にも榎木孝明、三浦浩一、細川俊之、小山明子、岡田茉莉子、加藤嘉、鈴木瑞穂など、当時の新進、中堅、ベテラン俳優が勢揃い。そうそう、翌年亡くなるアイドルの岡田有希子もちょこっと出ていました。まあ、この当時にはちゃんとした芝居のできる俳優とただの顔見世出演アイドルとの区分けがまだ厳然と存在していたわけで、大河ドラマがアイドル学芸会になってしまうような有様は、考えられなかった時代でしたね(って、やっぱり最後はそこに行き着いちゃうなあ。。。)

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