配役クレジットあれこれ・その3

映画界の専属制が崩壊して各社のスターが共演するようになると、クレジットの順番が難しくなってくる。誰が格上なのか、わからないからだ。「トメ」だの「中ドメ」だの、場合によっては「(特別出演)」の肩書きをつけたりして、主役以外でも別格であることを示すようになる。
オールスター出演の大作映画を得意とした山本薩夫監督の作品では、クレジットはたいてい、「出演順」とか「アイウエオ順」になっていた。スターに序列をつけられなかったのだろうか。

田宮二郎主演のテレビドラマ「白い巨塔」(1978年)では、財前又一役の曾我廼家明蝶だけ何故か「特別出演」がついている。ほかにも中村伸郎とか小沢栄太郎とか新劇界の大物が出ている中で、この人だけ「特別」な理由がイマイチよくわからない。関西喜劇界の大御所と言うことで別格なのだろうか。
しかし、注意してよく見ていると、時々明蝶さんのクレジットに「特別出演」が付かないときがある。
船尾教授役で佐分利信が出ている回である。
佐分利信と言えば戦前からの大スターで日本映画界の重鎮。このドラマの主演・田宮さんが大映でまだ無名の通行人役だった頃も、佐分利さんはあの小津映画で主役を張っていた。従って明蝶さんが「特別出演」なら、佐分利さんには「超・特別出演」とでもつけなければ格が吊り合わないが、そういうわけにもいかない。
…という理由でおそらく佐分利さん出演の時だけ、さりげなく明蝶さんの「特別出演」を削ったのだろう。
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