黒の死球

1963年/大映/瑞穂春海監督
出演/宇津井健、藤由紀子、倉石功、河野秋武、神山繁、近藤美恵子、北原義郎、杉田康、菅井一郎ほか
物語。プロ野球のスカウト柏木(宇津井健)は、恩人でライバル球団のスカウト浜田(河野秋武)らとの競争に勝ち、高校随一の左腕投手菊川(倉石功)の獲得に成功。だがその夜浜田が崖から転落死する。警察は自殺と断定するが、信じられない柏木は、浜田の娘しず枝(藤由紀子)とともに事件を捜査し始める…黒シリーズ4作目。

シリーズ1作目の「黒の試走車」は、「試走車」を「テストカー」と読ませるいかにも昔っぽいタイトルでしたが、この「黒の死球」は「デッドボール」…ではなく、そのまんま「しきゅう」です。お話も、別にピッチャーがデッドボールで相手打者を再起不能にするわけではなく、プロ野球のスカウト合戦を背景に殺人事件を描いたサスペンス物。
宇津井健が主演、しかも元プロ野球選手のスカウト役と聞いてあんまり期待しないで見たのですが、思ったより面白かったです。

新人選手の獲得が自由競争だった時代、スカウト合戦が加熱して契約金が高騰したことは世間の話題にもなり、実在の選手がモデルの「あなた買います」(1957年、松竹)と言う映画も作られたぐらいでした。この結果ドラフト制度が敷かれ一定の枠が嵌められたわけですが、今でも相変わらず密約や裏金の存在はしばしば問題化されていています。結局、本質的な実態はそう変わっていないのでしょうね。

物語は、倉石功扮する高校生投手の獲得合戦のさなかにベテランスカウト・河野秋武が謎の死を遂げるので、最初は当然事件に倉石が絡んでいるのではないかと疑わせる状況の中で展開します。しかし途中で、実は死の直前、河野がもう1人別の選手を追っていたことが判明。更に、河野が通っていたキャバレーのホステス・近藤美恵子、医者の菅井一郎、倉石の担任教師・神山繁など疑わしい人物が次々浮かんできて、残り10分ぐらいになってもまだ先が読めません。どうなることかと思って見ていると、、、最後は突然説明的になって、あっさりと解決。あらら。これから面白くなる山場だったのに、肝心のところでちょっとあっけなさ過ぎました。前半、宇津井と河野、河野と倉石の人間関係がじっくり描かれていてたのはよかったのですが、そのために後半の時間が足りなくなっちゃったみたいですね。

宇津井さん扮するのは、巨人を思わせる金満球団のスカウト。なので選手の親からの契約金吊り上げに対しても、即座に目の前に札束を積み上げみせて一発OK。スポーツマンでやり手のスカウトなんて役は、むしろ田宮二郎さんの方が適役だったのではないかとはじめは思っていましたが、こういう露骨な場面がいやらしくならないのも爽やかキャラクターの宇津井さんだからであって、もし田宮さんだったら随分印象が違っていたでしょうね。
黒シリーズ11本中の6本でヒロインを演じた藤由紀子さんはこれが最初のシリーズ出演作。エレガントで大人びた美貌は、とても当時20歳だったとは思えません。
倉石功さんは当時デビューして間もないころ。まだ10代だったので、さすがに若いです。台詞回しは拙いですが、いかにも田舎の純朴な高校球児と言う風情が出ています。ちなみにこの映画は長野が舞台ですが、倉石さん自身も長野出身なんですね。
神山繁さんは病弱で気の弱そうな教師役で、当時の彼がまさかこんな普通の善人を演じるはずがないと思ったら、案の定…の設定。ちなみに宇津井、神山、倉石の3人は数年後人気テレビドラマ「ザ・ガードマン」のレギュラーとして共演しています。
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