東京湾炎上

1975年/東宝/石田勝心監督
出演/丹波哲郎、藤岡弘、金沢碧、水谷豊、鈴木瑞穂、宍戸錠、内田良平、渡辺文雄、佐藤慶ほか
物語。巨大タンカーがテロリストにジャックされ東京湾に停泊。彼らは鹿児島の石油コンビナートを爆破し、その模様をテレビ中継しろと日本政府に要求、応じなければタンカーを爆破すると宣言する。どちらも受け入れられない政府が考え付いたのは奇想天外な作戦だった…

70年代に流行ったパニック映画のひとつ。日本沈没→人類滅亡(「ノストラダムスの大予言」)とパニックのグレードをアップさせてきた東宝が放った第三弾は「東京湾炎上」…って、急に規模がショボくなった感もしますが、今回のキモはテロリスト対日本国家と言うリアルな素材です。従って話の持って行きようによっては面白いポリティカルフィクションになったかもしれないんですが、まだ時期が早かったのか、それとも東宝の絵空事体質が邪魔したのか、何とも間の抜けた代物になっています。
まずタイトルは「東京湾炎上」になっていますが、東京湾が燃えること自体が問題なのではなく、東京湾上で石油を満載したタンカーが爆破されれば、炎上によって発生する有毒ガスで首都圏が壊滅するかもしれない…と言う回りくどい話です。しかもあくまで「炎上したら…」と言うシミュレーションを見せるだけで、実際に炎上することはありません。この物語の当面する危機は、コンビナートを爆破してテレビ中継しろ、と言うテロリストの要求の方です。勿論この要求も呑むわけには行きません。となればテロリストを誤魔化さなきゃいけないので、困窮した政府が採った策とは何と、たまたま撮影済みだったコンビナート爆破の特撮映像を、あたかも本物のように見せ掛けテレビ中継する、と言うもの。偶然そんなフィルムがあったというご都合主義もひどいですが、それでテロリストが簡単に騙されてしまうのもお粗末過ぎ。東宝の特撮は本物そっくりですよと言う自画自賛に笑うしかありません。
そもそもこのテロリストたちが、なんでこんなややこしい要求するのか、と言う点がイマイチよくわかりません。彼らの主張は、なにやら先進国がアフリカを始めとする第四世界を搾取しているのが怪しからん、という話です。確かに日本も先進国の一員として南北格差の助長に加担しているのは事実としても、その矛先が何でアメリカでもヨーロッパでもなくて、まず日本に向けられるのかが不明です。「ウルトラセブン」の宇宙人が日本ばかり侵略するのと同じで、ここが日本だから、としか言いようがないんですけどね。日本が標的でなければならない、もっと切実な理由を設定して欲しかったです。
テロリストがテロリストなら、それに対峙する日本政府も日本政府で、鈴木瑞穂扮する政府の最高責任者は総理大臣でも国家公安委員長でもなく「対策本部長」と言う謎の肩書き。しかも民間人を含めた数人が物事を運んでいる有様は、どう見てもこれほどの国家的大事件に相応しいものと思えません。内容は限りなくポリティカルフィクションに近いものでありながら、その描き方は相変わらずの古臭い特撮映画の手法であることが、この物語のリアリティを著しく損なっています。
いずれにせよ海と陸とで、テロリストと政府がコントみたいな応酬をやっている間にタンカー内では人質の船員たちが殺されていくのですが、その割りにあんまり緊迫感はありません。第一、いったんは船員たちの手によってふん捕まえられてしまうほどテロリストどもは弱いのです。しかも最後にテロリストたちは内輪もめで自滅してしまうのだから情けない。
こんな話のせいか、丹波哲郎を先頭に藤岡弘、宍戸錠、内田良平ら、折角濃い面子が出演しているのにあんまりキャラクターを生かせていないのがもったいないです。せえぜえ丹波先生が英語で大演説?をぶつぐらい。唯一の日本人テロリスト役の水谷豊も、最後にモリで吹っ飛ばされる姿が笑いを誘うぐらいなのが残念だし、黒人テロリストの1人に扮したケン・サンダースがわざとらしい片言の日本語を口にするのに至っては、彼が日本語ペラペラなのを知って見ていると噴飯ものです。
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