戦国自衛隊

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1979年/角川春樹事務所製作/東宝配給/斉藤光正監督
出演/千葉真一、夏八木勲、渡瀬恒彦、江藤潤、倉石功、竜雷太、かまやつひろし、にしきのあきら、速水亮ほか
物語。伊庭三尉(千葉真一)率いる陸上自衛隊の小隊が演習中に突如戦国時代にタイムスリップ。そこで伊庭は後の上杉謙信である長尾景虎(夏木勲、現・夏八木勲)と出会い、意気投合。「ともに天下を取ろう」と言う景虎に呼応し、川中島で武田信玄(田中浩)と戦う…

出版と映画を連動した大掛かりなメディア戦略(所謂角川商法)で旋風を起こし、沈滞していた当時の日本映画を活気付けたのが角川映画でした。ただ作品の出来は玉石混合で、この時代のノリとか当時の角川映画の勢いとかを理解しないと、何が面白いんだかよくわからないというものもあります。本作なども今見るとちょっと微妙なところ。
「もしも近代兵器を装備した自衛隊が戦国時代にタイムスリップしたら…」と言う、SFとしても時代劇としても刺激的な素材を扱いながら、話はタイムスリップした地点からなかなか進展しません。前半は戦国青春群像劇が延々続きます。
駆け落ちの予定だった恋人・岡田奈々との待ち合わせ場所に行こうとするスターにしきのと連れの鈴木ヒロミツ、村の未亡人とその子供たちと親しくなるムッシュかまやつ、唐突に村娘・小野みゆきと恋に落ちる中康治、そして本能を剥き出しに略奪・強姦に走る渡瀬恒彦と角野卓造(若い!)たち、などなど。戦国時代に放り込まれた汗臭い若者たちの姿を描きたいのだったら別に自衛隊である必要はなく、大学のラグビー部でも町の愚連隊でも何でもよかったのではないかと言う感じです。再三挿入されるスロー・バラード調の劇中音楽も違和感ありありなんですけど、こういうのが、まあ、当時の角川テイストだったわけで、しょうがないですね。
後半、漸く歴史を変えるべく決起した伊庭率いる自衛隊と、信玄率いる武田軍団との対決が始まり、ここからのアクションには迫力があります。ただ、いくら自衛隊と言っても小隊規模の武器弾薬を持っているに過ぎないし、人数もわずか11人。対する武田は何万と言う軍勢だし、信玄は戦国の歴戦の雄です。なので、もし本物の自衛隊だったら、少しはそれなりの策を立ててから合戦に臨むでしょうが、この映画では闇雲に銃を乱射し突っ込んでいくだけ。その結果、自衛隊は雲霞の如く押し寄せてくる軍勢と、信玄の巧妙な戦略に引っかかってしまい、ジープ、トラック、ヘリを失い、隊員たちも次々討たれてしまいます。
ところが1人、兵器が尽きて劣勢になったところから逆に何故か千葉ちゃん演じる伊庭だけは水を得た魚のように生き生きし始め、槍を振るい、弓を取り、刀を抜き、馬を駆って武田の忍び部隊を蹴散らし、敵の本陣に突入。信玄の首を討ち取ることに成功します。つまり勝ったのは自衛隊じゃなくて、超人的な身体能力を備えた伊庭個人なんですね^^;
ちなみに信玄役には当初、三船敏郎がオファーされたと記憶していますが断られ、代役を演じたのは同じ三船プロの田中浩。あの「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」のナレーションで有名な、丸大ハムのCMでお父さん役だった人です。
ボロボロになり身ひとつで京の荒れ寺までたどりついた、生き残った自衛隊員たち。原作(半村良)は昔読んだきりなので細かくは忘れましたが、ラストで伊庭が細川藤孝に討たれ、図らずも自らが織田信長の役割を演じていて歴史を修正するはめになってしまった、と言う皮肉な結末を迎えていたはずです。しかし映画にはそういう説明が一切ないため、単に邪魔者として始末されてしまうだけのように見えます。映画のキャッチコピーも「歴史は俺たちに何をさせようとしているのか!」だったのに、劇中でその答えがよくわからず終い。SF時代劇に底の浅い青春ドラマの要素を入れ込んだ結果、テーマがどこにあるのか生煮えになってしまった感が強いです。
肉体派の暑苦しいクマ髭コンビ、千葉真一と夏八木勲の発する野生のオーラはすごいです。特に自らアクション監督も務めた千葉真一は八面六臂の活躍で、やはりこれは千葉ちゃんのための映画だった、という気がします。
渡瀬恒彦はかつてクーデターを計画して失敗したことがあるという、まるで「皇帝のいない八月」を思わせるアウトローな自衛官役。江藤潤は純朴で垢抜けない、この頃の青春映画には欠かせなかったキャラクター。
前年デビューしたばかりの薬師丸ひろ子が、武田の少年武者役(台詞無し)でワンシーンのみ出演していますが、そのいでたちはまるで桃太郎。そー言えば、この時だったか後だったか、角川文庫のCMに、まさに桃太郎役で出演していたのを思い出します。
他にも岸田森や小池朝雄、成田三樹夫、仲谷昇、鈴木瑞穂らがほんのワンシーンのみの出演なのは今からすると実に豪華で贅沢な使い方にも思えてしまいますが、考えて見れみれば数多くの作品に出演していた彼らであれば、この程度の映画に出ていても当時としてはごく当たり前のことだったわけです。
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