刑事コロンボ 秒読みの殺人

1978年/米ユニヴァーサル/1979年1月2日NHK放送
物語。テレビ局の敏腕プロデューサー、ケイ(トリッシュ・バン・デバー/声・寺田路恵)は上司で恋人のマーク(ローレンス・ラッキンビル/声・森川公也)に捨てられ殺害を決意。新作の試写中に映写室を抜け出しマークを射殺する。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は外部から侵入の形跡がないことから身近な人間の犯行と確信しケイを犯人と睨む…シリーズ43作目。

シリーズの終わりから三番目の作品。NHKでの放送は、お正月に三夜連続だったのを覚えています。
このエピソードではのっけからいきなりコロンボが登場。車の追突でムチウチ症になる珍しいシーンから始まり、途中まで首にコルセットをはめた痛々しい姿。ちらほらと白髪も目立つし、めっきり老けたように見えます。
今回の犯人は女性です。シリーズ中、女性が犯人のエピソードは、共犯を別とすれば8作品ありますが、とことん利己的で憎たらしいのは最初の「死者の身代金」ぐらい。あとはどうしても情緒的で後味の悪いものになりがちです。今回も男女間の愛憎劇の末の殺人。犯人は単に恋人に捨てられたと言うだけでなく上司でもある被害者に仕事の面でも否定されたことが複合的な動機になっています。
被害者は、自分ひとり出世しちゃうと恋人との愛情関係を高級車一台で清算しようとする男だし、しかもジュースの中に隠した車のキーを発見させようとする幼稚な猿芝居で悦に入っているような、デリカシーのない男です。なので、男である私が見ていても「嫌な感じ」の奴なんですけど、一方で「君には決断が出来ない」と言う犯人への人物評が的確であったことは、後半になると明らかになります。
犯人がカウントダウンしながら4分と言う短い時間に往復して殺人を実行するシーンや、エレベーターから凶器の拳銃を取り出そうとするシーンのスリルは満点。事件の中での焦燥する犯人の姿は、同時に男社会の中で上昇志向を抱いてもがいている犯人の生き様そのものとオーバーラップしているので、人間ドラマとして優れたものになっています。
ただ、序盤で事実上の山場が来てしまうので、中盤の展開がだらだらして退屈になります。特にTVスタッフルームのモニターに興じるコロンボの小ネタは要らないし、ケイと落ち目スターのエピソードなんかは無駄に長い感じです(ちなみにNHKで放送された時は、このあたりが殆どカットされていました)。
犯人の人間性の部分を描くのに力を注ぐと肝心のミステリーとしての味は薄く、推理ドラマとして平凡になってしまいます。特に、ケイが犯行の際に用いた手袋や凶器の拳銃を始末せず放置している点があまりにもお粗末。証拠をぼろぼろ残しすぎだし、とうていコロンボに太刀打ちできるような頭いい犯人とは思えません。その気になればすぐにでも解決できそうな凡庸な犯行です。こういうあたりにシリーズの限界が現れていたのかもしれません。
ケイの声を演じている寺田路恵さんはこの後、「コロンボ」シリーズのスピンオフ(と言えるのか)作品「ミセス・コロンボ」で主役、つまりコロンボ夫人の声を吹き替えていました。ちなみにこの「ミセス・コロンボ」とは、「コロンボ」本体では一度も現れなかったカミさんを登場させて主役にして、逆にこっちにはコロンボは登場しないと言う発想のドラマだったんですけど、アメリカでも日本でも全く受けなかった模様。私も1、2回見たことありますけど、内容云々以前にコロンボ夫人が若過ぎてイメージに合わなかった記憶があります。
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