なみだ川

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1967年/大映/三隅研次監督
出演/藤村志保、若柳菊、細川俊之、戸浦六宏、藤原釜足、安部徹、塩崎純男、玉川良一ほか

物語。江戸末期の日本橋。少しおっちょこちょいの姉・おしず(藤村志保)としっかり者の妹・おたか(若柳菊)は仲の良い姉妹。神経痛で仕事の出来なくなった彫り物師の父親(藤原釜足)を養いながら、支え合って生きている。ただひとつ頭痛の種は、前科者の兄(戸浦六宏)の存在だった。
ある日、おたかに縁談が持ち上がる。相手はおたかも憎からず思っている、呉服屋の若旦那(塩崎純男)。だが兄の存在や、姉より先に嫁ぐことを心苦しく思ったおたかは断ってしまう。妹の心を知ったおしずは、安心させるために、自分も近所の職人の貞二郎(細川俊之)に求愛されたと、すぐばれる嘘をつく。
そしていよいよおたかの結納が近づいた頃。兄からまた金をせびりに来ると言う手紙が届く。妹の幸せを守るために、おしずは刺し違える覚悟で短刀を用意する…山本周五郎の「おたふく物語」の映画化。

この映画には、ハラハラ、ドキドキのし通しです。
別にミステリー映画じゃないんですが。
この姉妹が、どうか幸せになりますように…
特に藤村志保さんのファンとしては、おしずがどうか不幸せになりませんように…
と、祈るような気持ちで見てしまいます。
なので終盤、兄と刺し違えるつもりで、おしずが短刀を構えた時には戦慄が走りました。
最後はもう、年甲斐もなく、涙ボロボロ。

原作はかなり昔に読んだので、細かい点は忘れてしまいましたが、確か、いくつかの短編からなるオムニバス小説だったと思います。でも映画では、それを強引にひとつの物語にまとめてしまっているために、なんか途中でちょっと、辻褄の合わない箇所もあるんですけどね。例えば鶴村の旦那(安部徹)の件はどうなっちゃったのか、とか…。でも大した問題ではないです^^;

三隅研次監督と言うと、剣豪が出て来るようなシャープでスタイリッシュな映画を撮る印象が強いのですが、平凡な庶民の生活を描いた山本周五郎の世界も撮れるとは、意外です。
庭の緑や鮮やかな花の色、夕立、貞二郎の仕事場の陰影。大映の職人的な技を感じる照明も見事でした。

藤村志保さんにとっては、数少ない映画の主演作です。
大映時代の志保さんは、いつも悲しい顔をしている役が多いのですが、この作品では、飛び切り素敵な笑顔がたくさん見られます。おっちょこちょいで、やたらとうろ覚えの頓珍漢なことわざを言いたがる天然ボケの役と言うのも、実に珍しい。自分を犠牲にしても他人の幸せを願う志保さんの迫真の演技は、見るもの全てを幸せにしてくれるでしょう。

若柳菊さんは本名・鹿内寛子と言い、あのフジ・サンケイグループの鹿内ファミリーの長女です。後年は奈月ひろ子と言う芸名でも活躍しました。落ち着きがあって、何気に色っぽい役柄なんですが、当時まだ24、5歳だったとは、びっくり。
そして、前科者の兄を演じた戸浦六宏さん。性格俳優として知られる戸浦さんですが、この映画では家族の厄介者、でも最後は妹たちの幸せを願いながら身を引くと言う、微妙な役柄を見事に演じています。あのコワイ顔の戸浦さんなのに、笑って去って行く時の顔は、爽やかに見えるから不思議です。
屈折した色男の細川俊之さん、娘たちを案じながら無気力で何も出来ない父親を演じた藤原釜足も素晴らしい演技でした。
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