刑事コロンボ 二枚のドガの絵

1971年/米ユニヴァーサル/1973年7月21日NHK放送
物語。美術評論家のデイル・キングストン(ロス・マーティン/声・西沢利明)は高名な絵画収集家の叔父マシューズを殺害。更に共犯の美学生トレイシー(ロザンナ・ハフマン/声・杉山佳寿子)も口封じに殺害する。コロンボ(ピーター・フォーク/声・小池朝雄)は遺産の絵画目当てのデイルの犯行とにらむが、意外にも絵画は遺言でマシューズの元妻エドナ(キム・ハンター/声・関弘子)に譲られることになっていた…シリーズ6作目。

倒叙ミステリーの「コロンボ」では、犯人側に肩入れしながら見てしまうことも少なくありません。でもこの犯人だけは別。シリーズ中、これほど憎ったらしい犯人はいません。しかし最後は、コロンボの鮮やかなどんでん返しを食らって泣きべそを(マジで)かきます。痛快さと言う点でもダントツです。
冒頭、犯人が被害者を「秒殺」します。おそらく、OPから犯行までの最短記録でしょう。普通のコロンボシリーズでは、それとなく犯人が犯行を決意したあたりの描写から始まるのですが、この話では動機をぼかしておく必要があるため、いきなり犯行場面から始まります。
衝撃の登場後、徐々に明らかになる犯人の人物像は、
美術評論家のくせに趣味の悪いネクタイを締め、テレビ映りをしきりと気にし、画家を批評で叩けば読者に受けると言い放つ、いやらしい性格。更に、愛情を餌に女子美学生を共犯に使って、用が済むと襤褸切れのように惨殺する冷酷非情な人間性。コロンボに対しても、この上なく挑発的で挑戦的。「おまわり」呼ばわりで罵倒します。
犯人を演じているロス・マーティンの顔立ちが、また見るからに憎たらしい。まるでガキ大将がそのまま大人になったようなふてぶてしい顔です。
声をあてているのは、後に「歌声の消えた海」「さらば提督」でロバート・ヴォーンも吹き替えている西沢利明さん。ちなみに西沢さん自身は正反対の、痩せぎすの神経質そうな顔だちです。
中盤、被害者の遺言状が明らかにされるとともに、動機そのものが消滅してしまって虚を突かれますが、もともと犯人の狙いは二段作戦。相続人のエドナに濡れ衣を着せて遺産を横取りする計画でした。自分で罪をかぶせておいて駄目押しの台詞「あんたが犯人だったのか!」が白々しい。
しかしやっぱり、最後はコロンボの方が一枚上手。決め手となった「指紋」の件は決して偶然の産物ではなく、犯人が自ら執拗に自宅の捜索を要求して来た時点で、コロンボには相手の計画が読めていました。1度捜索を受けた場所ほど安全な隠し場所はないからです。ただ犯人の油断は、まさかコロンボが自宅で「寝ている」とは思わなかったこと。せめてドガの絵を、もう1度包装し直してから持ち帰るべきでしたね。
尤も、ラストの鮮やかな印象で作品的には得をしていますが、犯人自体はさほど頭がいいと思えないし計画も結構杜撰なんですね。特に、エドナに罪を着せる工作は行き当たりばったりで綱渡り的過ぎます。
一方のコロンボも、絵にコロンボの指紋が付いていたことが即座に犯人の犯行を立証する証拠になるわけじゃないので、これだけで有罪に持ち込むには難しそうなケースではあります。
いつもなら無駄話で周囲を自分のペースに巻き込んでいくはずのコロンボが、今回は女画廊主人、下宿屋の女主人、エドナらのおしゃべりなオバサン軍団に悉くペースを乱され放しになっているのが笑えます。
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