顔役

1971年/勝プロ製作・ダイニチ配給/勝新太郎監督
出演/勝新太郎、山崎努、太地喜和子、若山富三郎、前田吟、山形勲、大滝秀治、織本順吉、藤岡琢也、深江章喜、伴淳三郎ほか
物語。大淀組(組長、山形勲)と入江組(組長、江幡高志)の抗争が激化。はみだし刑事の立花(勝新太郎)は徹底捜査を唱える課長(大滝秀治)の言葉を信じて暴力団の壊滅作戦にとりかかり、大淀組代貸しの杉浦(山崎努)をパクる。だが何者かの圧力によって突然捜査の打切りが決定する。怒った立花は警察手帳を叩きつけ一人署を飛び出す…

勝新太郎製作・監督・脚本・主演によるワンマン映画。一度もビデオ化されていない珍作ですが動画サイトで見ることが出来ました。
内容はありきたりなアウトロー刑事物ですが、勝新の奇抜な演出が炸裂。手持ちカメラで撮っているので映像は常に揺れていて不安定だし、おまけに極端なアップを多用し、場面転換の時でも状況説明的な引きのカットが全く入らないので、一体どういう話なのか、そもそも何を撮ってるのかすらもよくわからない、と言う状態が延々続きます。劇中音楽も単調な繰り返しのテーマが時々鳴る以外は全く入らないし、まるで素人の実験映画のよう。そういう撮り方をすることで、ドキュメンタリー的な効果を狙ったのかもしれませんが、でも出ているのは大部分俳優だし、しかもキッチュの怪物のような勝新なんですからお笑いですが。こっちとら今はタダで見てるからいいようなものの、お客から金取って興行で上演するしろもんじゃないでしょう。アマチュアの自主制作映画会で発表するのがお似合い。
ちなみにこれ、権利が東宝に流れた時のフィルムなのか、最初に東宝マークが出てきますが、封切り時の配給は大映末期のダイニチですよね。
面白いのは、終盤若山富三郎扮する大物ヤクザの仲介で抗争していた二つの組が手打ち式を行うシーンだけが何故か手持ちカメラをやめて固定カメラのきちんとした普通の構図になっていること。ひょっとしたら若山が一喝して実兄の権威で勝新の馬鹿げた撮り方を止めさせたのかもしれません。誰か押さえつける人がいる時は勝新の狂気と常識のバランスが取れますが、そうでなくなるとロクなことにならないのはその後の歴史が証明しています。
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