ルパン三世 第9話「殺し屋はブルースを歌う」

lupin0901.jpg
物語。空港に降り立った1人の男、殺し屋プーン(声・本郷淳)。出迎えた弟分のキャップ(新井和夫)が時価数億の書類を盗む仕事の話を持ちかけるが、彼はある女を捜していると言う。その女とは峰不二子。かつての相棒であり、恋人だった。一方、ルパンたちも同じ書類を狙っていた。ルパンに化けた不二子が囮となってキャップから書類を奪うことに成功するが、逃げ出す際に流れ弾を受けてしまう。ルパンのアジトに現れたプーンは重傷の不二子を奪って行く。ルパンは不二子を取り戻せるのか、果して不二子の運命は…?

初めて明かされる不二子の過去。そして不二子を愛した男の哀しい最期。
シリーズの中で一番難しいエピソードです。別にストーリーが、ってわけじゃありません。話の筋を追う分には子供でもわからないことはないでしょう。ただ行間に描かれている人物の心情を読み取るのが難しい。まあ、平凡に書くしかありませんが。
まずこの回に限りOPが第3話までの初期バージョンに戻っています。本来のアダルト路線上にあることを強調する意図でしょうか。サブタイトルの前に、前フリでプーンをまず登場させるのも第2話「魔術師と呼ばれた男」と同じ手法。
場面変わって、ドライブの車中でいつになくいいムードのルパンと不二子。前段での、不二子の"過去"からやって来たらしいプーンの登場が現在の不二子との対比で効いて来るシーンです。
アジトではルパンに待たされ続けて切れる寸前だった次元と五ヱ門が、不二子を仕事の仲間に加えると聞かされて怒り心頭。既に第8話でも不二子が仲間になっていたように見えますが、この場合の仕事はルパン単独だったので問題なかったのでしょう。しかし今回は仕事自体に不二子を加えるというのですから、断固反対。特に不二子に騙されたトラウマ?で女嫌いの五ヱ門は問答無用で部屋を出て行ってしまいます。すると次元は先を越されてタイミングを逸してしまったのか、何となくうやむやに留まってしまったのがおかしい。
今回の仕事は、時価数億の高性能電子頭脳の機密書類を盗み出すこと。ただこの書類はそもそも、キャップがルパンの名を騙り盗み出そうとしていたらしく、ルパンとしてはそれが許せなかったと言うのが動機のようです。
いずれにしろ陽動作戦でルパンに変装した不二子が囮になっている隙に、ルパンは書類奪取に成功。不二子の変装とともに鮮やかな銃さばきも見られる珍しいシーンですが、ここで不二子はプーンと運命の再会。
かつてある組織で殺し屋のチームを組んで黄金のコンビと呼ばれていた2人。後の回想シーンにもあるように2人は仕事上のコンビだけでなく私生活でも恋人関係だったらしく、現在のルパンとの関係ではありえない様な不二子とプーンの仲睦まじい姿も!
だが3年前不二子は組織を裏切り(次元の話では「ヘマをやらかした」となっていますが)殺すよう命じられたプーンは、わざと狙いを外し不二子を逃がしました。以来、組織を追われ、不二子を捜し続けていたプーン。
一方不二子のその後は周知の通り。ルパンが不二子を知っているのは3年前から、と言っているところから見て、プーンの前から姿を消した後で殆どタイムラグなしでルパンたちの前に現たことになります。従って不二子は姿を消した瞬間から過去を断ち切り感傷も捨て、前だけを向いて「現在」を生きていたわけで、過去に囚われ、不二子との輝いていた日々を取り戻すためだけに生きていたプーンとは対照的。
「魔術師と呼ばれた男」の時も書きましたが、ここでも不二子の真意は謎です。単純に、男が未練たらしく女が切り替え早いと言ってしまえばそれまでなんですけど、少なくとも物語中で不二子の心情は何も語られていないので、その語られない部分に語り尽くせない深い傷が秘められているようでもあり、第三者的に見れば謎めいた女の恣意に男が振り回されているようでもあります。
それはさておき、予想もしなかったプーンとの再会に一瞬驚いた不二子でしたが、すぐ躊躇うことなく逃走。その際キャップに撃たれて深手を負います。傷ついた今の不二子が帰る場所は勿論、ルパンのもと。その不二子を追ってルパンのアジトに乗り込んできたキャップとプーン。キャップの目的は奪われた書類ですが、プーンは勿論不二子。ルパンや次元には目もくれず重態で意識もさだかでない不二子をさらって行くんですが、よく考えてみるとプーンの行動は、不二子を連れて行くこと自体が自己目的化しています。機密書類に興味のないプーンがいつまでもキャップと同一行動を取る必要はないんですから、不二子が大事なら、誰の目にも重傷な彼女の命をまず助けたいと思うのが自然でしょう。なのに瀕死の不二子を連れて行ったまま山荘に立て篭ってしまい、その後いったいどうするつもりだったのでしょうか、何か算段や展望があったのか。プーンにはやっと見つけた不二子を一瞬たりとも手放したくない、と、もうそれしか頭にないわけで、「先」のことを考えていたようには見えません。
本来プーンの目的は「生きること」、つまり不二子ともう一度チームを組んで昔のように充実した日々を取り戻すことだったはず。だが不二子に再会すれば、本当に失った過去が返って来ると思っていたのでしょうか。 3年間も連絡しなかった不二子が既に自分との過去を捨てたことは薄々わかりそうなもんだし、現実についさっき再会した不二子が何も言わずに逃げてしまった時点でもはっきりしたはず。山荘に立て篭もったまま、たとえ不二子が死んでしまうとわかっていてもルパンに渡さないプーン。それは単に恋敵に渡したくないと言うより、プーン自身がもうあまり先のことを現実のものとして考えていない現れかもしれません。
プーンのことばかり長くなってルパンの方が疎かになってしまったんですが、ただルパンの不二子への心情はそのままプーンの裏返しなので、改めてくどくど書くまでもないかもしれません。プーンは過去に生きているに過ぎないの対してルパンは勿論過去などどうでもいいし、不二子の命が、そして不二子とともに生きるこれからの方が大事。たとえ騙されても裏切られても。元気だった頃の不二子との思い出を虚しく回想するルパンの姿が切ない。
「どうしても不二子を助けたい」ルパンと「死んでも仕方がない」と言うプーン。勝負の結果は見えていたのかもしれません。ルパンが奇策を使って不二子を取り戻した時、銃口をルパンに向けたプーンを撃ち殺したのは不二子自身でした。ルパンかプーンか。究極の選択で不二子はルパンを選んだ、と言うよりも、プーンと生きた過去よりルパンと生きる現在を選んだと言うべきでしょう。
それは劇中で何も心情を語ることなかった不二子の最初で最後の意思表示でした。ちなみに最後の瞬間まで、プーンと不二子は一度も言葉を交わしていません。重傷で意識朦朧としていたのだから当然ですが、プーンが病床の不二子に向かって一方的に過去を物語り、そのプーンを不二子は朦朧とした意識の中で涙の向こうに幻のように捉えるのみだったのは、2人が既に同じ「現在」を生きていなかった表われのように思えます。
全てが終わってから、最後に、例によってルパンを袖にした後、ひとり埠頭に佇んで思いを馳せる不二子。その目にもう涙はありませんでした。
スポンサーサイト

にほんブログ村

関連タグ:
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
管理人のサイト
土曜日の美女たち
管理者用
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR