幕末残酷物語

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1964年/東映/加藤泰監督
出演/大川橋蔵、藤純子、中村竹弥、西村晃、河原崎長一郎、木村功、内田良平、青木義朗、大友柳太朗ほか
物語。池田屋襲撃で名を上げた新撰組は入隊志望者の選抜試験を行う。その中の1人、若侍の江波三郎(大川橋蔵)は血みどろの殺し合いにビビって嘔吐し、隊士にからかわれた悔し紛れに切腹しようとするが、それが局長の近藤勇(中村竹弥)に気に入られて入隊を許される。ひ弱な江波は初めのうちこそ厳しい規律に付いていくのが精一杯だったが、やがて新撰組の狂気に呑まれ変貌して行く…

安易な類比ですがこの映画に描かれた新撰組を見て連合赤軍を連想したのは、たまたま今が「あさま山荘事件」からちょうど40年だったってせいもあります。まあ軍事的に先鋭化した革命集団のたどる道筋としては似たとこもあるでしょう。
物語の舞台は、新撰組の屯所から殆ど一歩も出ません。まるで浅間山の山岳ベースに立て篭もった連合赤軍のように、何かと言えば隊士の非を言い立てて「斬首」「切腹」の雨あられ。蛇のように不気味な監察・山崎蒸=内田良平が告げ口すると、永田洋子じゃなくて短気な副長・土方歳三=西村晃(!)が騒ぎ出し、最後に局長・近藤勇=中村竹弥が血管切れそうな凄まじい形相で一言「斬れ!」。彼らの恐怖政治に異を唱えて脱退を宣言した古参幹部の山南敬助=大友柳太朗までも粛清されてしまい、山南を慕っていた病弱の沖田総司=河原崎長一郎(!?)はますます陰気になります。
その中において、最初は血を見ただけで気分が悪くなるひ弱な若侍だった江波三郎=橋蔵もやがてふてぶてしく危険な男になり、近藤の言う通り人を斬ることが正しい道なんだと心酔。疑問を口にした沖田を却って嘲り笑う始末。
ところが幕府軍と倒幕軍の決戦に出陣の朝になって、実は江波が敵のスパイだった疑いを掛けられるのですが…
と言うわけで、平隊士の立場から新撰組の内側を描いたところはちょっと市川雷蔵さんの「新選組始末記」を連想させる題材ですが、こちらのほうがもっとハードでダーク。最後に暴露される、江波の正体と目的が何かだかアレな感じもありましたが、閉鎖的な集団の中で目的を維持することが自己目的化して行く不条理と狂気と暴力を描いており、演じている面々がどす黒いのでビジュアル的にもわかりやすい映画でした。
橋蔵さんは定番の白皙の美剣士のメイクをかなぐり捨てて殆どすっぴんの素顔で演じています。言われなきゃ橋蔵さんとわからないぐらい別人のようなので、丸顔のきょとっとした目は最初宇津井健さんかと思いました。気弱な青年が集団的狂気の中で人間性を喪失していく様子をなかなか上手に演じていたと思うのですが、残念ながら観客が橋蔵さんに求めるものは二枚目スタア以外なかったのか、演技派としての面を見せるのはこれ1本になってしまったようです。
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