雅羅倶多館

1960~80年代のテレビドラマや映画を中心にあらすじや感想を書いています。

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眠狂四郎円月殺法

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1969年/大映/森一生監督
出演/松方弘樹、佐藤友美、梓英子、成田三樹夫、川津祐介、長谷川待子、中原早苗、鈴木瑞穂、神山繁ほか
物語。将軍家お世継ぎ・家慶には双子の弟・敏次郎(川津祐介)がいた。大目付・佐野勘十郎(神山繁)と家慶の乳母・松浦(長谷川待子)は、二人をすり返えて敏次郎を将軍の座に据えようとする。その陰謀に気が付いた長岡采女正(木村元)は佐野一派に殺害される。眠狂四郎(松方弘樹)は追われていた采女正の妹・志津(梓英子)を助けたことから、事件に巻き込まれていく…。

市川雷蔵の死からわずか3ヶ月後に公開された松方版狂四郎の第1作。雷蔵さんのイメージが強烈なこの時期では誰がやっても失敗したでしょうが、とりわけ松方はミスキャストの感が強いです。
もともと狂四郎シリーズは、まず狂四郎のキャラクターありきでその延長上にストーリーが組みたてられるようなもの。狂四郎のニヒリズム、ダンディズムを体現するには当時27歳の松方じゃ荷が重いし、また雷蔵とは全然資質の違う役者さんであることもその後の経歴で明らか。作り手も方向を掴みかねていたのか、ストーリー自体も何だかちょっとおかしい。
物語は将軍継嗣を巡る争いと言う、雷蔵版でも見られたパターンですが、狂四郎は正義の味方ではないのだから事件に巻き込まれていくと言う形が大事。ところが松方狂四郎は自ら積極的に事件に関与して行くように見えます。報酬に志津の操を頂戴したわけでもないのに、何でこんなにヤル気になっているのか動機付けが不明です。そのくせ表向きは虚無っているのだから、キャラクターもよくわからない。見れば、脚本が大映と縁の薄い人のようだし、監督の森一生も狂四郎シリーズを手がけるのはこれが初めて。雷蔵さんの狂四郎は事件に興味がなさそうなフリをしながら深入りして行く芝居のさじ加減が上手かったが、松方にはそれが表現できていない上に、脚本家や監督にも狂四郎シリーズならではの物語の運び方がよくわかっていなかったように思えます。
新生狂四郎を盛り立てるためか、雷蔵版でライバルを演じた成田三樹夫と川津祐介を敵役として一挙投入していますがさほど個性がないし、エロ担当の狂四郎ガールズが姥桜(失礼)の長谷川待子や中原早苗だけなのも華やかさに欠けます。
極めつけは、雷蔵さんの時にはなかった、松方の歌う主題歌。
「♪あーすにぃ生きない~ 浪人~すぅがたぁー 人には~見せぬぅー この~なぁみだぁ 江戸の~夜空のぉー ほしーぃが見たぁ 眠~狂四ろぅー どこぉへ行くぅー」
…うーん脱力。
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