大映俳優列伝(13)杉田康

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頻繁に出ていたのにいつのまにか消えてしまった脇役が何人かいるが、杉田康もその一人だ。
1930年(昭和5年)、華道の桂古流・桂流宗家に生まれる。ちなみに本名は「康恕(やすのり)」だが芸名「康」は「やすし」ではなく「こう」である。早稲田大学演劇科に進学し、のちに共演する宇津井健とは同期である。
卒業後の1954年に大映東京撮影所へ入社。『日本映画人名事典』では「火の驀走」(1955年3月)をデビュー作としているが、その前の「泣き笑い地獄極楽」(1955年1月)にも出演歴がある。この時は警官役だったが、その後の俳優人生は悪役をメインに過ごす。
本人によればそのきっかけとなったのは同年10月公開の「誘拐魔」と言う作品である。幼児誘拐事件をセミドキュメンタリータッチで描いたこの作品でデビュー1年目の杉田が犯人役に抜擢され、幸か不幸か好評を博してしまったらしい。尤も太い眉と厚い唇が特徴的な顔立ちはどう見ても善人よりは悪役向きである。ちなみに1962年の「誘拐」でも再び誘拐犯を演じ、その弁護士の役を演じたのは宇津井健だった。
一方で「新忍びの者」(1963年)では主人公の市川雷蔵の相棒役を演じたりと、必ずしも悪役一辺倒なわけではない。田宮二郎主演の大作「白い巨塔」(1966年)には金井講師役で出演している。田宮とは「犬」シリーズなどでも共演しているが、前出の中島氏によればプライベートでも馬が合ったらしい。
映画出演はその田宮が主演した1967年12月公開の「残侠の盃」が最後だが、その前から出演していたテレビには翌68年も出演し NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」などにも出演歴がある。最後の出演は1968年9月22日放送の「怪奇大作戦(第2回)人喰い蛾」(TBS)である。
1969年に俳優業を引退して実家を継ぎ、生け花の家元になった。3年前の宇津井健の葬儀に姿を見せるなど今も健在のようである。
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