大映俳優列伝(29)仲村隆

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丸井太郎主演の「図々しい奴」、大辻伺郎主演の「赤いダイヤ」に続くTBS=大映テレビ室制作の喜劇ドラマ第3弾として放送されたのは「そろりと参ろう」(1963年12月~64年3月)だった。その主演が今回の仲村隆である。
『日本映画人名事典』にも載っていないのでプロフィールが不明だが、元大映宣伝部の中島氏のブログによれば山口県出身でお寺の息子だったと言う。映画データベースに載っている最古の出演作は60年(昭和35年)3月公開の「街の噂も三十五日」(田宮二郎主演)なので、遅くとも59年には大映東京撮影所に入社していたと思われる。ちなみに同時期にデビューしたのは第13期ニューフェイスの江波杏子、吉野妙子らである。
以後90本近くの映画に出演しているが、あまり表情のない地味な風貌であるためか当初は新聞記者などの端役が多かった。やがて「黒シリーズ」に代表されるサラリーマンサスペンス物が台頭してくると少しずつ重用されるようになり、「黒の駐車場」(63年)では物語の鍵を握る新薬の研究者を演じている。そして「そろりと参ろう」で主演に抜擢されたのである。
内容は、尺八家元の御曹司とそのお目付け役の弟子が虚無僧姿で東海道を日本橋から京都まで尺八の行脚修行の旅をする、と言うもので、タイトルはスピード社会に背を向けて“そろりそろりと”歩きでの修行旅、と言うところから来ているようである。原作は尺八の大家で「笛吹童子」のテーマ曲の作曲者でもある福田蘭堂(石橋エータローの実父)で、仲村が尺八家元の御曹司、お目付け役の弟子を三角八郎が演じ、ほかに姿美千子、見明凡太朗、青島幸男らが出演している。
概要を読む限り「図々しい奴」や「赤いダイヤ」が底辺からしぶとくのし上がっていく人間の生き様を描いたのと違って、「そろりと参ろう」は現代版東海道膝栗毛を意図した飄々としたストーリーだったようである。ドラマの評判がどうだったのかわからないが、前2作に主演した丸井太郎や大辻伺郎が人気者になり、丸井太郎ですらテレビ出演後の映画では準主演格に上がっていたのに比べて仲村の場合は別に上がりもせず下がりもせずなので、それほど人気は得られなかったのかもしれない。
65年「兵隊やくざ」で主役の勝新太郎&田村高廣コンビの上官を演じたのに続いて66年の「陸軍中野学校」では市川雷蔵扮する椎名次郎の僚友・杉本を演じ、シリーズ3作目で殉職するまでレギュラー出演している。
ガメラシリーズにも出演し「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(67年)ではギャオスの超音波メスで車を両断されながらも特ダネに拘る新聞記者、「ガメラ対大魔獣ジャイガー」(70年)では口やかましい万博事務局長を演じて印象を残している。最後の出演作は大映最後の配給作品「悪名尼」(71年)だった。
倒産後は郷里の山口に戻り、前出の中島氏によれば実家のお寺で住職になったと言うことである。

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